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3. 15歳になった私はモブだった

三話です。よろしくお願いいたします。

 あれから数年経ち、ミクはマティアスとのエンカウントを無事回避しながら、15歳になっていた。


 なぜエンカウント回避をしているのかというと、ゲームでは親しい仲になったキャラ(勿論プレイヤーも)を主人公は「執着」の対象にしてしまい、そのキャラの自由を奪う展開が多かったからだ。

 これは男女関係なくそうなので、私もきっと対象になってしまう可能性があるのだ。


 自由がないということは、つまりコスプレできないということだ。

 これでは今後の順風満帆のコスプレライフが叶わなくなる。

 これはできる限り主人公と他人にならなければいけないなと考えた上でのミクなりの対策だったのだ。


 そして、この数年でミクはこの世界についての詳細を集め終えていた。

 まず、この世界はミクの知っている通りの乙女ゲーム「夢のはざまで」の世界だと確信できた。

 この乙女ゲームは一つの大陸に四つの国が存在しており、それぞれの国を色で表現していたので、プレイヤーたちは単純だか「赤の国」、「青の国」、「白の国」そして「黒の国」と呼んでいた。

 公式の設定では四つの国にはちゃんと名前があったようだが、ミクはそこまでは覚えていなかった。

 確か設定では、主人公であるマティアスがいる赤の国は好戦的で、思慮深い国民性になっていたが、ミク的にはそう感じない部分の方が多いらしい。


 ゲームの物語は18歳になったマティアスが青の国の姫君であるプレイヤーと、赤の国主催の友好パーティーで出会う所から始まる。

 二人はその後何度もイベントを繰り返し、最後は二つのエンディングに分かれる。

 一つは普通に二人が結ばれて、結婚式でキスをして終わるお幸せにエンド。

 そしてもう一つが主人公に異常に執着され、監禁されるエンドである。

 大体のプレイヤーがこの監禁エンドにいってしまうというカオスなゲームだったのだ。


 そして、このゲームは「執着系溺愛」がメインテーマであるせいか、主人公以外のサブキャラクターたちもかなり癖が強かった。

 執着どころではない。

 ミクはプレイヤーがストーカーじゃんと恐怖すら感じるようなスチルもあったなと思い出した。

 メインで堕とせるキャラはマティアスを含めて5人だが、みんなそんなんだったので、口コミには選択の画面で困ったとよく書いてあった。


 まぁとにかく、マティアス関係のキャラはみな同類、「執着系」ということである。 

 ミクの家も関わってしまっているので、つまりは周りの人もそうだということになる。

 これに気づいてから、ミクは

(今後私はどのような顔で過ごせばいいのか…いやだぁぁぁ!!!!

 ストーリー始まる前に家を出なくては…死ぬ!!)

 と悩んだものである。

 あとは、毎日お嬢様と言われながら生活する中で、ミクの家はゲームではモブ側だと何となくわかってきたらしい。

 .

 .

 .


 現在ミクは自室に籠って、集めた情報をまとめた本を見ている。

(はぁ…ここまで分かったけど、とりあえずの目標は決まったな…18歳では遅いから…17歳になるまでに我が家を出て、一人暮らししないと、順風満帆なコスプレライフは過ごせないっ!!!!!!!!!

 頑張ろわたし…お前も監禁されたくないよな?

 誰に言ってるんだって?

 黙れ。こうでもしていないとすぐにキャパがな!!!!!!)


 ガチャ


 一人で脳内ツッコミをしていたら、部屋のドアが勝手に開かれる。

「やぁ…」

「…だれでうか」

(……噛んだ。はずかしい)

「まぁ、そうか。お前が生まれた時以来か?

 かなり久しぶりに顔を見せたからなオレ…」

「え…」

「…大きくなったな、ミク」

「お父様…?」

「父親らしいことしてないがな…」

(…あれ、初めて父親に会うことができたな。

 見たことない顔だわ…。

 ふむ、ゲームでも出てこない顔、やはり我が家はモブらしい。


 これで確定した。


 推しなどのキャラ達と関わらず、フラグをへし折り、目標通りにいけば、「監禁されるエンド」から離れて、無事に自由になれるかもしれない)


 父親の顔を見て違う意味で安心したミクは安堵からか涙を流した。

 傍から見たら父親と初めて会えて感動したように見える。

 そのせいか父親と、部屋の外から見守っていた母親、そして使用人たちが一斉にミクを包み込む。

 ミクは違うんだ、そうじゃないと思いながら感動している周りの人間を見つめた。

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