00 女神様の急な問いかけ。
「ねぇねぇ湊斗くん」
「何だ?」
「私がすっぴんの時とメイクしてる時とどっちがかわいい?」
ソファから顔を上げ、うつ伏せで寝そべりながら両手を頬っぺたにつけて、何やら好奇心旺盛な子供のようにこちらを見ている。
琥珀色の瞳を輝かせて頬を薄紅色に染めながら、天使のような優しい声が聞こえてくる。
(急に何なんだよ……)
自分はこういう質問にはあまり慣れていない。女性慣れしていないしどう答えたらいいか浮かんでこないからだ。でも自然と彼女の場合は浮かんでくるのだから不思議だ。
「まぁ、メイクしてる時の顔だな」
「え、どうして?」
返ってきた回答が意外だったらしく、彼女は眉を上げて両目を大きく開げる。
「どうしてって……」
「すっぴんって答えると思ったんだけどな……」
「いや、まぁすっぴんがかわいいのは当たり前だし、それにもっとかわいくなろうって手間を掛けてメイクするわけだろ?それですっぴんの方がかわいいだなんて失礼だと思う。だからメイクしてる時の方がかわいいと思うし、実際そうだ」
「ふーん。そっかぁ」
変なことを言ってしまったのかと一瞬焦ってしまったが、その心配はいらないようだった。
彼女はうふふっと笑ってから少し口元をニヤっとさせた後に、ソファに顔をうずめて足をバタバタとさせた。
(どうしたんだよ)
何だかこっちまで恥ずかしくなってきて、自然と頬が赤く染まっていくのを感じた。