二人のその後。
「湊斗くん。ご飯出来たよ」
「ありがとう、姫奈」
彼女に誘われて、席に座る。
「湊斗くん、あーん」
「あーん」
隣に座った姫奈は手作りのカレーをスプーンですくって、自分の口の前へ持ってくる。少し恥ずかしさを感じながらもカレーを口の中に入れてもらい、そのまま頬張る。
「美味しい……?」
「美味しいよ」
「よかった……!」
姫奈はにっこりと笑って、また次の分のカレーをすくい始める。
何だか楽しそうだ。そして……かわいい。
「今日もかわいいね」
「ん……ありがとう……」
姫奈は少し顔を赤くして、その場で少し止まる。
「照れてるの?」
「う、うん……」
「照れてる姫奈もかわいい」
「ん……もういいから……」
そう彼女は言って自分の口に、やや強引に次のカレーを入れてきた。
☆☆☆☆☆☆
「今日は一緒に帰れる?」
「うん」
学校に行く前、姫奈からのお誘い。
それから学校が終わって、予定通り姫奈と二人で家に帰る。
今日は雨だ。天気としては憂鬱だが、一つの傘を二人で共有している分、姫奈との距離は近い。
「傘、持ってくれてありがとう」
「どういたしまして」
心地よい雨の音を聞きながら、同じ帰り道を歩く。今日は休みだ。
「今日は二人でイチャイチャ出来るよね……?」
姫奈は隣で少し頬を赤くさせて聞く。
「うん……出来るよ」
それを聞いた瞬間、心臓がドクンと一回大きく跳ね上がる。イチャイチャと言葉に出されると、心臓にくるものがある。
「そっか。やった」
頷いて微笑むと、姫奈も笑って口元を緩める。
ドックン ドックン ドックン ドックン
鼓動が高鳴ってくる。
「早く家に帰って二人になりたい」
「そうだね。でも、姫奈と二人で帰るこの時間も好きだよ」
それから、家につく。
鏡を見てみたら、左の肩はずぶ濡れになっていた。
着替えをして、リビングに行く。
「湊斗くん。今日も疲れました……」
「おいで」
「うん……」
手を広げると、姫奈はそっと抱きついてくる。僕も姫奈をそっと優しく抱きしめる。
「んん……あったかい」
姫奈は自分の胸の中で囁く。彼女の鼓動が伝わってくる。
それから、姫奈の頭を撫でる。サラサラで触り心地の良い髪。
「疲れが段々取れてきます……」
「俺も……」
呼吸が段々と深くなっていく。体に溜まった疲れも、じんわりとどこかへいくようで……
それから、数分そのままでいた。
彼女が今度は上を向いて、見つめてくる。
「湊斗くん。大好きだよ」
「俺も大好き」
「にひひ」
そう二人で笑い合い、それからもう一度、今度は今よりも少し強く彼女を抱きしめる。
(幸せだ……)
これに尽きるひと時だ。
これからも彼女を大切にしていくと誓う。この世でたった一人の、かけがえのない彼女を。
活動報告にも書かせて頂きましたが、これにて完結とさせて頂きます。読んでくださった皆様、本当にありがとうございました!