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53 二人はどこまで繋がっているんだ?

「湊斗くん、今度の土曜日休みよね?」

「そうですよ」


 次の日の放課後、維持署についてから自分のデスクに座ろうとした時、突然、先に隣で仕事をしていた小林先輩が休みの話を持ちかけてきた。

 

 元々、家のパソコンでいつ休みなのか確認していたので、今週は土曜日が休みということは分かっていて、土曜日に姫奈と出かける予定になっている。


 だが、元々今週の土曜日は前に見た時に何かあったような気がして、それが心に引っかかっていたのだが……


 そして今、小林先輩が土曜日の休みの日のことをニヤニヤしながら聞いてくるので、嫌な予感がしてきている。


 そのまま、自分の席に座って黙り込む。

 

「……」

「どうしたの、何が言いたそうな顔してるけど」

「気のせいだと思いますが」


 もう、何となくは分かっている。きっと小林先輩が何かしたんだろうなということは。

 それが本当なら嬉しいといえば嬉しい事だが、逆に他の人に迷惑がかかっているんじゃないかと心配になる。


「……小林先輩が休みにしたんですか」

「せいかーい!分かってるじゃないの」

「……」

「何で黙り込むのよ」


 そのまま真顔で小林先輩を見つめていると、小林先輩が目を細めて見つめ返してくる。

 

 確か、自分の記憶では土曜日は講演会の準備だったはすだ。それだったら、自分が休みになったのなら変わりが必要になるだろう。

 もしそうなっているのなら他の隊員に申し訳ないし、自分も気持ちよく姫奈と過ごせない。


「休みを取ってもらったのは嬉しいのですが、きっと自分が抜けて誰かに迷惑がかかってますよね?」

「あぁー大丈夫よ。講演会の準備だったけど、あれ人手充分足りてたから、湊斗くんはいらなかったのよ」

「そうだったんですか……」

「そうよ。だから心配しないで、姫奈ちゃんとイチャイチャしてきなさい!」

「……」


 とりあえず、誰にも迷惑はかかっていなさそうなのでよかった。

 でも、自分がいらないと言われて心外だったし、自分がいたら他の隊員が休めるんじゃないか?と思ったが、今回はありがたく休ませてもらうことにする。


 やけに小林先輩のテンションが高くなっているのが気になるが、そのまま自分の仕事に取り掛かることにした。


☆☆☆☆☆☆


 取り掛かってから数分後……


「気になるんですが、小林先輩は姫奈とどこまで繋がっているんですか?」


 目の前のパソコンを見ながら小林先輩に話しかけると、小林先輩もパソコンを見ながら自分に返してくる。


「えー、それは内緒よー。女の子同士の秘密なんだから、男の湊斗くんが気にしちゃ駄目なところよー」

「あー、そうなんですか……」

 

 あっさりと断られてしまう。自分としては、姫奈が自分についてどれだけ小林先輩に話しているのか知りたい。


「それじゃ、姫奈は自分の事、どれくらい小林先輩に話しているんですか?」

「そうねー。ほとんど湊斗くんの話題だけどー」

「え?」


 驚いて小林先輩の方を向く。すると、小林先輩も横を向いて目を合わせてくる。


「何よー。姫奈ちゃんは湊斗くんと一緒にいる時間が長いんだから、自然とそうなるに決まってるじゃない」

「いや、もっと他に話題はあるんじゃないですか?最近の流行のファッションの話とか、お気に入りの化粧品の話とか」

「あー、そういう話も少しはするけど、やっぱり湊斗くんの話よねー」

「自分の何の話をしているんですか!」

「色々よ、いろいろ、いろいろ」

「その色々が気になるんです!」


 小林先輩は薄ら笑いで誤魔化してくる。茶化されているようで、いい気分ではなかったが詮索をするのはあまりよろしくないと思っていながらも、やっぱり気になってしまう。


「それじゃ、一つだけ聞きます」

「何よ~」

「自分が面倒くさいとか、気持ち悪いとか、自分と一緒にいると嫌みたいなことを姫奈は言っていませんか?」


 その言葉を聞いた小林先輩は、先ほどの薄ら笑いをやめ、今度はやけに真剣な顔で自分のことを見つめてくる。

 その一瞬の変わりように自分は困惑してまい、汗が顔をつたってくるように感じる。


「……な、なんですか?」

「逆に、湊斗くんはそういうようなことを姫奈ちゃんにしてると自分で思っているの?」

「それは……思ってませんが……」

「そう、そのまんまよ。姫奈ちゃんは湊斗くんの悪い所なんて一切言ってこない。私に言わないのなら何とも思ってないはずだわ。もっと湊斗くんは自信を持ちなさい」

「は、はぁ、分かりました」


 少し説教を食らったようで、困惑が続いているものの、何も言っていないのなら安心した。小林先輩とは敬語を使っているものの、それは目上の人だからだと思うし、姫奈も普段気を遣わずに話しているように見えている。だから何も言っていなくても隠し事もしていないだろうと安心できる。


 っと話にはまだ続きがあるようだった。


「でもね、湊斗くんがあまり家にいないから寂しいって言ってたわ」

「本当ですか……」

「うん。まぁ、厳しい所よね。湊斗くんも学校に、治安維持隊に、姫奈ちゃんのことまで、ハードよねぇ」

「自分は姫奈と過ごすのは何の苦も思っていませんが、やっぱり、もっと姫奈といたいのは内心思う所です」

「そうよねぇ……寂しさを感じさせないほどに濃厚にいてあげるしかないわねぇ」

「濃厚に……はい」


 濃厚にっと言われ、どうすれば濃厚になるんだと頭でクエスチョンマークが浮かぶもすぐには想像できない。


 今でも精一杯、姫奈といれるときはいるものの、それが十分に時間が取れているかというと、取れてはいなかった。

 それは悩みのツボであったが、これ以上、治安維持隊に迷惑をかけることは出来ない状況であり、厳しい状況だった。


「すいません、もう一ついいですか?」

「……何よ?」

「今回休みを取ったのは、姫奈に頼まれたからなんですか?」

「違うわ。湊斗くんと一緒に出掛ける約束をするっていうのは聞いたけど、休みを取ったのは私が勝手にしたことだわ」

「あぁ……そうだったんですか。わざわざありがとうございました」

「ふっ、まぁ私も姫奈ちゃんのサポートをしなくちゃいけないからね」

「……何のサポートを」

「さぁ……」


 この話の流れでいくと、普通に姫奈をサポートしている……とは思えないのが少し引っかかる。


 小林先輩はいつもの調子に戻り、また口元がニヤついてきていて、その姿に安心するものの、また茶化されたようで、もうこれ以上は聞かないようにして自分の仕事を続けることにした。


(今週の土曜日か……)


 もう明後日だ。まだ心の準備は十分に出来ていないものの、内心楽しみでいっぱいだった。

 

お久しぶりです(´;ω;`)

長らく休載していましたが、本日と明日のみ投稿を再開致します。

活動報告に書かせて頂きましたが、まだしばらくは毎日投稿が出来そうにないです。申し訳ありません。

今後も気長に投稿をお待ちいただければ幸いです(ᗒᗩᗕ)

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