国王から依頼
人族…マルセル国王 男性
異種連邦国の国王。黒髪の短髪で彫りの深い顔が特徴的。どんな種族でも受け入れる器の広い王。娘のルイを大事にする余り鬱陶しがられている。
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異種連邦国は竜が住みついている【北の山脈】と魔物の巣窟である【西の樹海】という場所が近接しているこの国は他国よりも討伐報奨金額が高く、腕に自信のある冒険者や傭兵達が多く在住している。武装国家である為、周りには高価そうな武器や鎧を身に纏った騎士達が立ち並ぶ。そして王座に君臨してる人物こそこの国の王・マルセル国王であった。黒い短髪で彫りの深い顔をしており、人族であるが大猿族のゴリガンにも負けない体躯の持ち主であった。
「お主がミノアの大迷宮を攻略したリザーナ君、そしてそちらがミノアの守護者・ミノタウロスのミックスだな…」
「はっ、その通りでございます。マルセル王よ。一つお願いがあります。俺は魔物ゆえ、不躾な言葉には目を瞑って貰えると助かります。何せ、冒険者への真摯な対応は真っ向から迎え撃つ事しか知らぬ魔物ゆえ…」
ミックスはまるで武人の礼儀の在り方を知っているかの様にマルセル王に跪き、敬意ある行動を見せたのだ。これは周りも唖然とした。リザーナはふふんと鼻を鳴らし、自慢気な態度を取った為、ミックスが頭を掴み下げさせた。マルセル王は気にするなといい豪快に笑った。許しを得るとリザーナを離し本題に入る。何故、自分達を呼んだのか。するとマルセル王は王座から立ち上がった。ミックスに土下座をし、助けて欲しいと懇願してきた。ゴリガンがマルセル王に土下座をするのをやめるようにいう。
「国王とは関係ない!!人の父親として娘を助けて貰いたいのだ!!!娘の為ならなんでもするのが親であろうが!!!」
「えっ!?ルイちゃんに何かあったの!?」
「お前が東の大草原で行方不明になったのが原因でもあるんだよ…」
マルセル王に代わって、ゴリガンが何が起こったのか語り始めた。リザーナがいう【ルイちゃん】とはマルセル国王の一人娘、つまりこの国の王女である。ただの冒険者であるリザーナと何故親しい関係なのかは知らないが、その王女が魔物に連れ去られてしまったというのだ。
事の発端は1ヶ月前にリザーナが依頼を受け、 異種連邦国の東の大草原で行方がわからなくなってしまった事であった。ルイ王女は憔悴し、冒険者ギルドや精鋭騎士団がリザーナに関する情報を集めていたが、有益な情報や手がかりを掴む事が出来ずにいた。ルイ王女はいてもたってもいられず、マルセル王の制止を振り切り、護衛騎士を何名か率いて東の大草原に捜索に向かったという。
「そこで大蛇の襲撃に合い、ルイ王女は拐われ、護衛としてついていた女騎士も後を追ったのだが、二人とも戻って来てはいないんだ…」
「居場所はわかっているのか?あの蛇は獲物を巣穴に持ち帰る習性があるが…」
「あぁ、ここより北にある廃鉱山の洞窟だ。すぐ冒険者や傭兵、兵士を向かわせのだが…大蜥蜴が行く手を阻み、内部に行くこと出来ず…」
「頼む!!!娘を…助けてくれ…!!!」
ミックスはリザーナを見ると、リザーナは既に行く気であった。無事であるかは定かではないが、こうなった以上亡き骸の一つでも持ってこなければ報われないだろう。国王としてではなく一人の父親として頭を下げつづけるマルセルにリザーナは自分達に任せて欲しいと拳を握り、胸にトンっと当てた。国に着いて早々に旅立つことになった。ゴリガンを筆頭に信頼できる冒険者を数名着いてくる事になり、北門で合流する。マルセル王もわざわざ出向き、見送りに来てくれた。
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異種連邦国の北にある鉱山は鎧や武器を製作するために使われる鉄鉱石が豊富で、竜が住む北の山脈から離れた地域にあったが、ここ数年活発化している魔物の増殖により、今は冒険者に採掘の依頼を主にしている。北門からの最短距離で到着するとゴリガンが小声でこっちだと誘導し、着いていくと、鉱山洞窟の入り口の前に問題の大蜥蜴がイビキをかき、眠っていた。ミックスよりも巨大な体躯を持ち、全身が硬い鱗で覆われている。並大抵の攻撃では太刀打ち出来る相手ではない。ゴリガンがどう対処するかギルド仲間達と相談しているのをミックスは見ていた。ふっと気が付くとリザーナの姿が見当たらない。まさか…と思い、大蜥蜴がいる場所を確認すると、サーベルを片手に対峙していた。ルイ王女を早く助けたい一心で大蜥蜴の頭部に切りつける。非力なリザーナの斬撃ではダメージを与える事は出来ず、ただ単に大蜥蜴を眠りから覚まし、怒りを買い咆哮を轟かせた。リザーナは涙目になりながらミックスの名を叫んだ。
リザーナは後でしばく by ミックス&ゴリガン