レオーネの戦士としての漢気
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ガルディア連邦国が誇る各種族の戦士の中でもレオーネは一目置かれる獣人である。同族・他種族関係無く平等に接し、戦士志望である他種族の若輩者を指導にも尽力的な人格である為、猫人族だけでなく他種族の若い世代から絶大の信頼を得ている族長がレオーネという男である。
そのレオーネの本気の戦いに闘技場の熱狂は上がっていた。
ここまで圧倒的な力の差を見せていたミックスと互角に剣を交えていたからである。
これに疑問を感じたリザリーはメルディアに解説を懇願した。
「解説のメルディアさん、これはどういう事かお教え頂けますでしょうか!?」
「そうやねぇ~ミックスはんの怪力に加えて、あのバカデッカイ斧と打ち合い続ければ、剣に負担がかかって折れてまう。 さっきのゴウガはんみたいにな…
けど、レオーネはんは剣身部分に魔力を集中させる事でそれを防いどるんや…
つまりは、元々産まれ持って魔力量の少ない猫人族の剣士として最大の技である【魔闘法】を上手く活用してミックスはんの重い一撃を受け止められるように魔力で大剣を強化しとるから互角にやりあえとるちゅー訳やな…」
メルディアが説明に挙げた【魔闘法】は全ての獣人達の王として崇められているベヒーモスが魔力量の少ない種族でも戦える術を作ったと伝承されていているものだ。
しかし、【魔闘法】は体内の魔力を練って武器や拳、身体強化等にも活用できるが、習得するには気の遠くなる様な精神修行や魔力を体内で練り上げる根気強さが求められる。短気な飽き性な者には習得は出来ないと言われる技の一つである。
逆に言えば、獣人種で【魔闘法】を習得し、それを使いこなされる戦士は少ない魔力でも戦える術を持ち、残りは地味な剣の鍛練での特訓で作り上げられた強さの自信の象徴でもあるのだ。
既に激しい戦闘の末、お互いが攻撃し合うし、身体に擦り傷や切り傷から血が吹き出していた。
流石のミックスも魔力を練って剣の刃で傷をつけられて血が吹き出るが、二人は本能のまま、剣と斧を思い切りぶつけ合っていた。
だが、メルディアはレオーネの強さを認めた上で、大剣に込められる魔力が尽きるのが先かその前にミックスを倒すのが先かの我慢比べになると予想したのであった。
「この勝負は魔物のミックスのが部があるのはわかってる…が、同じ大剣使いとしてはレオーネ殿に頑張ってもらいたい。
だが、異種連邦国のギルドマスターしては…」
「何アホな事をいっとんや?
んなしょーもないことをあの二人は気にしてへんわ。
ただ強い戦士と戦える事に高揚して本気で戦いを楽しんどる。
どっちが勝っても負けても満足するまでやらせりゃええんやし、どっち応援してもええやんか?」
メルディアがそういった直後の事だった。
既にレオーネの魔力は尽きかけであり、そして大剣もミックスの怪力を受け続けた事によって既に限界であった。
ミックスとの激しい打ち合いの末、等々魔力も大剣も折れてしまい、勝負は決したかと思ったが、魔力切れで膝を着いたレオーネは再び立ち上がると、拳を握り締め戦う意志を示したのであった。
流石に限界であると判断したのかグリオンが降りてきて、レオーネを勝負が決した事を説得しようと試みるが、レオーネはまだ戦士として目は死んではいなかった。
「…例え、魔力が尽きようとも剣が折られようとも戦士は戦わなければならない!! ミックス殿が背中に仲間の思いや守りたい者がいるからレヴィアタン様に認められたのだろう…」
「それは我々、理解している。レオーネもう無理に戦う必要はない。国交に賛成派のお前が何故そこまで身体を張る必要が何処にあるのだ?」
「… 俺は魔力量の少ない猫人族だ。
そんな俺を慕って憧れて目標だと言ってくれた若者達にみっともない姿を見せる訳にはいかないのだ!!!
俺は猫人族の族長として戦士として、どんな状態でも諦める姿を晒す訳にはいかん!!
それが俺の戦士としての信念だ!!」
「ガッハッハッハ!!!気に入ったぜ!!
グリオン殿、その勝負受けるぜ?ここまで覚悟を持った戦士の想いを受けてやらなきゃ、これから協力し合う仲間にはなれんだろう?」
「…はぁ、わかった。両者の了承を確認した!」
ミックスは戦斧を地面に突き刺すと、レオーネと同じ様に拳を握り締めて素手喧嘩での試合を始めたのだ。
ミックスが1発殴られれば、レオーネを1発食らう。ノーガードの殴り合いに観客達の声援にも熱狂が籠ってきてきた。
次第にレオーネだけでなく、ミックスにも声援をおくる様になり、両者は強者と戦えた事を誇りに感じて互いの頬に拳をめり込ませると、ミックスは何とか耐えるが、レオーネが地面に背を着けると、グリオンはミックス手首を掴みあげて勝利宣言をすると会場は盛り上りを見せたのであった。
そして、ミックスはレオーネに手を差し伸べると、ボコボコになった顔でお互いに笑い合い、その手を握り締めて互いの強さを認め合ったのであった。
そんな二人の姿を見た観客席からは二人の試合への敬意の拍手に包まれたのであった。
大剣と大斧の打ち合いってカッコいいから漫画とかでも好きだな。個人的に…




