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side桜餅 凛々子さんを説得

ATMでお金をおろした俺は、蔵前の家に走っていた。


「怖い顔だな?今、閉めるとこだった」

「これ」

「へぇーー。参加するんだ?入れよ」


蔵前は、俺を中に入れる。


「明日は、少し遅れて行くといい」

「何で?」

「そうじゃなきゃ。周りに人が集まって動けなくなるぞ」

「わ、わかったよ」

「後、初めて参加した事言ったら駄目だから」

「わかった」

「まあ、気楽に楽しめよ?じゃあな」


蔵前に肩を叩かれる。

俺は、お辞儀をしてから外に出た。

少し遅れて行くか……。

俺は、絶対に凛々子さんを助ける。






蔵前のアドバイス通り、少し遅れてやってきた。

だけど……。

一瞬で、囲まれてしまう。


「あの、話しませんか?」

「すみません」

「えっーー。私が先に見つけたのよ」

「あっ、後でゆっくり」


早くしなくちゃ、凛々子さんを見失う。

訳のわからない奴にとられたくない。

何とか女性達を振り切って、近づいたけれど……。


【初参加】だと言えないせいで、逆に誤解をさせた気がする。

それでも、俺は凛々子さんに信じてもらうしかない。

そうしなきゃ……。

凛々子さんを守れない。


「あーー、いたいた。話そう」

「あっ、ちょっとトイレに」

「駄目だよ。私と話そう」


さっきの女の人達が追いかけてくる。

俺は、急いでトイレへと向かった。



「花岡凛々子を選ぶあたりお目が高いな」

「く、蔵前……」


トイレに入ると蔵前が待っていた。


「あそこには、防犯カメラが届いてないってのを誰に聞いた?」

「何の話だよ!俺は、囲まれるからあそこに行っただけだ」

「嘘を上手につけるようになったか?」

「はあ?」

「まあいい。花岡凛々子が選ばなければ終わりなだけだから……。俺は、何も気にしないよ」


蔵前は、俺に近づいてきた。


「花岡凛々子には、2000万払っていいって言われたんだ。俺が勝つか桜木が勝つかだ」

「約束が違うだろ?俺が選べば手を出さないって……」

「もちろんだ。桜木が選んで選ばれればって言っただろ?」



蔵前は、やはり詐欺師だった。

下都賀が見せてくれた契約書のように……。

息を吐くように嘘をついてる。



「選ぶのは、花岡凛々子だ。俺に抱かれた後、2000万で売られるか桜木を選ぶか……」

「ちょ、ちょっと待て。その言い方だと俺以外に初参加者は?」

「今日に限っては、全員違う」



蔵前は、眉毛を上げて答えた。

嘘だ。

俺と賭けをする為に、初参加者を俺しか用意しなかったんだ。

初めから……。

俺との約束なんて守るつもりはなかったんだ。



「仕方ない。自分の運命は自分で選ぶしかないだろ?」

「わかった。ただし、彼女が俺を選べば二度と彼女に近づくな!」

「そんなに睨みつけるな。約束は、守る。ただし、桜木と花岡凛々子がセカンドパートナーとして機能していないとわかった時点で……。俺は、花岡凛々子をいただいて売る権利がある」

「ふざけるな……」


ここに参加したら最後。

一生逃れられないのか……。


「ちゃんと機能しとけばいいだけの話だろ?それじゃあ、楽しんでくれ」


コツコツと靴の音を響かせながら蔵前はいなくなる。


「ふざけるな!!」


凛々子さんが、俺を選んでくれなければ凛々子さんは蔵前に抱かれて売られる。



「好きなのに守ってやる事も俺は出来ないのか……」


涙が頬を流れてくるのを感じる。

トイレの手洗いに近づいて、顔を洗う。

こんな事してちゃ駄目だ。


こんな事をしてる間に、別の男に凛々子さんを取られてしまう。

ポケットに入ってるハンカチで顔を拭う。

好きなら、守らなきゃ!

俺は、凛々子さんを守る為にきたんだから……。



「よっしゃ!」


気合いを入れ直して会場に戻る。

凛々子さんを探す。



「ねぇ、話しましょう」

「すみません。話したい人がいるので」


さっきのように囲まれるけど、俺は交わしながら凛々子さんに近づく。


「何だよ!少しぐらいいいじゃねーーかよ。減るもんじゃないんだからよ。チッ……」


さっきの男が文句を言って凛々子さんから離れる。



「何だ!お前、また来たのか」

「嫌がられてるのはあんたも同じだな」

「はあ?ふざけんなよ」

「あんたと喧嘩する気はない。俺は、その人と話をしたいだけだ」

「勝手にしろ。うざいやつだな。チッ……」


男はイライラしながら、いなくなる。


「隣座っていいですか?」

「あっ、はい」


店員さんが、ワインを持ってきてくれて受けとる。


「嫌なら、すぐに違う所に行くから」

「えっ……」

「選ぶのは、凛々子さんなのわかってるのに俺焦ってた。自分のものでもないのに、凛々子さんを欲しがったのかな?こんな所に来るなら俺でもいいだろって思ったのかも。乾杯」


ベラベラ喋ってワイングラスを凛々子さんのグラスにそっと当てる。



「桜木君……」

「何か話そうか。何がいいかな?あっ、俺ね。実は、ワインよりシャンパンの方が好きなんだ。凛々子さんは?」

「えっ?私もシャンパン派かな」

「一緒だね!何か嬉しい。こうやって共通点見つけられるの」

「そうかもね」



凛々子さんに俺を選んでもらう為にどうするか考えるけど……。

うまく答えが見つからなかった。

だったら、このまま楽しむしかない。

他の参加者達とは違って、普通の会話をする。

体を触ったりとかはせず……。

適度な距離感を保ちながら。



「凛々子さんは、犬と猫どっちが好き?」

「えっ……。今、ここでする話?」


凛々子さんがやっと笑ってくれる。

これでいい。

これでいいんだ。

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