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最期に笑えるように

作者: 城河 ゆう



 ーーもって半年。



 病気が発覚して以来、年々病状が悪化していくのを感じていた。


 だからだろうか……


 医者から余命宣告を受けて感じたのは、怒りや悲しみではなく、安堵だった。


 長い闘病生活もーー


 自分では断てなかった命もーー


 優しく笑う両親を見るのもーー


 全部、終わりにできる。


 そう思ったら、身体が動く内にもう一度外の世界を見たくなった私は、たった1枚だけ持っていた普段着に着替え、看護師達の目を盗んで病院を抜け出した。


 目的地があった訳じゃない。


 見覚えある場所を適当に歩いて回った。


 幸い、売店で好きな物を買えるように、と両親が度々くれたお金を取ってあったから、所持金はそれなりにある。


 思いきって電車にでも乗ってみようかーー


 そう思った時だった。


「か、金をよこせ! そしたら命は助けてやる!」


 人通りの少ない道だったのが悪かったのか、震える手で握ったカッターナイフを突き付けながら若い男が声を上げる。


 悲鳴は上げなかった。


 切羽詰まった様な表情を浮かべる男の腕に巻かれた、私のと同じ白いビニールバンド(末期患者のしるし)が見えたから。


 だからーー


「いいよ。 でも、その代わりーー」


 彼が後どれくらいかはわからないけど、残りの時間くらい、自分がやりたい事をーー

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― 新着の感想 ―
∀・*)この短い文字数にして……この凄まじくも濃いドラマ展開。城河ゆう様の才能ですね。改めて惚れました☆☆☆彡
主人公の優しさよ。同じく末期だけど、そこに至るまでの状況や環境で、こうまで結果が変わる。つまり、人格形成は周囲による影響が強いって事を表しているのではなかろうか。 主人公の最後の行動は同情だけでは無…
主人公がどんな決断をしたのか…… 命は短いかもしれないけれど、この後何かしらの大きな物語が展開されるだろう……、そんな余韻の残る作品でした(*´Д`*)
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