鉱山洞窟前の戦い
リザーナがやらかした。たぶん依頼が済んだら怒られるの確定。
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魔物名:【大蜥蜴】は蜥蜴が巨体化した魔物である。単純な突進と尻尾を薙ぎ払う等の単純な攻撃方法しか持たないこの魔物は、数十人の冒険者が集まれば討伐するのは容易と言われる魔物である。異種連邦国のギルドは魔物討伐の達人の集まりである為、余程の事がない限り、負ける魔物ではない。リザーナが余計な事さえしなければ…。
「ば、バカヤロウ!!!リザーナ!!こっちにこい!!!」
「ミックス、ダズゲデェェェーーー!!!」
眠りを妨げられた大蜥蜴は怒り狂った様に咆哮をあげ、逃げるリザーナ目掛けて突進してくる。ミックスが間に割って入り、大蜥蜴を受け止めた。ゴリガンの合図とともに冒険者が攻撃を仕掛ける。
大蜥蜴相手の戦法としては間違ってはいない。しかしここは大蜥蜴だけが相手ではない。先程の咆哮により、洞窟から5匹の大蛇が飛び出してきたのである。大蛇は群れで行動し、狩りをするグループと根城を警護するグループに別れ、洞窟等の安全な場所で獲物を連れ込み補食する習性の魔物である。手練れの冒険者や騎士であってもこの数を相手にするのは困難であった。
「こうなったら仕方ない。ミックス、その 大蜥蜴を任せるぞ!!大蛇は我々で対処する!!」
「任された。リザーナはゴリガンの方を手伝え!間違っても喰われるなよ?」
リザーナは涙を拭き、ゴリガンの元へ向かい戦闘に加わった。ゴリガンに任せて置けば大丈夫だろう。ミックスは大蜥蜴を後ろへ放り投げるとこし布に差していた戦斧を手に取り身構える。大蜥蜴は再び巨体を震わせながら突進する。柄の部分を口に噛ませると力比べの押し合いになり、膠着状態になる。
大蜥蜴と戦いながらもリザーナの事が気掛りで仕方がない。ミノタウロスの本能は戦闘による高揚と武人としての矜持である筈だ。迷宮でリザーナとあってから何かがおかしい。戦闘の最中考えていると、後ろからリザーナの悲鳴が上がった。振り向くと鞭の様な何かが足に絡まり着き、洞窟に引きずりこまれていってしまった。
ゴリガンは助けに行こうするが、大蛇が行く手を阻んだ。サーベルの刃を地面に差し、耐えているが持ちこたえられそうにない。ミックスは雄叫びを上げ、大蜥蜴を押し飛ばした。リザーナの元に向かうが僅かに手が届かず、洞窟内部に連れ去られてしまった。
直ぐ様、洞窟内部に入ろうとするが、後ろから大蜥蜴の大木のような尻尾で凪払われてしまう。首を振り、大蜥蜴に向き合うと、強い魔力の力を感じとる。この大蜥蜴は魔核に色を持っている上位個体の大蜥蜴であった。口から燃えさかる様な火炎の息をミックスに降り注ぐ。辺りに熱風は巻き拡がった。驚いた大蛇は逃げ出しまった。炎を浴びてしまったミックスは雄叫びを上げ、その場に跪いてしまった。その場に残る魔物は大蜥蜴のみであったが、他の冒険者やゴリガンも大蛇と戦った為、息があがっていた。
「くそ!!この大蜥蜴を倒さなければ洞窟に近付く事が出来ん…!!!」
「ゴリさん、どうしますか!?一斉に仕掛けますか!?」
「ダメだ!!迂闊に仕掛ければ火を吹かれ、後ろから仕掛ければあのしっぽで薙ぎ払われてしまう。」
人数さえ揃えれば倒せる大蜥蜴相手に苦戦を強いられている現状を受け入れられずにいた。ゴリガン自身もギルドマスターとして大蜥蜴を何度も討伐してきた経験も実績もあった。だが、飛竜の様に口から火を放つ大蜥蜴に出会った事はなかった。同行した冒険者も大蜥蜴と大蛇の討伐の為実績のある剣士や国の騎士が数名で水魔法を使える魔法使いが魔法を使い、ミックスに水を掛けた。ミックスはゆっくりと立ち上がり、腕を上げると異変が起きた。ミックスの廻りに土くれが浮き始め、幾つかの土の塊になり始めたのだ。
「な、なんだ…あれは?何故土くれが浮いて…」
「グフフ…迷宮内では戦斧のみで戦える相手ばかりで土魔法を使うのは久しぶりだ…相手に取って不足はない。【土くれ流星群】!!!」
腕を振り下ろすと、土くれは大蜥蜴目掛けて飛んでいく。その衝撃により、辺りに土煙が立ち上ぼり、暫くすると大蜥蜴は土くれに身体を覆われ、身動きが取れず、雄叫びを上げながら首を激しく振った。ミックスは地面に突き刺さった戦斧を握り、ゆっくりと大蜥蜴に近付き、戦斧を振りあげ、首を切り落とした。
次回、新キャラ増やします