国王様は黒歴史を隠したい(進行中)
『国王様は振り返る』
執務室で一人の国王が髭を撫でながら、物思いにふけっている。
儂も年を取った…
西側諸国と協力し、経済発展をさせながら安定した生活を民が送れるようになった…
息子や娘たちに政略結婚をさせてしまったのは、今でも悔やんでおる…
ここ最近東側諸国の動きが怪しいからのぉ…
嫁がせた第ニ王女の娘が安全ならいいのだが…
突然、執務室の扉の外から比較的早いノックがされた。
王は一人の時間を邪魔されたのを残念に思いながら静かに
「入りなさい」
と言った。
『国王様は報告を受ける』
外交官の一人が息を切らしながら執務室に入ってきた。
「失礼します国王様…」
「報告事は落ち着いてしなさい…」
そう言って国王は外交官を面接席に座らせた。
物腰が柔らかい国王は皆から慕われている。
国王は執務をする席から、外交官の対面の席に座った。
呼吸を整えた外交官は話し始める。
「それでは報告です。東隣国の『カトチ』が『召喚の儀』を行いました!」
「カトチは『召喚禁止条約』に批准していたではないか!」
「それが…条約の内容には違反していない召喚を行ったらしく、東側諸国はこの期に戦争を仕掛けるとの噂が既に!」
「ふむ…噂では動けぬが、早急にその召喚の方法の確認、召喚された者への接触と万が一のカトチへの制裁準備をしてくれたまえ。儂は今一度条約の確認を行う」
「…!了解しました!」
そう言って外交官は執務室から出ていった。