|戦斧《バトル・アックス》になったミックス
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リザーナは戦斧に姿を変えたミックスを扱い、上位飛竜と対峙した。非力であるリザーナが、大きな戦斧を軽々と振り回し、ミックスが使っていた【岩弾】放ち牽制するが、上位飛竜は回避する。近くで共に戦っていたゴリガンは何が起きているのか理解できずにいた。上位飛竜相手に立ち向かっているのは何かと問題を起こすリザーナであるからだ。直ぐ様、加勢するためにリザーナの元に近寄る。
「リザーナ!色々と聞きたい事は多いがまずはコイツをどうにかしなければ…」
「ゴリさん、ちょっと試したい事あるから下がっててくれる?」
ゴリガンが下がると、戦斧の刃を地面に突き刺し、魔力を込めると地面が盛り上がり土柱になり始めた。リザーナは土柱の上を駆け上がり、戦斧を振りかざし、上位飛竜の腹に斬りつけた。硬い鱗を削ぎ落とされ血が流れる。翼を羽ばたかせ、距離を取り雄叫びあげ、凍える様な冷気を吹き出す。リザーナは戦斧の柄の底を地面に当て、土柱を立て冷気から身を守った。上位飛竜は上空へと距離を取り始めたが、リザーナが土柱に触れると、砕けわれ複数の土の槍へと形を変え、宙に舞った。
「これでどうだ!!!【土の大槍散弾】…!!!」
「グギャアァァ…ッ!!?」
リザーナが腕を振りかざすと、土の槍が上位飛竜に突き刺さり叫び声を上げなら地に落ちた。リザーナはもう一匹の上位飛竜を見たが、既にエレーナ達が仕留めていた。討伐が終わり、リザーナの共に近づいてきた。リザーナも戦斧を手から離すと、ミックスも元の姿へと戻った。土柱の上から滑り落ちり地面に激突する。皆が慌ててミックスの元に集まる。
「り、リザーナ…俺に何をした?魔力が根こそぎ持ってかれているのだが…?」
「よくわかんない。けど、ミックスが戦斧になって力が満ちてきた感じ?」
リザーナに理由を尋ねるが本人も理解してない様子だった。その近くでエレーナが飛竜の死体を何体かもってきて食べやすい様に裂くと、ミックスの口に入れ込んだ。突っ込まれた肉を食べるが、起き上がる気配がない。エレーナは上位飛竜の死体を鞭で切断すると、青色に渦巻く宝玉を体内から取り出すとそのまま、ミックスの口に入れ込んだ。
「これで起き上がれるだろ?勝負がそっちが勝ちだからエレーナ様が助けてやるぜ」
「あぁ、助かった。魔力が尽きて倒れるなど初めてだ…」
入れ込まれた宝玉を噛み砕くとミックスは起き上がり、切断された上位飛竜の肉を喰らった。大方の肉を食べ尽くすと回復したようで立ち上がりリザーナの顔を鷲掴みにする。何故自分の魔力を使えたのか。戦斧にすることが出来たのか。聞きたいことが多いが、リザーナはわからないの一点張りである。リザーナは嘘をつける性格でないし、本当に知らないのだろうとミックスは手を放す。リザーナは不満げに頬を膨らませる。するとシルビアは申し訳無さそうに手をあげる。
「あ、あの~さっきの土柱で城壁を塞いではどうですか?」
「おぉ、さすがシルビア!ミックス、また斧になってやれよ」
「俺に出来るか。大体何があったのか全然覚えてない」
リザーナに接吻をされてからの記憶が無く、気がついたら魔力を根こそぎ持っていかれていたのだ。リザーナはまた接吻をしようと近づいてくるが、サビーヌが拳骨を落としてそれを止める。
「…おそらくですが、ミックス殿は先程の魔法を扱える様になっているかと思われます。私自身もまだ信じられませんが、確証を得るには実際にやってもらった方が確実かと…」
「まぁ、リザーナに聞くよりも色々と試した方が確実か…」
ミックスはため息をつくと、リザーナが破壊した城壁の側に近づく。【岩弾】や【土くれ流星群】は多くの冒険者と戦った際に何度も使ってきたが、守るために使った事はない。戦斧の刃を地面に突き刺し魔力を込めると地面が盛り上がり土柱が立ち上がった。ミックス自身も唖然としていた。自身の身体に何が起こっているのか。




