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46 新学期

 長かった冬休みも終わり、今日から新学期となって姫奈も今学期から登校する事となっている。彼女としては二学期は行っていない為、一学期以来、約六か月ぶりの登校となる。

 随分と間が空いたため姫奈も初日は緊張すると思うが、彼女の性格で何とか乗り越えられるだろう。


 でも、自分は姫奈の弱い部分を沢山見てきたわけだし、これから彼女が外に出ることも多くなる中で何かあるのではないかととても心配だ。

 自分の前だけでは気を遣わずに気軽に接してくれているものの、彼女が学校に行ったら、また女神様が復活するんだと思う。

 それに久しぶりの学校だから、自分と気軽に接してきた時間が長い分、学校に行って急に皆に気を遣って振舞わなければならなくなって、きっと彼女は無理をするだろう。


 そこは自分が何とかしてあげなくてはならないな……


 今は朝食を食べ終わり、姫奈は自分の部屋に行って学校へ行く準備をしている。二人とも学校の宿題は遥か昔に終わっていて最後まで焦るという事はなく、余裕を持って前々から準備が出来ていた。


 自分はもう、学校の制服を着ており後は姫奈を待つだけだった。男の自分はササっと着替えてちょろっと髪を整えるだけだが、女の子は準備に時間がかかるんだなと感じた瞬間だ。


 何だか同じ家にもう一人同じ制服に着替えている人がいると思うと変な感じで、不思議な感覚だ。


 リビングで待っていると制服姿で姫奈が隣の部屋から出てきた。


「……どう?湊斗くん」

「……す、めちゃくちゃ似合ってる」


 目の前の姫奈がまぶしすぎて言葉が直ぐには出てこない。


 姫奈の透き通った琥珀色の瞳といい、子猫のような鼻といい、プニプニな頬っぺたといい、とろけるような唇といい、それに前と違う髪型、その容姿だけで心を奪われそうなのに、学校の制服とやらは何か魔法を持っているらしい。

 元の美しい姫奈の容姿をより一層際立させていてもう、キラッキラに姫奈を輝かせている。


 自分たちの通っている高校は私立高校で、制服はやけに力を入れていて、特に女子はお嬢様が身に着けていそうな上品な制服になっている。


 なぜ自分が私立高校に進学したかは、伊織も一緒で予め治安維持隊に入学する高校を指定されていたからで、そのため学費は免除されているので何も負担していない。


 制服は黒を基調としており、首元には大きな赤色のリボンが中の白いカッターシャツにつけられていて、所々にゴールドのラインやゴールドのボタンがあしらわれており、左側の腹の部分にまたゴールドの線が入った黒の大きいリボンがある。

 

 スカートの部分にもゴールドの線が入っており、下の部分には白いギザギザの生地がはみ出ている。


 その制服と姫奈の容姿が絶妙にマッチしていて、見ているこっちまでも頬が赤くなってくるようなそんな勢いだ。

 男子がこぞって告白することが今完全に理解できる。見た目だけで落とされるものだ。


 まぁそれが原因で、姫奈の中身をちゃんと見ていない奴がうろうろと彼女の周りにうろついているんだなというのも何となく想像できる。


 後、前と違う髪型というのは、冬休み中に姫奈が髪を切って、長いストレートヘアからボブになっており、髪が肩の上ぐらいにまで切られていて前とは全く雰囲気が違っている。


 何だか、子供っぽさが増したようで、自分的には今の髪型が前の髪型よりも姫奈に似合っていてかわいいと思う(前の髪型も良かったけど)


 だから、いつも見ている姫奈とは全く違った姫奈が目の前にいるのだ。


「そ、そのかわいいというか……」

「み、みなとくん、その言葉は……」


 かわいいと言ったとたん、姫奈の顔が一気に赤くなる。


 とまぁ、お互いに顔を赤くして目が合わせられないほどになっていて何だか自滅してしまったような雰囲気になってしまっていた。


(未だに姫奈に弱い自分が憎い……)


 そう感じるほど、自分の弱みを握られているような感覚で嫌な気分ではないものの、男としてはなんだか悔しかった。


☆☆☆☆☆☆


 二人ともある程度は学校へ行く準備を終えて、登校することにする。

 一緒に登校するのが一番いいのだが、自分の学校での身分や制約上それは出来ない。


 もし姫奈と一緒に登校しているのがバレたら、クラスの奴らから質問攻めされるのは間違いないだろうし、それでもっともっと学校での居場所を無くしていくだろう。

 逆にそれを避けようとして、姫奈と住んでいることを言ったら殺されるだろうし、治安維持隊に入っていることは絶対に言えない。


 だから、どうしても姫奈とは一緒に登校することが出来ない状況だ。


 それでどうしたかというと……


「姫奈、これ渡しておく」

「……何これ?」


 姫奈に渡したのは防犯ブザーのような物で、ボタンが付いていて、何かあった時にそのボタンを押したら自分に連絡が入って、その物が発信する位置情報を頼りに助けに行くことが出来るものだ。

 一応、治安維持隊で同じような物が使われていて「緊急ボタン」なんていうシンプルな名前で呼ばれている。

 これがあったら、すぐに助けに行くことが出来ると思うし、学校の登校以外でも何かあった時に役に立つだろう。


「このボタンを押したら自分の所に連絡が入って、位置情報を頼りに姫奈の所に行くことが出来る。何かあったらボタンを押してくれ」

「……ありがとう」


 姫奈は渡したボタンを不思議そうに見ている。彼女は少し困惑しているようで、女子高校生にこういうのを持たせるのはいかがなものかと思ったが、これが自分なりに出来る最大限のことだと思った。

 一応、デザインは周りから見られても変な物とは思われないようなデザインだが……


「ごめんな、変な物持たせて……。その、心配なんだ」

「……変な物だなんて思ってないよ。お父さんが子供に防犯ブザーを渡すのと一緒だよ。私のこと心配してくれてありがとう」

「うん。別に子供扱いしてるわけじゃないからな」

「分かってるよ」


 やけにかわいい表現をするなと思いながら、少し誤解が生まれそうなのを思い出して言葉を続ける。


「その、常に位置情報を発信しているわけではないからな。だからそこは心配しなくていい」


 すると彼女は少し目を細めて、口元がニヤける。


「大丈夫だよ、湊斗くん。別に変な所に行ったりしないし、ちゃんとこのお家に帰ってくるから、逆に位置情報を発信し続ける物でもいいんだよ?」

「そんな物、渡すわけないだろ!」

「あははっ」


 変なことを言い出すので、少し大声で否定すると彼女はそれを面白がるように笑った。

 別に悪い気はしなかったが、彼女も冗談で言ったようだし気にしないようにした。


 そのまま姫奈はそのボタンを制服のポケットに入れて、学校のカバンを持って二人で玄関に向かった。


「ごめんだけど、先に姫奈が行ってくれるか?後から距離を取っていくけど、怪しまれないようにはするから」

「分かった。湊斗くんと行きたいけどしょうがないことだもんね」

「あぁ、ごめんな……」


 一緒に行きたいと言われ、名残り惜しかったものの、どうしようもなくただ姫奈を見つめることしか出来ない。

 姫奈も少ししょんぼりとして心残りがありそうな顔をしたけど、そのまま玄関の扉を開けて「いってきます」と言ってから部屋を出て行った。

 そのまま自分も彼女に「いってらっしゃい」と言う。


 それから自分も少し時間をおいて、玄関のカギを占めて学校に向かうことにした。

作者としては一緒に行かせてあげたいです(≧Д≦)

制服の説明、下手くそでごめんなさい(´;ω;`)

服装の説明、難しいですね……

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