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第27話 接触

自衛隊とご対面

18日の昼騒音に目を覚ました朔はアパートの上から顔を覗かせた。


「......あぁん?自衛隊?なんか通りのゾンビを掃討しているね......?何故?それに車両もいくつか走っているね?」


 自衛隊と思しき連中が何がしたいのかわからない為に一旦息を殺し盗み聞きを始めた。



「おい、お前!撃ちすぎだ。近接武器は作れても弾の補給は無いんだぞ!それに4メーター越えの変異体を始末するのが目的なんだ、遠くの奴まで倒す必要はない」


 と上司と見られる自衛官が部下を叱るがその彼は怯まず言い返す。


「我々が拠点にしている高校から近いゾンビです。民間人も保護をしているのですから始末して損は無いと自分は思います。それに駅で見たと言った偵察が帰還して1日以上は経っている故にこの作戦は無駄です。もう我々のテリトリーから離れたでしょう、それとアレは場所に執着する変異体では無いらしいではないですか。それに今は別の問題になっている変異体について動いた方が良いかと」


 それを聞いて朔は思い出す。


「......?倒した気がするぞ......待って、せっかく横須賀に進んでいたのに錯乱してまたほぼ同じ位置に帰ってきちゃったの?はぁ......クソっ、あの人の努力が無駄だッ。......それにまだ他に化け物がいるのか?多過ぎないか??一体ゾンビが現れて月日はどれ程経つんだ......」


(どうする?自衛隊は良い奴らでは無いと聞いた気もするが、こいつらはわざわざ一般人を保護している上に正義感はあると見られるから............大丈夫か......??)


 そう迷いながらも接触する事に決めた朔はいきなりこの見た目で出て行ったら撃たれると思い、先頭車両まで建物の上を走り追いつきそのまま追い越すと、唯一持っている銃のデザートイーグルを自衛隊の進行方向にいる複数のゾンビに向けて撃ち始末した。そして鳴る筈のない横からの射撃音に前進をやめ警戒態勢に入る。


「全員伏せろ!バンディット(盗賊)裏切りの奴(首相派自衛隊)らがいるかもしれないぞ!」


 隊長と見られる奴が叫ぶと全員索敵を始めた事により静寂に包まれた。それが狙いだった朔は大声でその作戦は無駄なことと自身は無害だと伝えようとする。


「待ってください!私の名はイヴ、敵ではない。その証拠に弾は全て進行方向のゾンビを貫いた!あなた方にとって重要な話がしたい!」


 二階建てのアパートの屋上で射線が通らない位置で立膝の状態で叫ぶ。自衛官達はざわざわとした。


「おっ、女か!?それに外人にしては流暢だな」


「銃声とゾンビの頭が弾けている事からして口径が大きい銃なのに1発も外さず連射したとなると俺ら(自衛隊)と同じか?それとも国に逃げなかった米兵か?感じデザートイーグルの発砲音に近かったし」


「声の方向からしてあそこだがどこにいる?誰も立ってないぞ」


 そうしていると隊長が答える。


「ならば何故姿を見せない!我々は首相の犬ではない!我々は本来の自衛隊の信念に基づき行動している、故に敵意の無い者は撃たない!姿を見せろ!それとも別の事を気にしているのか?米兵ならこちらの味方にも数人いるぞ」


 外人な事を気にしているのかと思うリーダー。


「見せたら貴方は撃たなくとも部下がパニくるかもしれませんよ。もっとも私はその程度では死にませんが......それで意味が伝わります?私がなんなのか」


 己の尋常じゃ無い身体の頑丈さを伝えて普通の人間とは違う事を伝えると同時に自身は本当に頭がおかしくならないゾンビなのか知っているかを確認。


「......?噂に聞く理性的変異体なのか?出雲などにいるとは聞いているが......どれも知性はあれど人間と乖離した姿と聞く、だから姿を現われないのか?」


「そう......私は理性的変異体というのね............私は本当の名前や姿すら忘れた記憶喪失者。そして人探しをしているだけの流浪人です、ただ確実にアメリカ人では無い。それとあなた方の計画は無意味です、直ちに物資をこれ以上無駄にしない為に帰還すべきです」



 やはり人間では無くなっているのだなと、わかっていたが目を背けていた。だが無理矢理にでもわからされた朔。


「無意味?もしや偵察が言う変異体は君なのか?」


「ちっ、違います!偵察の人が見たのは、見た目は顔の潰れたゴリラか猿で巨体の体にズタボロの布を纏い、多分聴覚はほぼ無い。戦う時はまさにドラミングとしか思えない行為でゾンビを集めてくる癖に自身も頑丈でタフな面倒な個体。そうですよね?」


 まるで己が戦ったかのような言いように反応する。


「そ、そうだ......。我々はそれに類似する個体達をナックルウォーカーと呼んでいるが、君はまるで自分が戦ったかのような詳しい情報を知っている。何故だ?」


「理由は単純明快。そう、倒したから。駅の線路の下でゾンビに埋もれ腐り始めていますよ」


「倒した?あれはとても面倒な個体なのに女性の貴女1人で?ならば余計に気になる、姿を見せてくれ。悪いようにはしない」


「......あの時は1人協力者がいたんです。それはともかく本当に撃たないでくださいよ、高級そうな服は無駄にしたくないしこれ以上人間不信になりたく無いので......っ!」


 飛び降りようと思ったが並木の返り血が手に着いたままなのに気づきリュックサックからアルコールを出していらない布で拭き取りナチュラルにゾンビ作品にありがちな揉め事フラグを折る。


「飛び降りますよ!......はっ!............で?想像と現実の私の見た目はどれ程乖離していましたか?」


 キラキラな銀髪ロングヘアに黒のロングコートに白シャツ白パンツの210センチ越えのクール系美女、だが眼球は多孔瞳孔の化け物である朔は両手を広げて自分を見せた。


「なっ!完全人型もいるのか!?眼と......身長以外は大体普通の人間......か............」


(指輪の数といい黒コートに返り血も埃もほぼ無いシャツとズボン......この世界でもファッションを気にしているのか?私にはわからないが......記憶の無い人間の方が私よりそう言う事を気にせるのかぁ......)


 それに疑問を持つ朔。


(えっ、もしかして理性あってもミートボールとかゴリラの見た目に変わるのが普通なの??い、嫌だっ、今のところ目だけでよかった......)


 そしてざわざわと驚愕する隊員達。


「デケェ、全部だ。全部デケェ......パツパツプリプリだァ......」


「あの眼を合わして話せる自信が無いな......そもそもどの瞳孔に目を合わせたら良いのか............」


「あ、あの指輪の数はすげぇ......品性がねえ付け方してるがサマになってら......それに野盗に狙われそうだが姿を見れば踵を返す威圧感があるな......」


「両手薬指だけ無いのだから考えてつけているのだろう?くだらんイチャモンはよせ、変異体との揉め事はごめんだ」


「ん?股間にブツついてないか?なぁ!オカマなんか!あんたよ!!」


 と隊長の少し後ろの隊員が馬鹿な感じで聞く。


「馬鹿野郎!会ったばかりの人にそんな事を聞......」


「お気になさらず、良いですよ。結論、私は両性です。性器は2つありますがそう変異したと言って特段、別に特に何かある訳では無いのでお気になさらず。まあ......元はほぼ確実に男なので身体の変異はかなりあるにはありますかね」


(......ん?そう言えば生理ってのが女はあるよな?私はまだ無いぞ?そんな気配もないが女性器は飾りなのか......??ちゃんと清潔さは保っていたが気にしていなかったな......)


「............だそうだぞっ」


 そう言いながら馬鹿な部下の肩を軽く殴ると朔の方を向き近寄る。


「討伐に感謝します。ですが遺体を確認をしなければ我々も安心できないのです、貴女を疑うようで悪いですが世が世なのです」


 敬礼して敬語で返す隊長。だが確認は必要だという。


「こんな世界で知らない人間、それも変異体?ならば信用できないのも当然でしょう。......では私が見に行って携帯で写真を撮ってきます。なので帰ってください、私1人なら犠牲は0で済む」


 隊長は少し悩んだ、その間も近寄るゾンビを撃ち殺す音は鳴り響く。判断を急かすかのように。


「......わかった。貴女を信じましょう。そして私達はこの辺りで1番大きい私立高校を拠点にしています。これを、学校にマークしてある地図と無線です。使い方はわかりますか?」


「ありがとうございます!使い方は......なんとなく前の私は使ったことがあるのか......一応わかりますかね......それと、さっさと済ませて来るので私の頼み事を秒で終わらせて頂けます?この写真の人間を知りません?多分ここにいるのは変異前の私だと思うのですが......」


 そう言いながら携帯の待受を見せる。


「......大宮駐屯地に見えるな、それに報告のない変異体も写っている............これもかなり大きいが人型か......だが済まない誰が誰と全くわからない。力になれなくてすまないな」


「まあ今までもそうだったのでお気になさらず」


「ただ一つ......あまり言いたくないのだがわかることがある。大宮駐屯地はゾンビの襲撃で壊滅状態になり残存兵と保護された市民は横須賀基地に移ったらしい。だから横須賀に迎えば会える......かもしれない............が亡くなったと知るかもしれない......」


「............それでも生きて会えると私は信じて動きます。......では今日中に日暮れ前にはなるべく戻りますので!」


「感謝する。......それといい忘れていた、私は佐藤曹長だ。私の立場を簡単に説明すると、本来なら曹長ってのは補佐役なのだが上の人間は軒並み裏切ってしまって尉官や佐官の人員不足の為にこの部隊の指揮官をしている。高校の正面入り口の門番や見張りには貴女の事を伝えておくので安心してください」


「分かりました、よろしくお願いしますね。では!」


 そう言うと一飛びで数メートル飛び壁に引っ付き、建物の上にアクロバティックに回転し登り走って行く。


「凄まじい............とにかく通信できる同胞達にかなり友好的だが訳ありの理性的変異体が増えた事を伝えなくては......。よし、お前達!今日のメインの仕事は終わりだ、帰るぞ!」




 そう言うと全員車に乗り拠点に戻る。


 一方でナックルウォーカーの遺体の方向に進んでいた朔。到着すると酷い臭いと共に変なゾンビを見かける。



「うぅ......特に臭うな......消臭剤足りないよ......。よし、写真を............?なんだあの細長い身体に腕が何本も生えている奴ら?さっきの人たちに無線で聞いてみるか......」


 写真を数枚撮ってから連絡をした。


「こちらイヴ、佐藤曹長に報告があります。オーバー」


「佐藤曹長だ、どうかしたのか?あとそんなにしっかりとした使い方をしなくて良い」


(サバゲーとかしていたのか?アマチュア無線でもやっていのか?)


「そうですか、では問題の話なのですが体が縦長の円柱で腕が合計6〜8本で顔は体と一体化している変異体がナックルウォーカーや周囲のゾンビの死体に群がっています............捕食している?」


 それを伝えると焦る様に応えた佐藤。


「マズい、そいつらはカシコミと読んでいる変異体だ。カバネノミコトと言う変異体とセットの面倒な化け物どもだ。どう言う奴らなのかはこちらに来てから答えるから気づかれない様に戻るんだ!」


 それを聞き何故そこまで避けたがるのか理解できない朔。だがここで揉める理由もないので立ち去ろうとする。


「カチコミ......?............分かりました、証拠は撮ったのでそちらに向かいます」


「いや、カシコミだ。そんなに奴らはそこまで血気盛んではない。......助かる、だが絶対にそいつらに着けられない様にしてくれよ、悪いが見つかったら自力で逃げ切ってからこちらに来てくれ。まあ君の身体能力なら簡単だろう、ではこちらも待っている」


 そう言うと切れた。


「......そんなに危険なら今ここにいる奴を始末すれば良いのでは......?」


 そう言うと銃を抜き構えたが数を数えると残りの弾丸を上回る数がいた為に迷う。


「もうこの拳銃の弾がない......この銃は自衛隊では使われていない筈......多分。ならば弾は手に入らない......か............。はぁ、無視しろって言われたんだし無視しましょうかね............??なんっ!?なんだぁ!?あいつら急に動きが止まって......」


 それなりに距離があるのでバレないと普通にデカい声で独り言を言っていたせいかカシコミ達は動きを止め、全員朔の方向を向いて止まった。


「......マズい。いや本当にマズいっ」


 数の圧にたじろぎ逃げようとする瞬間、昨日倒したゾンビの遺体の山の中からカシコミが何体も出てくる。更に気持ちの悪い事にナックルウォーカーのブヨブヨの肌を突き破りボツボツと穴を開け出てくる。隠れていたのかこの場で増えたのかは定かではない、それに現状の情報では判断できない。その為に朔は本気で逃げた。道路を跨ぎ奴らが空を飛んだり怪力で家を突き破りと追ってこないことを祈り逃げた。だが拍子抜けする程に何故だか全く追って来なかった。頃合いを見て学校に向かい到着。


「ここか......かなり要塞化されているな。あれは......確かサーチライトか?そんなのまで設置しているのか......それに屋上にも設置型の銃器や人がいるな。学校の周りの道路もバリケードがあったり自衛官が立っているところを見ると付近のゾンビは殆ど狩尽くしたのか、すごいなぁ......」


 ただ関心しながら校門の前に飛び降り立つ。


「なっ、なんだぁっ!?......はぁ〜びっくりしたぁ、あなたがイヴさんですね。話は聞いています、ようこそ!どうぞ中に!」


(自衛官になって約10年、色々鍛えてきたけどやっぱ変異体には勝てる気しないし怖ぇ〜......)


 学校の柵には前にあった駅のコロニーの何倍も出来の良い見張り用の台が作られており、そこに立っていた自衛官は上から落ちてきた朔に驚くも話に聞いていた通りの見た目だった為にスムーズに中に入れた。


「ありがとうございます!」


 手を上げ礼を言う朔。


「案内は私が、こちらです」


 校舎の門付近にいた自衛官がそう言うと2Fの職員室だったと思われる部屋の前に来る。


「こちらです、私は持ち場に戻りますので失礼します」


「ありがとうございました〜......入るか」


(この部屋の斜め前のトイレにいる人は見張りか?ここに来る途中にも廊下に突っ立っている人や椅子に座っている人がいたな)


そう言うとノックして両開きのドアを開けて入る。


 コンコンっ


「どうも〜イヴで......痛ッ!はぁ、いつも頭をぶつけている気がする......」


 朔のバカさに部屋にいた階級が高そうな自衛官達の中で少し笑いが起き、こちらに佐藤が来た。


「ここかなり大きい私立校なのに扉の大きさは配慮されて無くユニバーサルデザインじゃないんですよ。申し訳ない......冗談は置いて見せて頂けますか?」


 金かけた学校なのに巨人に配慮してないと笑いながら冗談を言う佐藤を見て、朔は男の顔とかの印象とは違う事言うもんだなと笑い返し携帯を取り出す。


「ハハッ、ここの学校に勤続しているかバスケ推薦で入学していたら配慮されていましたかな?......っとこれです!あとカチコミにバレたんですけど......バレた事自体は撒いたので問題ないのですが変な動きをしていたんですよね」


「カチコミじゃなくてカシコミだって......。それでどんな動きを?奴らは死肉をカバネノミコトという個体に持って行き捧げたり自身も捧げる行為が確認されているが、ただまだ情報は少ないので教えて頂けると助かる」


(イヴさんは元ヤンキーだったのか?いや、記憶を失ったとしても丁寧な振る舞いに対応をする人がそんなわけ無いか)


 何度も間違える朔の元の姿はチンピラなのかと勝手に想像するが、言葉遣いが比較的丁寧なので違うかと自己完結する佐藤。


「えーっと私を見たら死肉の中にいた奴も出てきて直立不動でこちらを向いていたのです。少し止まっていましたが動く気配は無かったです、ただひたすらに見つめてきました」


 それを伝えると少し考え込んだ様子を見せた佐藤は答える。


「もしかしたらカバネノミコトと誤認した可能性があります。奴らは変異体IIIの世話をする特殊個体です、あなたもおそらくIIIに分類されるので味方......というよりは奴らの崇拝対象として認識されたのかも......だが姿は全く違う......いや......」


「もしそうならば操って始末する手間が省けそうですね。にしても何故早く始末しないでいるのですか?居場所がわかっていても倒せないのですか?」


(いや?)


「地面に張り付いているカバネの周りにいるカシコミの数があまりにも多過ぎるのです。それに人間が密集している場所を把握すると襲撃をしてくる特性があり、迂闊に攻め込めずやるならば殲滅し尽くす勢いでやらねばならんのだが......上司は直接危害が少ないので現状維持を選んでいるんだ。......何が危害が少ないだ、カバネノミコトは明らかに成長している。放置すれば危険なのは分かり切っているのに......」


 自分の階級では好きにできないもどかしさに悔しさを感じている佐藤。朔は魑魅魍魎の世界にドン引きしている。


「......うーん......いくつか質問しても?」


「問題無い、私は今日の業務は終えている。それにナックルウォーカーを代わりに倒してくれたんだ、機密情報以外は答えよう」


 そう返されたので無くなった記憶と戻りつつある記憶の間で疑問に思う事などを聞く。


「助かります。では、こんな世界になってどれ程経っていますか?半年くらいですか?」


「いや、まだ5週間前後だ。だが正確なタイミングはわからない。ゾンビは最初は重度の薬物中毒者だと思われていたぐらいだからな、発症が人によってかなり変わるってのが厄介でジャッジメントウイルスの存在に気づくのが遅れてしまったと聞いている」


「ジャッジメント?」


「ああ、日本に審判の日を齎したからな。そう呼ばれている、海外でも同じ名称だ」


「そうですか......国外にも感染者が?」


「ああ、馬鹿なアメリカ軍が感染者ごと国に帰ったんでね。島国以外は日本より酷いらしいぞ、なんでも人間同士の殺し合いの方が感染者による死亡より多い国もある。そうはなりたく無いものだ......そうだ、それで思い出したが私たち自衛隊をあまり信用しない方が良い。民間人狩りをしている連中がいる、それも無線を傍受した情報だから確定なのだが首相の命令だ......全く、そんな権限は無いのにな。」


 そんな酷い事にと驚く朔。


「首相はどこに?天皇陛下も避難されたのですか?」


「陛下や皇族の方々は......わからない。ただ守護の優先順位が最優先だから首相と同じく北海道か沖縄にいるだろう。その二つは島な上に感染者が少なかったために根絶して今平和に暮らせているらしい......がわからない、水を泳ぎ渡る感染者や感染した魚類などもいるからな。完全に安全な場所などもうほぼ無いだろう......」


「......何故本州に支援が無いのですか?沖縄、北海道の他にも余裕のある海外からも無いなんて」


「もう見限ったのだろう、もしくは妨害されているのか。最悪は映画みたいに日本に核を落としてくるかもしれない事だな......」


 俯きながら答える佐藤。朔は別の質問をする。


「そうですか......他に質問なのですが最初の感染者が発見されてから異形の化け物になるまでが早すぎませんか?数は一体どれ程いるのです?」


「......それを大宮駐屯地のアメリカの博士が調べていたが死んだと聞いている。それにそこから来たと思われる君を見るに完全にはわからない。だが壊滅するほどの変異体に襲われた事と、強い変異体の君が生存してこちらに来たと考えるに数は異常なまでに増え続けているのは考えられるな............」


「その中でもカバネノミコトは異端ですよね?地に張り付いて固定されているんですよね?」


 今まで出会ったのは嫌と言うほどに動き回る奴ばかりなので疑問に思う朔。



「そうだ、あれはショッピングモールの広い駐車場の真ん中にいる。横数十メートルに肉の根を張り、縦には7〜8メートルの肉塊が蠢いている。しかもデカい口が四方にあるそこからカシコミは餌を与える。あの行動を見るに蛹か何かとしか思えない、それに......」


「それに?」


「君にはこれは伝えても構わないだろう。初発見時にサーチライトに照らされ時に僅かに肉が透けて中身が見えたんだ......馬鹿でかい人が............ただ私しか見ていない為に誰も信じてくれない、だが君の様な巨体の変異体が現れたおかげで皆の考えは変わるかもしれない......っと失礼だったかな、申し訳ない。だがもし奴が人型ならば貴女をカシコミ達が誤認したのは辻褄が合う」


 この体にコンプレックスを抱いていたら失礼かと思い謝るも朔は思っていない。


「いえ、お気になさらず。むしろ特別感があって記憶はないですが今の自分もそれなりに好きですから。返答ありがとうございました。失礼ですが、どこか休める場所は?ちょっと最近色々あって疲労が......」


 朔は少し1人になりたかった。並木を殺した事も、記憶の事も、確実に脅威となる変異体の話を聞いた事も冷静になって頭の整理をしたかったのだ。



「ああ、君はこのフロアにある空いている第二会議室を使ってくれ。悪いが民間人が固まって過ごしてある場所に貴女が行くと混乱を招くだろう。申し訳ない」


「いや、今まででも助けたってのにそいつがパニクってこちらにボウガンをいきなり撃たれたりしてきましたからわかりますよ」


「......記憶を失って短期間なのに苦労しないる様だな。案内する、こっちだ」


 そう言われて案内された部屋に入った朔。1人落ち着くと泣いていた。その後、やるべき事を済ませて眠る。そして日が変わり翌日になる。

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