初めてのダンジョン探索は計画通りに逝かない
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リザーナの二日酔いが回復し、やっとダンジョン攻略に向けて異種連邦国の南東には岩山が連なる古代遺跡が多く存在する。
財宝が眠っていると噂されているが、ダンジョン攻略にいって帰ってきた屈強な実力者パーティーは口々に二度と行きたくないと身体を震わせる程魔物のレベルが高いと言われている。
ーガルーシャ大洞窟-
ミックスが居た【ミノアの大迷宮】〜ドワーフや人の手で作られた迷宮とは違い、巨大な蚯蚓という大型の魔物が通った洞窟を利用したダンジョンである。
冬になると巨大な熊が昼間は寝ていたりその場所が気に入れば住み着き、冬眠の為に使用し続けている可能性がある。
内部に入る際には巨大な熊がいるかいないか確認してから入るのが普通だとゴリガンが事前に教えてくれた筈だ。
「取りあえず松明に火を着けて~!
洞窟に向かって火をぶん投げる!!」
「リザーナさん!?ゴリさんの話し聞いてましたか?」
無計画なリザーナが人の話を聞く訳がなかったのだ。エレーナとどちらが先頭で後方を守るか話合っている隙にリザーナは松明を片手に入り口から思い切り投げられた松明はたまたま内部に根を張っていた蔦に燃え広がってしまった。
洞窟内は煙で充満してしまい、中に魔物がいたら間違いなく怒り狂って出てくるだろう。
近くの岩山に隠れ、リザーナに取りあえずは怒る。
「お前はバカなのか?人の家に行きなり松明を投げ込むのが、エルフの常識なのか?いい加減しろよ?」
「魔物を外に追い出して退治した方が場所も広く使えるし、常識も非常識もないでしょ?ぶっちゃけ煙で追い出した方が楽チンじゃん?」
「あの…探索するのが困難になってしまいますが…」
「しかも洞窟内に蔦が結構あったし、下手したら財宝も燃えて黒焦げになるかもしれねぇぞ?」
リザーナは洞窟内にいる魔物の数を減らす為にやったこと決して間違えではないが、今回の目的はあくまでもダンジョン探索であり、そのダンジョンに入れなければ意味がない。
蔦が何処まで延びているのか内部を詳しく知らない状態で燃え広がってしまってはどうしようもない。
女神・アルテミス、リザーナが胸をまな板にし嘔吐を掛けた事で怒るのはわかるが、行動力も運も悪いだけで無く知力までも低くしたのかと、顔も知らないアルテミスを恨んだ。
案の定、中にいた巨大な熊達が眠りの邪魔をされ、怒って飛び出して辺りを見渡している。
立ち上がり鼻をスンスンとにおいを探っていた。
「…誰かにおいのするようなものを持ってきてない
よな ?
オレの鼻が正しければ女性陣からいい香りがする
のだが…」
「じ、実はリザーナさんが二日酔いが酷い間、
ステラさんの宿舎にお世話になってて、
そのお風呂で身体を洗ってもらって…//////」
「今まで水浴び位しかしてこなかったけど、
風呂って良いもんだな。
屋敷にもデカいの作って皆で入ろうぜ?」
巨大な熊の鼻は数キロ先の地中に埋めた獲物の臭いすら嗅ぎ分ける嗅覚を持っている魔物である。当然であるが、速攻で見つかり巨大な熊と戦闘になってしまった。
グルルッ…と喉を鳴らし、威嚇するように咆哮をあげ襲いかかってくるが、ミックスとエレーナの敵ではなく直ぐ様倒し、体内から魔核を剥ぎ取りミックスは食べ始めた。
「エレーナ、あれって美味しいの? 」
「死ぬ程不味いぞ ?
色核で同色なら食える。
けど、只の核は味もしねぇし普通は不味くて食えねぇけど、魔力強化にはなるんじゃね? 」
「どっかの馬鹿が定期的に魔力を求めてキスをするもんでな。魔力不足で食っても食っても足りないんだよなこれが。今は質より量だ。」
リザーナは知らず知らずのうちにミックスの魔力を吸収していた為、ミックスの体内魔力は急激に減っていた。その為魔物の肉や核を食べて足りない魔力分を補う為に大量の食事が必要になっていた。倒した巨大な熊は毛皮以外の殆どを食らい付くし、ミックスの核へ毛皮は収納された。
シルビアが服を仕立てる時に魔物の毛皮は使用する為こうやってミックスの体内で管理している。
洞窟内はまだ煙が上がっている為、内部探索をするのは難しい為暫くの間休憩をする手筈だった。
しかし、煙や派手に戦闘を行ったせいで魔物が寄ってきてしまい、まともに休憩を取る事が出来ず、そのまま戦闘を続ける嵌めになってしまった。
洞窟を探索する体力が無くなった為、探索はせず異種連邦国に戻る嵌めになってしまった。
ゲームでも洞窟探索で大体迷う自身はある。




