ガルーシャ大洞窟3
ファンダジー系の最初のボス戦はゴーレムっていう自分の中のロマンという願望に勝てなかった…
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【ガルーシャ大洞窟】のダンジョンボスに挑む前にミックスはエレーナから『クソ不味い』と言われた魔核を噛み砕いていた。
先程、倒した鎧騎士の鎧にも魔力が備わっていた為、ミックスは鎧すらも口に入れ、噛み砕き、飲み込んでいた。
シルビアはそんなミックスに少しでもマシになればと、回復薬の原料となる『オオヒソ葉』を数枚ほど手持ちのポーチから取り出して魔核に巻き付けて始めた。
「… これで魔核の不味さがマシになるとは思いませんが、少しでもお役にたてればと思って採集しておきました。
余計なお節介だとは思いますが、無理はしないで下さい… 」
「すまん。正直、俺もこのクソ不味さにはどうにもなれん。
だが、どうしても今以上に魔力量を増やして 挑まなければ、勝てそうもないからな…。
俺がやれることは全部してやろうと思っているがな…」
ミックスに気を遣い、心配するシルビアの献身は、聖母の様だが、彼女は魔法使いで薬草などの知識や建造物に詳しい女ドワーフである。
神官でも通用しそうな優しさを持っているが、ドワーフ族自身が女神・アルテミスを信仰していない。
ドワーフ族は武器や防具などの鍛冶に長けており、ドワーフの冒険者もたまにいるらしいが大抵が男の戦士が多く、シルビアの様に魔法が使える女ドワーフは珍しいとステラやゴリガンから教えられていた。
「ふぅ…さて、初めてのダンジョンボス戦と言う訳だが、リザーナ。
お前は一応は、俺が守護してた『ミノアの大迷宮』攻略者の冒険者として俺に伝えたいことはあるか?」
「特に無い!!!ミックスもエレーナもシルビアもいるから怖くないもん!!」
これからどんな強敵と戦うのかどの様な試練が待ち構えているのか何もわかっていない状況だ。
仮にも、自分が守護していた【ミノアの大迷宮】を1人で攻略し、守護者とその財宝を持ち帰ってた経験者である為に皆に助言を求めたが、何も考えていないリザーナらしい言動に苦笑いするしかなかった。
だが、ミックスはリザーナの言葉に自分らがいるからという気持ちがわかった様な気がした。
リザーナはサビーヌと別行動で、冒険者をし、パーティーも録に組めず、自業自得とはいえ借金を抱えていた。
大迷宮でミックスを勧誘し、仲間になってからまだ数ヶ月の月日しか共にしていない。
リザーナからすれば「1人じゃなくて心強くて頼りに仲間がいるから何があっても乗り越えられる」という自身があるのだろうと、腰に手を当て、無い胸を偉そうにふんぞり反らせている態度から読み取る事が出来た。
「それじゃあ、【ガルーシャ大洞窟】のダンジョンボスを討伐して、ルイ王女の期待に答えてやるとするか」
「だな… 国の専属パーティーに任命されりゃ、屋敷もシルビアの店も貰えるわけだしな!
エレーナ様も本気で行くぜ!!」
「それじゃ… 行くよ… !!! 」
リザーナは深く深呼吸し、振り返り皆の顔を見て扉を開けようと力を込めるが開く気配が全くしなかった。
パーティーリーダーとしてカッコいい役割りを振り当てたが、流石に非力なリザーナが一人で開けられる扉でないと、本人も半べそをかきながら、パーティーで一番力のあるミックスに助けてを求めてようやく最後の間に入ることが出来た。
中は広い空間になっており、敵らしい魔物の姿を視界に捉える事は無かったが、警戒は緩めずに進むと、岩壁が突如として動き始めた。
振動をお越しながら岩壁から現れたこのダンジョンボスは体躯な身体を持つミックスよりも巨大なゴーレムであった。
ミックス達は武器を構えて戦闘態勢に入ると、
巨体な身体を活かした重い拳を振り上げて、リザーナ達に振り下ろしてきた。
「ミックス!!コイツ外の奴らよりも動きは鈍いぞ!?デカいだけの魔物なのか!?」
「あれは【ゴーレム】です!!ミックスさんらがいう魔核に様々な魔力を込めて作られたら魔物です。
身体が岩石で構築されている所をみると、ミックス同様に石弾を使ってくるかも知れません!!
リザーナさんはなるべく、魔力を温存しておいて置いて下さい!!!」
「爆撃波でぶっ壊したらダメなの!?あんな丁度いい的なのに!?」
「魔力が満タンの状態で女魔王リリスの力を使えれば切り札になる。
俺も魔法は使わんから暫く、後方で待機だ!!
エレーナとシルビアが魔法で支援してくれ!!
その間に攻撃パターンを見て勝負所をみつけるぞ!!」
ミックスは戦斧を両手に握り絞め、シルビアが身体強化魔法を掛け、ミックスの、攻撃力を支援し、エレーナも鞭を足に巻き付けると爆発魔法 発動させ、片足を吹き飛ばし、体勢を崩した所をミックスが戦斧で胴体を粉砕し、勝負は呆気なく、決したかと思われた。
次の瞬間、カタカタッと壊された岩が動き初めゴーレムは元の身体を修復し始めたのであった。
詳しいゴーレムは次の話で書こうと思います。




