レヴィアタンの好みのタイプ
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海辺の大都市の守護者として奉られている海竜神・レヴィアタンの再来に予想外の事に人々は戸惑いを隠せない様子であった。
海竜神・レヴィアタンの姿は全身に強固な鎧をおもわせる様な鱗がありとあらゆる武器や魔法もを跳ね返してしまうという。その性格は凶暴そのもので冷酷無情で、この海の怪物はギラギラと光り輝く紅い目で獲物を探しながら海面を泳いでいると伝えられている存在である。
本来有れば、つがいで存在していたのが、あまりにも危険な力を持っている怪物である為、繁殖しないように雄は殺されてしまい雌だけしかいない存在しないという雌の怪物がレヴィアタンという唯一無二の存在となったのだ。
だが、その為、レヴィアタンは世界の海を渡り、気に入った竜種や近い爬虫類種の雄魔物と子作りをする手段をとる生態へと変わってしまったのだ。
狩猟と処女の神であるアルテミスとは別の『神』として語られらており、怒らせれば世界を滅ぼす『怪物』とも語られている存在であるのだ。
その海竜神・レヴィアタンが海から現れて海辺の大都市に影を落とす。
「おい。エレーナ!!あれはお前の親類みたいなもんだろ!?
話して説得させるとか出来ねぇか!!?」
「ムリムリムリムリーー!!!私らの何十倍…数百倍は強いって!!説得とか何しろってぇの!?雌相手にパプパプで対応できるかよ!?雌好きならいいかもだけどよぉー!!!!」
「お、お二人とも落ち着いて下さいっス!!」
「…海竜神・レヴィアタン様、お久し振りでございます。あなた様の使い魔の白い鰐で今はアルガーと名乗っております…」
ミックスとエレーナが慌ててしまう程強大な魔力と威圧感を放つレヴィアタンの前でアルガーは跪いてレヴィアタンへの忠誠の意思を見せる。異変に気づいた住民達や冒険者ギルドいた面々もそとに出でレヴィアタンに跪いていた。
すると、頭に品のある女性の声が聞こえてきたのだ。レヴィアタンは念話を発して直接、脳内に語りかけてきたのだ。
『…白き巨鰐のアルガー、我との使命を果たす契約はどうした? 』
「勿論、今もあの地下水路にゴブリン共が入り込むのを海辺の大都市から防ぎ、市民やレヴィアタン様の娘・リーゼ様を御守りする使命は継続しております…」
『ほう…ならばその獣人の姿はどういう事か説明して貰おうか…我が与えた力により巨大化させた身体とは全く違う姿をしておるが…? 』
「こ、これは…そのとある方から…」
「あ、始めてまして~ ウチ、 水妖魔のメルディアいいます~」
アルガーは現在の鰐の獣人の姿を問い詰められ、メルディアの名前を出してしまった時、もしもの事があったらと考慮した上で言葉は濁していた。
すると、元凶であるメルディアがリザーナをつけて後ろから現れるとミックスは慌ててリザーナ達の元に走り出して駆け寄った。
相手は強くなった自分よりも巨躯な巨竜でとてつもない魔力量と威圧感を感じさせる怪物であるのはわかっていた。
だからこそここで逃げたさずにリザーナらを守らねばならないと戦斧を両手で握り締めると覚悟を決め、2人の前で立ち塞がり仁王立ちして立ち向かう姿を見せた。
レヴィアタンはミックスを見つめると、口から煙を吐き出し始める。攻撃を仕掛けてくると身構えていたが、ミックスの戦闘態勢は功を奏すことなかったのだ。
『貴様は…ミノア大迷宮のミノタウロスか?我に挑もうとする度胸は評価するだが…』
「あぁ…勝てるとは思ってねぇ街処大陸すらも吹っ飛ばす力を持ってるのも魔力量や威圧感で本能的に無理だとはわかってはいる。
だが、ここには守らなきゃならないどうしようないリザーナの大事な者が大勢いるんだ。武人として漢気を見せなきゃならねぇだろうが…」
『我のタイプ……いい漢…!!!』
「あ?何か言ったか…!!?」
目の前にいた巨躯な巨竜の姿をしていたレヴィアタンは辺り一面に拡がる煙をあげ、姿を表すと獣人化した姿でミックスに抱き着いたのだ。
リーゼと同じく黒長い髪と竜独特の角を生やしており、リリアやカノン、ディーナ達のような大人びた顔立ちをしている。身体もエレーナ達に負けないスタイルに加え、青いマーメイドドレスから見える巨乳をミックスに押し付けてきたのだ。
「我は漢らしい男が好みだ!!その覚悟と度胸に気に入った!!だから我との子を作れ!!ムラムラしてたまらんのだ!!」
「あんた娘いるのに他所の男をたぶらかすな!!!」
「それは人間界のルールで魔物や獣人には関係ない!!!気に入った雌雄で子を作るのは自然の成り立ちなのだ!!というかご無沙汰なのだ!!!だから、ヤらせろ!!」
「…いい加減にしろ!!このエロ竜が!!!」
先程までとは打って変わり、ミックスの漢らしい行動に惚れたレヴィアタンは人型に姿を変えてミックスを誘惑し始めてきたのだ。既に娘であるリーゼの前で他所の男を誘惑する態度が気に入らなかったミックスは海辺の大都市の守護者に対して思い切り拳骨を食らわらせた。
娘のリーゼが呆れた顔でその場で蹲っている憧れであった筈の母への幻滅と自分の欲求不満は母親譲りであった事に顔を覆い隠していた。




