1/43
序章
富士見ファンタジア大賞一次通過作
「盗撮?」
普段交わらない二人の声がその時ばかりは揃った。
読めない。
表情は読み取れない。姿勢が悪いのもあるが、髪の毛がまず邪魔だった。
沈黙が下りる。
来訪者が発したその言葉。二者共々オウムのようにしか繰り返すことが出来なかったのは、何も生徒会二名が揃って無能だからというわけではない。
その言葉、盗撮、と、自分たちが今いるこの場所、が、あまりにもそぐわなかったからだ。
発足間もない生徒会メンバー二名が揃って問う。
来訪者へと。
依頼者へと。
自分たち同じ、お嬢様へと。
「女子校で?」