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不穏な空気と禁句

**********************


ジャバウォックは暗い洞窟を棲みかにして鉱物である鉱石が多い【オルドロール湿原】の洞窟を縄張りにして何百年と生きていたが唯一の天敵とも呼べた悪魔の魔女が自分を討伐しに来なくなった事から安心してここ数十年は洞窟で暮らす事が出来ていたというのだ。


… だが、数日前に黒いローブを被った者に魔法を掛けられてしまい、身体の自由や意識を奪われてしまい気がついたら知らない場所にいて、冒険者達に襲われた為、自己防衛の為に反撃をしたのだ。

そして、元々暗い場所は好きなジャバウォックは誰もいない北山の鉱山洞窟を見つけて掘り進めて安住の場所を作り終える時に突如として巨大な扉が現れて出れなくなってしまい、入ってきたリザーナ達を倒さなければまた怖い目に合うと話したのだ。

皆がリザーナから全てを聞き終えると各々が話し始めていたがジャバウォックはメルディアを警戒してリザーナの後ろから出ようとしなかった。


『あの 水妖魔(ウンディーネ)嫌い…何百年も前に俺を殺そうとした『悪魔の魔女』と同じ事をした…』


「えっ?『悪魔の魔女』って…?」


「あぁ、それはメルディア様が魔物相手に容赦ない魔法で討伐をするのでついた異名だな…

俺やガスパールらが駆け出しの時にガーデンブルグ王国でメルディア様の冒険者時代の偉業や伝説が語られててな…」


「なぁ、ジャバウォックのヤツ更に脅えてリザーナから離れそうにねぇけど…」


「まぁ…普通に考えたら何度も首を()()ばしてり、串刺しにしてきた魔女と知ったら…怖いですよね」


メルディアはシルビアの言葉に思い当たる事があるのか、言葉を詰まらせていた。

メルディアは魔法使いとしても優秀であり、全ての武器を魔法で扱えた為に優秀で欠点のない冒険者として実績を積み重ねてしまった事が現員で売れ残ってしまったのだ。


普通の男性冒険者よりも何かも優れてしまったメルディアを『女性』としてではなく憧れるべき存在になってしまっていたのだ。

そして、気が付いたときには婚期である三十代をとうの昔に越えてしまっていた。

だが、高位魔法使いで高い魔力を持っていたメルディアは魔力による『美貌維持』により二十代後半のスタイルを維持していた為にモテるにはモテていたそうだ。

しかし、自分と釣り合う男性が現れる事はなく、逆に同期や後輩の結婚報告が届く事が増えていってしまっていたのだ。

その度に不死身で八つ当たりするのに丁度いいジャバウォックが標的とされていたのだ。

その後は魔力での生命維持より長生きを出来るようになったという訳だ。

しかしながら、魔女として畏れられしまい、完全に女としての幸せが終わり自暴自棄になってまたジャバウォックに八つ当たりに行こうかと考えていた矢先だった。

しかし、その前にミノア帝国との戦争が始まった事により元々サディスティックな性格であるメルディアは不死身で苦しむ姿を見せないジャバウォックよりも苦しむ表情を見せる醜小鬼(ゴブリン)達を標的にしてそこでも魔女として畏れられたが 海辺の大都市(マリーナ・シティ)で新たに冒険者ギルドを作り若い人材育成を頼まれたメルディアは若者をいたぶり気に入った冒険者を性的に襲ったりするなどしてストレス発散をして今に至るというわけだ。


「え~…このジャバウォック、あん時のジャバウォックか~そりゃ悪いことしたなぁ~」


「メルディア、怖がってるから虐めないで?」


「んや、でもなぁ~何時までもミックスはんを戦斧(バトル・アックス)にしたままちゅー訳には行かんやろ?」


「確かにそうだけど…ジャバウォックに何するの?」


酒樽からゆっくりと出てきてリザーナに近付くと、ジャバウォックは脅えたように喉をならしたのだ。メルディアは不敵に笑みを浮かべると、リザーナにアルガー同様に獣人化すれば、ミックスも元に戻せると説得するように頼むと、大柄なミックスならば、ジャバウォックを護ってくれるとリザーナが説得するとそれに応じてくれた。

メルディアの魔物を獣人化させる魔法を受けてくれる事になったのだが、獣人化した筈のジャバウォックの姿はリザーナと変わらない少年の様な姿をしてたのだが、こめかみからは竜種独特の角のがはえていた。


リザーナは戦斧(バトル・アックス)からミックスを元の姿に戻すとジャバウォックはミックスの後ろに素早く隠れたのだ。

余程、メルディアが恐ろしいのか、メルディアの問い掛けにはまるで反応を見せなかった。

ミックスは自分の足にしがみつくジャバウォックの頭を撫でると父親の様に接し始めたのだ。


「ジャバウォック、ちゃんとお礼いわないと駄目だろ?ありがとうってな…」


「… でも、声かけたら、また首をはね飛ばされたり、槍で串刺しにされるのやだもん…

怖いもん」


「いやいやいや、流石にこんな小さい子にんな外道な真似せえへんって~説得力ないけどな?これから仲良くしようや?」


「うぅ…ありがとう。メルディアおばちゃん」


一瞬にしてその場にいた全員が慌ててメルディアを押させつけたのであった。

勿論だが、ジャバウォックは決して間違ったことはいっていない。

ただ最後の『おばちゃん』が余計であったのだ。 メルディアは笑顔で魔法を唱えて首を()()ばそうとするのでエレーナとシルビアが慌てて、止めに入ってゴリガンとレオーネが二人がかりでメルディアを酒樽に押し積める。

ジャバウォックはなぜ怒られたのか理解できておらず、ミックスの足にしがみついて離れようとしなかった。

ミックスはメルディアに年齢的にいったら俺らと変わらないからせめてお姉さんとか姉御にしたらいいと教えるが、ジャバウォックからしたらおばちゃんなので理解して貰うことが出来ずに会議は進まずにいたのであった。

女性はいつからがおばさんやおばちゃんが許してもいいとか人によって違うのかな…


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