第30話 朔ズ、リターン
遂に彼?は彼女たちのもとに
23日の朝に出発した一行は民間人のグループと接触するも特に収穫も無く昼過ぎになり休憩をする。
「はぁ、ダメだな。生存者に会っても逃げられるし聞けても見かけたけど今は知らないと言う人ばかりだ......」
と煙草はボンネットに座りながら白い息を出し話す。
「まあそりゃあどの自衛隊が優しいかなんてわからんし一見たら逃げますよ」
そうフォローを入れる未奈。
「俺......いない方が捜索が楽か?」
明らかにヤバい見た目の小谷が言う。
「そんな事ないですよ!私達が銃を使う間も無く、その辺の標識の棒で薙ぎ払ってくれて助かってますし!」
優しくフォローするブラン。
「それだけが今の取り柄だ」
そう言いながら店の看板を遠くにいるゾンビに投げつけて殺す小谷。
「君たちが優秀なおかげで物資はかなり温存できている、だがこれ以上回っても収穫はないだろう一旦は戻ろう。陽が落ちる前に帰らねば小谷君以外死ぬ、特に先輩は傷が完治していない」
そう言うと休憩を止めここから帰還する準備を始める。そして灯台下暗し、駐車し休んでいる道路に面している建物の屋上には朔が潜伏していたのであった。
「............アレか」
そう呟くと朔は立ち去る車両達を走って追跡を始めた。暫く進むと車が何故か止まり朔も止まる。
「うん?マズいなエンストしたか?」
鉄と煙草が乗る車が何故か止まり煙草は困惑する。
「どうした?」
「車が何故か動きませんね、私が確認します。先輩は機銃を構えておいてください」
「あいよ」
残り3人も動かなくなった車の近くに集まる。
「クソ、やられた」
ボンネットを殴り怒る煙草にブランは困惑。
「どうされました......?」
「工作されていた、奴ら私らを外で殺すつもりだ。小谷君だけが帰還する事を想定しているな」
そう言いながら中の部品が壊れているのを親指で指差す。
「酷いなぁ、これ帰っても命の保証ないじゃん」
「でも帰らないと朔のご両親とかがいらっしゃるし............」
困惑している中で煙草は何とかならないか弄る。
「どうにか............うわっ!畜生!爆音でアラームが鳴り始めたぞ!」
工作した相手は弄るのを予測してか罠を仕組んでいた。そしてその爆音で周囲のゾンビが反応する。
「クソッどこからなっているんだ、とにかく離れないと死ぬ!もう一つの車両に乗るぞ!運転は頼んだ!」
そう焦り言うとアサルトライフルで近寄るゾンビを射殺していく。
「俺はあまり動けない......置いて行............あぁ小谷君摘んでくれてありがとよ」
(助けられてばかりだな)
頭を掻きながら情けなさを感じる最年長のおじさん。
「お気ニなさらず」
車両から体を出していたところから小谷が持ち上げて急いで車両から出した。
「未奈!運転を!......聞こえてる!?」
「無理!こんなに近寄ってこられたら、その隙に誰か死ぬ!」
爆音で対話も厳しい中、変異体含むゾンビが大量に寄って来る。小谷は鉄を車に乗せるとアラームが鳴る車を殴り壊すが迫り来るゾンビは雪崩の様に続く。
「ダメだぁ、壊してもゾンビ自身の音に反応して新しくゾンビが来るぞ!変異体もいる!俺が率先して殺すから何とか車に乗れ!ってうおっ!!!?」
必死に殴り殺していく小谷。だが無数の変異体がジャンプして身体に大量にしがみつかれて倒れてしまう。
「ああ、畜生!数が多すぎる!サーシャ危ない!」
そう言いながらブランの背後のジャンプゾンビを射撃。
「ごめん............うおおぉお!!」
(あぁ............もうここで終わり?騎士様の安否行方もわからずに?ねぇ、助けてよ、騎士様!)
後ろに迫るゾンビ達を銃で殴って撃って処理をするが間に合わない、全員が絶体絶命のピンチに陥る中。上空から発砲音と共にブランの周りのゾンビは倒れ、小谷にしがみつく小さく跳ねるゾンビをも殺した。
「安心しろ!私が助けるッ!!」
そう言いながらどこで見つけたのか20式小銃でゾンビを撃ちながら建物から飛び降りた。そして皆んなが襲撃されている最中に爆竹付き爆弾を用意していた、それを遠くに投げると一部のゾンビが反応して逸れた。
「っ!?あいつがイヴか!」
「例の変異体のお出ましか、確かに情報通り助けてくれるな」
「いつも良いタイミングで来るね!絶対朔でしょ!」
「騎士様............!!」
外にいた全員が歓喜する、おじさんは窓から覗いてガッツポーズで喜んでいる。
「騎士?朔?とにかく今ァ......血祭りだよッ」
そう言うと蹴りでゾンビの顔面を破壊、そして銃で射撃し着実に減らす。小谷も再起しゾンビを薙ぎ払っていく。
「やるな、デカブツ」
そう朔は言うと、
「お前は変わらないな」
「やはり私の知り合いか、手元の写真にいたお前は異質で興味がある。ここは切り抜けるぞ!」
そうして瓶を何個も投げると火をつけ大炎上する。
「視界も嗅覚も麻痺している今が隙ありだ!早く車に乗って発進して!私は走って追尾する!」
大炎上によりゾンビの視界は炎だけ、動きが鈍くなった隙に動く車で逃走し少し離れたところにある高校に入り込む。小谷が門を閉めると建物から朔は飛び降り朔を飛び越え高校に入った。
「はぁはぁ......なんでペーパードライバーの私ばかり運転させるの............酒ないときついよぉ......」
そう言いながらアル中が降りると荷台からみんな降りて来た。そして返り血もない綺麗な朔は近づく。
「............」
朔は無言で全員を見る。煙草が口を開く。
「とにかく助かった感謝する。あなたはイヴであっているかな?」
「そうね、今はそう名乗っています。たださっき呼ばれた朔が本名なのでしょう、端末にも残っている名前だから。意味は無いかもしれないけどこの写真の人物達ですよね?」
わざわざいつも見せている写真を見せた。サーシャは涙を浮かべ朔の手を取る。
「おお!?」
「やっぱり......やっぱりあなたは朔なのね......私の騎士様............」
そのまま手を引いて抱きついた。未奈も近寄り抱きつく。
「やっぱアンタだよね............生きていて良かったよ朔」
「............そうか、私はやはり朔なのだな。2人の名前は?片方は外国の方ですかな?」
これでも思い出さない事に少し曇るが答えた。
「思い出さない?私はアレクサンドラ・ブラン。愛称のサーシャで呼んでくれたあなたの恋人よ。フランスとロシアのハーフの」
「私は橋本未奈、あのデカいのが元カレで今はアンタの彼女だよ。それに敬語はやめてよ」
そう言われて頭の髪をかき上げて問う。
「ふぅ、分かった敬語はやめよう。にしても彼女が2人いるのは普通じゃ無いよね?私はそんなに節操ない?プレイボーイ?」
それに小谷が答える。
「俺は小谷一だ、色々あってお前は2人と婚約関係だ。そして俺はお前と親友だった、そして狂った俺を戻してくれた恩人でもある。狂っていた時は8メートルくらい体長があったらしいが今は4〜5メートルだ」
「そうか、何故そんなに大きい?」
それに割って煙草が言う。
「ならあなたも何故そんなに巨体で特別な眼をしている?答えは一つ、理性のある感染者だからだ。自分が感染者の自覚は?」
「最初から周りと見た目が違うし何となく分かっていましたよ、貴方は?」
「私は煙草一暁、そしてこちらは私の先輩の鉄哲だ」
「俺は朔君にまた会えて感激だよ......本当になぁ............」
「それは............こちらとしても嬉しいですね。とにかく陽がもう落ちている、この学校......高校かな?それの内部に隠れましょう。あとで私が何なのか聞きたいですしね」
そう言いながら抱きつく2人を優しく剥がすと下駄箱の方に歩いて行った。
「......思い出すかな?そもそも本物の朔なのかな?」
「大丈夫だよ、思い出すし本物だよ。だってわざわざ危ない場所に突っ込むなんてアイツらしいよ」
とブランを慰めながら未奈は後に続く。
校内に入る前に朔が言う。
「もし中にゾンビがいたら危ない、そして銃で殺すと血が飛び散る。ここは私に任せて外の門とかを施錠しておいてください」
そう言うとライトも点けず闇に消えていく。
「俺は周辺の危険そうなゾンビを始末して来ます」
小谷は外に出て行った。煙草は鉄を座らせると残り女子2人に言う。
「悪いが2人で見回ってくれ、私は先輩と一緒にここで念の為見張る」
「分かりました〜」 「はい〜」
そうして2人は銃を持ち学校の門を確認して歩く。
「ねぇ?朔は何したら思い出すかな?関係が長い未奈ならわからない?」
暗い顔して彼女に問う。
「ん〜......自力で思い出せずに今に至るから難しいかも............でもまあ記憶がなくても朔の性格が運が良いのかあまり変わらないしね」
「そうだね、アイツは昔っから正義感が高く陽気で社交的な奴だからね。冗談も良く言うから友人も多かった、でも恋人はサーシャが初めてだけどね」
(セックスを先にしたのは私だけどね............)
「周りは見る目が無かったのね......とヨシ、全部確認したし音立てずに早く戻ろ」
(私が最初の彼女............)
「うん」
2人は小走りで下駄箱の扉前に戻ると朔も出て来た。
「中に誰もいない、死体もないし荒らされた様子もない。今なら好きな子の笛も吹ける」
「君は電気も点けず暗闇が見えるのか?」
冗談をスルーして質問をする煙草。
「............えぇ、変な眼球のおかげか視力は高いし暗闇でも見える」
あと動体視力なども向上している朔は自慢げに言う。
「そうか、こちらの情報によると君は鉄の扉もワンパンで破壊するとあるがそうなのか?」
「えぇ、こんなに細い指と腕をしていますが家の扉を一撃で破壊できます。......にしても私はそんなに有名なんですね?」
「ああ、君がイヴになる前から同じ力を持っていて活躍していたからな」
「そう......ですか......。!そうだ!私の両親は!親は存命ですか!?知っていますか!」
唐突に自分にも親がいるはずと思い出し言う。
「安心してくれ健在だ、ただ問題がある」
「問題?」
「我々は横須賀の基地に戻ると捕縛、運が悪ければ殺害されてしまう。先の車の故障は仕組まれたんだ、だから君のご両親が今どうなっているのか、どうやって連れてくるかが問題だ」
腕を組んで悩む煙草に戻って来た小谷が言う。
「俺だけ帰るのが奴らの本命ならそうすれば良いんじゃないですか?その後、朔の両親を連れてこっそり逃げる。ただ俺は一日中活動できる代わりに翌日一日中寝てしまう、やるなら今しかない」
と朔と煙草に向けて言う。
「............丁度今の君は血塗れだからいいかもしれん、今から行ってもらえるか?道はわかるか?」
「何となくわかるので行って来ます。......朔、後でな」
死亡フラグみたいな事を言って出て行こうとする彼に咄嗟に言葉が出る朔。
「おいおい〜死亡フラグみたいな事を言うなよ〜......?そうだな?ちょっとだけ思い出して来たぞ?」
「その調子だ、じゃあな」
そう笑い言うと走り去る小谷。
「取り敢えず、職員室が一番使いやすい部屋だ。一応私が先導する、来てくれ。こう言うのは私みたいなのが最初に行ったほうが安全」
そう言うと手でジェスチャーをして入る。
「なんか前より頼りになる度が少し増した?」
「かも............?元から朔は私にとっての頼りになる存在だけどね」
そう2人は続きおっさん2人も続く。
「ありゃあ朔君だな」
「ふぅ......ですね、安心しました。もし別人なら面倒でしたから」
(さて彼の首に賞金が掛かっている様な状況なのはいつ言うかな)
生死問わず捕まえるのをまともな自衛隊が命令を下しているので敵だらけの朔。
そして職員室に着くと広範囲を照らすライトを出す朔。
「よし、じゃあ、そろそろ私の番かな。私が何なのかどこの誰か詳しく聞こうじゃないか?」
そう椅子に腰掛け銃を杖の様にし4人に質問をするのであった。
記憶喪失ってリアルだと死ぬまで戻らない事があるらしいのでキツいよね。




