最悪な考察
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メルディアを何とか落ち着かせて会議は何とか再開することが出来たが、メルディアに恐怖心を抱いてしまったジャバウォックは胡座をかくミックスの上にリザーナとともにのりしがみついて離れようとしない状態である。
だが、どうしても今回の元凶である黒いローブを被った者について少しでも情報が欲しい為、ミックスが対応する事になったが、結婚して子どももいる大臣や族長らもいる筈で子どもの扱いはミックスよりもなれている筈だ。
だが、聞き出さなければならないのはただの子どもではないのだ。
不死身として名高い高位階級であるジャバウォックである為に下手に怒らせたり機嫌を損ねたら自らの命の危険があるから仕方ないというのだ。
確かに、メルディアとジズには恐怖心をイダイテル為に会話できたリザーナが信頼しているミックスならば守ってくるという言葉の通りに胡座をかいて頭を撫でてやり、その横にリザーナがいれば落ち着いて話してくれるだろう。
「なぁ、ジャバウォック。その黒いローブを被ったやつって何か変だなって感じたりしなかったか?」
「…背が小さくて、あのおばちゃんよりも魔力が弱かったけど、抵抗出来なかった…」
「そうか…他に何か覚えてることは無いか?何でもいいんだ。お前の棲みかを荒らしたやつを俺らがぶっとばしてやるからな?」
「そっか…ミックス強いもんね。けど、後は…あ…言葉がわからなかった?」
「えっ?人の言葉じゃなかったって事?」
「うん。何か魔物ぽいような言語だったと思うよ?後覚えてるのは緑色の長い鼻…?」
ジャバウォックの言っていることが全て性格ならば、その正体は醜小鬼の特徴に一致したため、ジズは直ぐ様、ガーデンブルグ王国に使いの有翼人に醜小鬼が【オルドロール湿原】の洞窟に住み着いている可能性があると手紙を書いて渡して向かわせたのだ。
メルディアよりも魔力が弱く感じても不死身として名高い高位階級魔物であるジャバウォックを封じ込める力やダンジョンボスにするだけの力を持った醜小鬼が
【オルドロール湿原】の洞窟で何かしようと企んでいると考えるのが妥当であろう。
「でも、【オルドロール湿原】の洞窟じゃないと駄目な理由って何?ジャバウォックみたいな高位階級魔物に不用意に近づく程、醜小鬼はマヌケじゃないでしょ?」
「いや、逆に考えたら不死身として名高い高位階級魔物であるジャバウォックがいるのを知ってて試したっていうのが正しいんじゃ無いのか?」
「せやなぁ…確かに不死身として名高い高位階級魔物であるジャバウォックの棲みかは何百年も変わっとらんのは強力な魔力で判断がつくしな…けど、宝石蛙や宝石兎まで転移させる理由が分からへんわ…」
「意外に上位種に進化してどれくらいの魔物をダンジョンボスに使えるか試しただけかも知れねぇし、【オルドロール湿原】の洞窟でないと駄目な理由があるとか?」
今回の黒幕が醜小鬼の上位種であり【オルドロール湿原】の洞窟で何かしようとしているのは間違えでは無いだろう。
ガルディアとしてはガーデンブルグ王国と協力して調査に乗り出したいが未だに連絡が来ない所を見ると何か問題が起こっているのは確実だと思ってはいるが、高位階級魔物の棲みかを拠点にしてその周りの魔物を移動させなければならない理由が検討がつかないのだ。
そもそも醜小鬼は略奪種族であるが、ある程度の狩猟する事は出来る為、わざわざ獲物となる魔物達を追い出す理由が分からないのだ。
だが、現にミックスの足の上にはその高位階級魔物であるジャバウォックがいて東の大草原には宝石蛙や宝石兎がいるのは紛れもない事実である。
何よりも宝石蛙や宝石兎の宝石から微量ではあるが竜種の魔力を感じる事が出来るといったジズの言葉が妙に引っ掛かってしまった。
「なぁ、竜種って醜小鬼に協力する可能性があるとかはないのか?」
「…可能性が無いとは言いきれませんが、魔物の王として君臨している竜種が下級レベルの醜小鬼に力を貸すとは考えられません…」
「ウチとジズ様と同意見やわ…けど、問題なのは醜小鬼が高位階級魔物であるジャバウォックを操れるだけの魔力を持っているなら…少なくとも呪術師か魔術師レベルの上位種の醜小鬼が誕生してる可能性が高くなったのは間違えあらへんわ…」
「もしくは東で既に繁殖してガーデンブルグ王国を乗っ取ってミノア帝国の再建の為の足掛かりとして【オルドロール湿原】の洞窟からガーデンブルグ王国を地下から襲撃するつもりなのではないか?」
少なくともこれは今ジャバウォックから聞いた話から推測した話であるために正しいとはいいきれないが、仮にそうだとしたら早急に【オルドロール湿原】の洞窟を調査する必要があると判断した為、朝イチでガーデンブルグ王国に転移して貰う為に久しぶりにパーティーメンバーが屋敷に集まることになったが、ジャバウォックはメルディアを警戒して近付こうとしない。
何よりも鉱石を好物としているジャバウォックは食事を取ることが出来なかった為にミックスはある方法を試してみようとジャバウォックに協力を持ち掛けると子どものように首を傾げるのであった。




