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5. 推しの圧が強すぎる。

のんびり脳死で書いていたら5話だそうです。よろしくお願いいたします。

【少し前 ミク視点】


「よし、そろそろ…戦だ…」


(マティアスが部屋の前にくるはず…。

 はぁ…縫う作業止まるの嫌だけどしょうがないな。

 何とか執着系特有の奇行を止め、もう関わらないためだ…推しだけど…推しなんだけどっ!!!!!!

 落ち着け私…いけるいける…作戦はノックされる前にドアを開けて、挨拶して、体調が悪いから来ないでくださいと謝って閉める…だっ!!!!!!


 どんな顔で会うか…少し嫌そうな顔の方がいいか…?


 いや、でも、私モブだけどお嬢様だからな~そんなあからさまにはやれないぜ…


 …よし少しは口角上げるか…まて、熱があるように見えるかもだし、チークぬっとこ。

 よし、いける)

 .

 .

 .


  ミクは椅子から立ち上がり、鏡台の前で化粧品を取り出し、チークをのせる。

 これは少し熱があるように見せるための作戦である。

 聞こえてくる足音が大きくなったので、急ぎドアの前に行くと、タイミングをみて勢いよく開けた。

(女は度胸―!!!!!!!!!)


 ガチャ


 そこには背の伸びたミクのよく知っているゲームの立ち絵の格好の男がいた。

 そう…いつもより着飾っている騎士団長の制服を着た推しがいたのだ。

 うわぁぁぁぁ!!!!眼福だ~!!!!と一瞬目的を失いかけたがなんとか正気に戻って挨拶をする。


 ドアから少しだけ顔を覗かせるミクの挨拶にマティアスは沈黙のあとに「…かわいい」と返した。

 .

 .

 .


「…ん?」


(え?かわいい?

 ……あれ、まて、これヤバいやつでは??

 チークがダメだったか??

 なに顔赤らめてんだ…いやイケメンだけど、そういうスチルあったけど、イケメンの赤面はご褒美だけど!!!!!!!!!!!


 違う。

 待ってくれ。


 君は18になったらヒロインと出会うんだよ????????

 それが運命なんだよ??????

 いけない。

 これでは監禁エンドまっしぐらだ。

 よし。

 とにかく帰ってもらおう。

 うん。

 それから今後のことを考えよう)


「…あの、マティアス様、私、体調がよくないんです。

 うつしたくありませんし、申し訳ございませんがこれで失礼し…」

「待ってくれ。体調が悪いのか? 

 なら、俺が看病するよ」

「え、いや大丈夫です、大丈夫、大丈夫!!」

「安心してくれ、君は知らないと思うが、俺は何年もここに通っているんだ…ちゃんと君の代わりにメイドを呼びに行けるから」

「へぇ…そうなのですね……じゃなくて!!!!」

「ほら…抵抗しない、ミクはいい子だろ??」

「…………はい」

 .

 .

 .


  ミクはゆっくりと丁寧にお姫様抱っこされ、マティアスに抱え込まれている。


(ぐぅ…困った。意味の分からない圧かけられた。それだけじゃない。


 私いま…推しに運ばれている!?!?


 むり。

 現実逃避しないとちょっと意識が持たない気がする。

 まてまて。

 どうするよ…作戦に失敗して部屋にまで入れてしまった。

 なんとかすぐに帰ってもらわないと…。

 え?なんで強引にいかないのかって?

 おまえも推しに言いくるめられたらどうにもできんだろう?

 そうだろう?

 オタクならそうだろ!?)


 この脳内会議はマティアスがミクをベッドにおろすまで続いた。

 マティアスはしっかりと布団をミクにかけ、部屋の中を見回す。

 ミクの方に向き直って微笑んだ後に、静かに部屋を出て行った。

 たぶん使用人を呼びに行ったのだろうとミクは思った。


「とにかく逃げるに限る…」

 マティアスの足音が遠くなったことを確認したミクは急いで部屋をでて、とりあえず図書室に逃げる。

 必死こいて図書室についたミクは安心する。


 ミクが15歳になるまでマティアスから逃げていたことを思い出してほしい。

 彼女はどこに隠れていたのかと疑問には思わないだろうか?

 答えはこの図書室である。

 ミクがマティアスと初めて会ったあの日以降、屋敷内の逃げ場を探しまくっていたことで発見された場所がある。

 その場所は図書室の奥にある本棚の床にあった。

 床に小さい取っ手があって、それを引くと中に入れるのだ。

 最初はかなり汚い何もない部屋だったが、現在は掃除したので綺麗な空間になっている。

 ミクは今回もここに逃げ込んだ。


 数分後、バタバタと数人の足音がしてきた。声も聞こえる。

 耳をすませると、マティアスの声も聞こえた。

(私を探してる…やばい)

 とミクは困惑した。

 まぁ、予想できるが、メイド達を呼びに行ったマティアスは、部屋にミクがいないことに気づき、慌ててミクを探し始めた。そこにやってきたメイド達も気づき、一緒にミクを探し回っている状態である。

 ミクもそのことにやっと気づき、このままでは大事になってしまうので、一旦隠れ部屋を出て、しれ~っと図書室の窓際に座っていることにした。

 どうすれば帰ってくれるのかと考えながら廊下の方を見つめるミクの表情は、また昔のように死んでいた。


怒られそう。

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