VS ドルトン(2)
久しぶりの投稿になります。
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一方で、ミックスも決戦の場に向かってくる醜小鬼の英雄をじっと見つめていた。
体格の差はこちらに部があるのは目に見えてわかっていた事だ。
だが、最後の醜小鬼から感じる魔力の禍々しさは自分と同等であるかもしくはそれ以上の物を持っていると直感的に感じ取る事が出来ていた。
「ミックスはん、醜小鬼の英雄は全盛期のベヒーモス様を手負いにした伝説の醜小鬼や… 」
「 …見たらわかるぜ? あの禍々しい魔力は下手をしたら俺よりも上かも知れんな 」
メルディアの言葉通り、先程までの二人とは何か別の力を感じ取る事が出来る。
だが、その正体が何なのかは理解は出来ていない。ミノタウロスは戦って刃を交えてこそわかる戦闘脳のである。 幻獣神をも満身創痍にする実力者と戦える事に高揚し、鼻息が荒くなっていた。
「レオーネ戦以来の感覚だ。俺は強いヤツと戦いたい。だが、リザーナや国を守る義務も背負って戦うっていうもの中々悪くない… 」
「ミックス…。 よし、最後だよ!!?頑張って勝ってきてよね!?後、絶対に死んじゃダメだよ!?寂しいし、誰が私を養ってくれるの!!?」
「…こんな状況でそれを気にする女はお前ぐらいだろうよ… 」
「まぁ、それだけミックスはんを信頼しとるちゅー訳やね。それにこれ終わったらミックスはん夜の戦闘も続くんやでぇ~♪ 頑張りや~」
「あー、 そうなるのか。ミックス、下半身だけは斬られるなよ~ ヤれなくなると困るだろ~ 」
「ウチの女は下ネタ対しての抵抗がマジでねぇな!!! 折角の気分台無しじゃねぇかよ!!?これから強敵と戦うっていうのによぉ!!!!」
リザーナなりの檄のつもりだったのだろうが本音という欲が駄々漏れであった。しかも悪い事にメルディアもエレーナもそれを注意しない。
それどころか悪ノリをしてくるのでタチが悪いのだ。
これから強敵と戦える喜びと仲間のパーティーの女どもの欲への忠実さに呆れてしまった。
だが、リザーナらは不安からワザといつもの雰囲気を作り出して「ミックスなら大丈夫だと」自分に言い聞かせていてる様にも感じ取る事が出来た。
ならば、普段通りに接して安心させるのが自分の役割りだろう。 よくよく振り返って見れば迷宮でリザーナに出会ってから下ネタに抵抗の無い女にしかほぼ出会っていない。
幼いフィオーレにも悪影響を及ぼし、そう言った『大人の商品』の商売を考えたり、幻獣神が男タラシと官能小説家だったりとかなり片寄っていると頭が痛くなってきたのだ。
「…何か久しぶりの強敵との戦いに喜びを感じてたけどよ。俺の周り下ネタに抵抗の無さすぎじゃねぇ? 」
「抵抗したら子孫繁栄出来ないじゃん? そもそも只でさえ娯楽少ないだから当たり前じゃん? 」
「それにウチらは魔物やでぇ~そういうのも本能やで~? 」
「そーそー、てか、ミノタウロスの癖に女に手ぇ全然出さないお前が異常なんだよ… 」
それは幻獣神でありこのかルディアの王妃でもあるジズの官能小説のせいである。
迷宮で財宝を守護する役割りを300年間全うにしていたが、リザーナに出会ってどけ座された上に身体まで売ろうとしたエロフに金貨を渡したのが全ての始まりであった。
そして、いつの間に金貨や宝石ではなく国や仲間といった別のものを守るために戦っているのだ。 我ながら珍妙な生き方をしていると思っているが、そんな環境が心地よいのだ。
だからこそ、前に立って戦えるのかも知れない。 相手が最強の醜小鬼だろうが勝たなくてはならない。
「心配するんな。俺は負けねぇよ…。まだ誰にも負けてねぇ無敵のミノタウロスのミックスだ!だから安心して背中を見守っておけ… 」
「そうだった!!何だかんだでミックスってまだ誰にも負けてないんだよね!?なら、大丈夫だよね!?」
「アタシらが言いように使ってるからスッカリ忘れてたわ~」
「全部済んだら取りあえず、エレーナから倒してやろうか?」
ミックスの挑発にエレーナは乗り気であった。元々好戦的な性格で醜小鬼らとの戦争の為に精霊の試練を突破してきた事で幻獣神相手にどこまで通用するのか試したいとイキイキとした表情を見せたのであった。
「んじゃ、負けんじゃねぇぞ? 負けたら許さねぇぞ!?」
「そう簡単に負けてねぇよ。俺は…」
「そうだよ!!ミックスが負けたら私を養って貰う計画が台無しになるし、ガルディアでの立場で皆で暮らすんだから!! 」
「本当に欲に忠実に生きてるな!! 少しはエルフらしさを見せろよ!!?」
そう思ったが、リザーナ同様にエルフは官能小説の影響を受けている為に知的で賢いというのはあくまでもイメージのみで 耳長族になったリザーナの思考もまるで変わってはいなかったのが証拠であった。
溜め息が出てしまうほど欲に正直であったが、その欲深さもリリスの呪いであり、魔王の素質なのではないかと疑問に感じるものはある。
そして、一騎討ちの立会人であるゼウスがミックスを呼び、ようやくミックスVSドルトンが始まろうとしていた。




