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IF 学校に来た不審者を撃退(湊斗only)

本編は朝投稿していますのでそちらをご覧ください。この回は湊斗くんが不審者をぶっ飛ばすだけです。姫奈さんの事は一切出てきません。

 ある日の事だった。


(はぁ、)


 授業中に珍しく腹痛になり、教室を抜け出してトイレに閉じこもっていた。今や、腹の痛さと教室を出る時の周りの視線で気が逝ってしまっている。


 トイレから出て洗面所で手を洗っていると、鏡に微かに人影が写る。


(誰だあれは)


 黒色のニット帽とサングラスにマスク、黒色の上着にジーパンを履いていた。どっからどう見ても不審者である。


(これ結構やべぇやつなんじゃないか)


 本当に、一瞬しか見えなかったので男の服装ぐらいしか判断出来なかったが、何か不審物は持っていそうだ。

 何もなければいいのだが、明らかに何かありそうな空気だ。


 っと。


「お前らぁぁぁぁぁ!手を上げろぉぉ!さもねぇとぶっ殺すぞぉぉぉぉ!」


 っ!?


(マジかよ)


 男の根太くて大きい声が近くで聞こえてくる。自分の推測は当たっていたらしい。

 きっと自分のクラスに入り込んだに違いない。一階にある自分のクラスは教室群の一番端にあり、すぐ先には扉があって外と繋がっている。だから簡単に出入り出来るような造りになっている。

 なので、外から何かしらの不審者が入ったら一番最初に狙われるのは自分のクラスだ。


 本当に一瞬の出来事過ぎて、さっきまでの憂鬱な空気から一気に覚める。


(っく何でこんな時に……)


 この状況で有利なのは自分なはずなのにめちゃくちゃ焦っている。なんせここは学校だ。

 普段から事件に慣れている自分に取って不審者を撃退するぐらいならそんなに難しい事ではない。ある程度の事は学んでいるし、戦闘能力も他の人よりか高いはずだ。

 なのに、制約のせいで今すぐには動けない。維持隊に入っているってバレたらただじゃ済まされない。

 教室には伊織がいるが、きっと彼もすぐには動けない状況だ。同じ制約を持つ者として彼も戸惑っているはず。


(こうするしかないッ)

 

 もうこの状況で何も出来ないなんて、逆に維持隊員として終わっていることだ。なんせ生徒数十人の命が掛かっている。

 普段は憎いやつらばかりでも、彼らも大切な誰かの一人なんだから、町の安全を守る身として動かなければならない。


 そうして変装用のメガネを外し、ブレザーを脱いで髪をたくし上げ、少しでも普段と違うように見えるよう自分で何とかした。


(これなら少しは大人っぽく見えるだろう)


 鏡に映る自分は、普段見ているのと変わりなくて特別感なんて一切ないが、低くても高校三年生ぐらいに見えればいいと思っている。例えバレたとしても、高校三年生なら十八歳以上だし許容範囲だ。

 そうしてトイレを出ることにした。


☆☆☆☆☆☆


 予想通り自分の教室に男がいた。家庭用の包丁を手に持って振り回しながら暴れている。クラスの奴らは後ろに流れ込んでいて、見るからに顔が引きずっている。

 

(こんなドラマみたいなことがあるのか?)


 目の前の光景が信じられなさすぎて、自分の目を疑ってしまう。でも残念なことにちゃんとした現実だ。

 モタモタしている暇はない。


「お前、何をやっているんだ」

「あぁ?なんだてめぇ?殺されてぇのか?」

 

 男は包丁をこっちに突き出して脅してくる。こんなパターンの奴は何度か見たことがあるし、どんてことない。付き合っていても無駄だ。


 教室の奴らは誰だ誰だと呟いている。今の所はバレていないようだ。


 男に近づくと遠慮なく包丁を突き出してきて、自分の胸に刺さりそうになる。その手を交わして、男の腕を掴み、そのまま背負い投げをした。

 

「うわぁっ」

 

 情けない声を出しながら男がその場に倒れる。そのまま手首を強引に掴んで包丁を落とさせて抑え込む。

 

「おぉ…」


 後ろからクラスの奴らの腰抜けた声が聞こえる。皆に見られてると思うと恥ずかしい。


 と、そこにちょうどいいタイミングで藍住隊員がやって来た。


「何事ですか!?」

「藍住先生!不審者ですっ!」


 後ろでオドオドと縮こまっている生徒達が、藍住隊員を見るなり声を変えて藍住隊員に助けを求めた。

 ある程度の生徒や先生は藍住隊員が維持隊に入ってるのを知っているからこの状況で頼りになる人だと分かっている。

 だから、あぁやっとちゃんとした人が来た、これで安心だなんて思ってるんだろう。


 自分なんて、所詮は突如現れた謎の人物だからな。


「君、大丈夫か?」

「大丈夫です。先生、どうしましょう?」

「そうだな、とりあえず私に任せてくれ」

「お願いします」


 ちゃんと自分の名前で呼ばなかった事に安堵する。 

 不審者の男を藍住隊員に任せ、自分はすぐにトイレに戻ることにした。

 あまりその場に居たくなかったし、藍住隊員が居ればもう安心だからだ。


(はぁ、何なんだよ今日。災難すぎないか)


 不運の連続で心身ズタボロだ。全くツいてない日すぎて死にたい気分。

 やれやれと言いながら、元の姿に戻った。


(バレてねぇかなぁ……)


 多分バレていないが、初めて学校で素顔を見せたし思いっきり見られたので、今後町を歩いてる途中に声なんか掛けられたりしたらややこしくなる。正直、不審者の事なんてどうでもよくなっていて、日常茶飯事過ぎて考えるのが嫌だ。


(あぁあ)


 それからしばらくの間その場で時間を空けてから教室に戻ると、教室の奴らが目の色を変え凶器の目でこちらを見てきた。

 まるで「こっちは大変だったんだぞ」、「お前は何してたんだ?」みたいな顔をしてくる。


(いや、お前ら助けたの俺だからな)


 そう思ってもしょうがないことだが……


 ただ一人だけ、伊織だけがニヤニヤとしてこちらを見ていた。

 そしてそのまま帰ることとなった。

湊斗くんは真面目なので、あまり妄想なんてしないですが、作者は中二病なので、皆から不審者救ったらモテモテだろうなぁなんて思ってたりしてます(おい)

くれぐれも想像の範囲内にお留めください。作者はこんな経験ないですし、湊斗くんなら出来ると思って書いたので、もしこんな状況にあっても不審者にむやみに当たっていかないでください(自分で書いておいてすみません)

結論、湊斗くんはすごい!

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