リザーナの見解
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オルガーナ率いる醜小鬼達が渓谷を抜けるよりも前にアラーネ達が作り出した【深淵の森】を作り出した事により、何とか一時的な時間稼ぎをする事に成功したのであった。
実際に渓谷を抜けた醜小鬼達は森を抜けようとすると、リノから産み出された食虫植物が襲いかかったり、アラーネの配下である大蜘蛛達が至る所に巣を作り出して強力な粘着性より醜小鬼達を捕らえて補食するなどそれぞれが上手く当てはまっていたのだ。
中でもヘンリーが醜小鬼達の居場所を特定し、罠を仕掛ける為の地形を作り替える為に侵攻を遅らせる切っ掛けを作っていたが、醜小鬼の王者のギガースに醜小鬼の英雄のドルトンの部隊も移動する森に苦戦を強いられていたのだ。
特に醜小鬼の魔術師の王に上りあがったジョセは木々には効果のある上級の爆炎魔法を扱えるが、ヘンリーが上手いこと爆炎を魔力に養分として吸い取り森に炎があがらないように善戦してくれたのだ。
キースが最後の知恵を使って作ってくれた機会を無駄にはしたくなったオルガーナが激怒していた。
「くそっ…渓谷を抜けたら砂漠の地という話ではなかったのか!? 」
「…どうにも向こう側にも頭の切れる者と強力な力を持った者が幻獣神以外にも複数人は存在ている様子ですね… 」
「だろうな。 俺の爆炎魔法も上手く吸い取られて森自体に力を与えてしまうことになるしな… 」
「… ドルトン、どうする? 食虫植物や蜘蛛の魔物を相手にしながら侵攻しても戦力と体力が持たないぞ? 」
確かにここで食虫植物やジョセの爆炎魔法の魔力を奪い取られて幻獣神やその庇護下にいる種族との戦闘を考えるとここで兵力や魔力を減らすのは得策ではないと熟考していた。
基本的にシャーロンが参謀として策を出し、オルガーナが指揮を高める役を長年続けていたが、覚醒進化した三人がその役目を補う形を取れるようになっていたのだ。
何よりもキースから学んだことは『醜小鬼は馬鹿だが、マヌケではなくズル賢い種族である』と身体を張って見せてくれたからには弟子としてみっともない事は出来ないのだ。
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一方で、ガルディアではヘンリー爺さんが醜小鬼達を上手く誘導してくれているお陰で戦力が少しずつ減ってはきていたが、やはりかつての醜小鬼の魔王ミノアに匹敵する3匹の力は侮れないとローガンはヘンリーからの情報と自らの使い魔の烏からの情報を元に対策を立て直していたが、リザーナが 鬼人族の族長と 豚人族の族長をじっと見つめていたのだ。
ミックス以外に目移りしたのではないかとからかってやろうとエレーナとメルディアが声を掛けた。
「リザーナ、どうした? あの二人が気になるのか? 」
「ねぇ、メルディアとエレーナは自分よりも強い男が好き?あ、メルディアは人間の時ね?今はショタコンだから… 」
「あー…ん~…考えた事ねぇな? 私は酒と飯が食えれば良いし、パフパフすりゃ奢ってくるくらいにしか思ってねぇからな~? 」
「せやねぇ… 人間時代ならウチより強い男はおらんかったからなぁ~ 男として立派だったんは下半身だけやったのが数人やな… 急にどうしたんや?」
リザーナのまさかの質問に面食らった所もあるが、いざ聞かれると自分よりも強い男が好きか嫌いか尋ねられると確かに強くて頼りになる男は魅力的だろう。 実際にガルディアで漢らしい人物も数えるほどしか思い浮かんでいなかったのだ。
しかし、何故リザーナが 鬼人族の族長と 豚人族の族長を見てそう感じたのかを尋ねると拗ねた表情をしたのだ。
「いや、だって幻獣神になる時にミックスが弱音を吐いた時凄く嫌だったもん。 だからオルガーナが同族に自分よりも強い雄がいなかったのが原因あるんじゃないかな~って… 」
「あー… まぁ、本能的に強くて生き残る可能性が高いのは強い雄の子を産むって精神があったんじゃねぇか? 大方の生き物は愛だの好みだのよりも生き残る種を残すのが本能的にあるしよ… 」
「今でこそ種族問わずに好きに恋愛は出来るけど…ミノア時代の女ならそう種族的に教育されててもしゃーないねんけど… 」
「…ミノアより雄として弱かったからこうなったのも原因なんだよね? なら、こう言う事はミックスの仕事じゃない? 」
確かに300年前は種を同士で強い雄の遺伝を残すのが女の役割という風習が強く、他種族との恋愛観など存在しなかった。だが、ミノアのやってきた事は許されるものではない為にそう、易々と解決できる問題ではない為に侵攻をしてきているのだ。
だが、醜小鬼の魔王の地位まで上がり一帝国を気づき挙げて成果を挙げて名を残したミノアより雄として弱かったからこうなったのも原因というリザーナの言い分も納得出来る部分もあったのだ。
しかし、それならばミックスの仕事とはどういう事かと尋ねると、リザーナの口から放たれた言葉にエレーナとメルディアは大笑いしてしまったのであった。




