予定外な敗北感
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東の帝国に向かわせた魔物達の気配が消えた為にベヒーモスとレヴィアタンは互いに危機感を覚えたのであった。 特にシードラゴンは竜種の最上位の地位である古代竜であるためにそう簡単に討伐されるとは思ってはおらず、想定外な醜小鬼が誕生した事に難しい顔をしたいたのだ。
「 西の魔物達とシードラゴンが討伐された。
それもたった3匹の醜小鬼によってな…」
「…数もあまり戦力として期待されておらん 醜小鬼と全滅させて 醜大鬼の巨人を数体倒せただけでも… 」
「…少なくとも、醜小鬼の魔王ミノア以上の怪物が3匹はいるのは確定しましたね。
そして、それ以上の怪物がまた産まれますね…」
「み、ミックス…これってかなり不味い状態だよね!?どうしよう!? 」
異種連邦国の腕に自信の冒険者でも攻略が出来なかった【西の深淵の森】の強い魔物達が倒されてしまった事にリザーナは不安な声で毛を掴んでくるが、元々向こうは【幻獣神】である3人を相手に戦争を仕掛ける手筈を整えてきていたのだから実際に総攻撃したからと大打撃を与えられるとはミックス自身も期待はしていなかったのだ。
そもそも向こうは1度【幻獣神】である3人を相手に戦争を行っているのだ。
メルディアの話から醜小鬼は学習すれば道具の使い方も覚えるし、手本となる者がいればそれを真似て使いこなす事が出来ると聞いていた。
ミックスからしたら醜小鬼の魔王ミノアよりも圧倒的な力を手に入れた醜小鬼が誕生するのは何となくわかっていたのだ。
「少なくとも不味かろうが攻めてくるのは確定だろ?こっちから宣戦布告したものだしな。
覚悟を決めて戦うだけだ…」
「で、でも、もう私らに出来る事ってもう無いよね!!?」
「…現状は聖霊に導かれた者らがいつ頃、戻ってくるかのか。後は怪物・黄金の三首持つ蛇が何処まで絶えられるかやろうな…」
「現状で打てる手は全て出し切ってしまったのだ。これ以上は足掻きようがない。 まともにやりやったらこちら側の被害が甚大になるという事がわかっただけでもよしとするしかない…」
ローガンの冷静な判断に敵の戦力が、既に竜種の最上位の地位である古代竜を討伐できる者が入ることとそれが増えることを踏まえて罠を仕掛けて敵の勢いを殺す作戦を提示したのだ。
余りの切り替えの速さに誰もがこんわくしていると、ジズの指示で東の帝国に偵察に飛んでいたデュッセルは戻ってくると、新たに進化した醜小鬼は伝説級である醜小鬼の王者と醜小鬼の英雄が誕生した事と新種で魔術を極めた醜小鬼の魔術師の王達が現れて全滅したと報告をしたのだ。
そして、新たな醜小鬼を引きいっている王がオーガの雌の個体で最上位種【オーグレス】であり、自分達の言葉をから『オルガーナ』という名であると伝えると 鬼人族の族長であるアカシッドが立ち上がって再度、デュッセルに確認すると間違えないと言われ、力なく椅子から滑り落ちたのかと思えば、ベヒーモス達に対して土下座をしていたのだ。
「オルガーナは…自分の幼馴染で雄の鬼人族よりも強かったせいで里から抜け出した者で御座います…」
「オルガーナって…あの気の強いオーガの娘か!?【 豚人族の里】にも強い雄がいるか見極めさせろときたことがあったが…」
「それよか問題なのは思ってた予想以上に 醜大鬼の巨人に雌が多かった事ですよ!?醜小鬼って雌が異様に少ないと言うか他種族の雌でも孕まさせる事が出来るから雄しか産まれないんじゃ…」
「それよりも何故、こんな短期間で 醜大鬼の巨人を増やす事が出来たのかだ。例え、マドンナがいたとしても雌でも【オーグレス】からどうやって子どもが産まれるというのだ?」
ローガンのいうと通り、雌同士では子どもを作ることは出来ない筈であるが、現に鬼人族の血を受け継いだ醜大鬼の巨人が雄雌が存在しており、醜小鬼の大半を占めていたとデュッセルは伝える。
ベヒーモスとローガンの予想ではたまたま醜大鬼の巨人になれた者が少しいるだけで残りは醜小鬼の剣士や醜小鬼の弓使いといった武器の扱いに長けた醜小鬼が大半の戦力だと予想していたが予想外な事が起こっている報告を受けた為に焦りを隠せなかったのだ。
未だ、聖霊の試練にいった者達は誰1人として魔法陣から戻ってくる気配がない為にガルディア城では重い空気が漂っていたのだ。
戦力的にもこちらの不利さは変わらず、数も思った以上に減らせていない。
そしておそらくこれから伝説級の醜小鬼はオルガーナやマドンナ、醜大鬼の巨人の雌達と子作りをするために更に強力な力を宿した醜小鬼の軍団と戦わなくてはならないのだ。
明らかに不利な戦況に誰1人として口を開くものはいなかったが、ミックスはリザーナとメルディアを酒樽に入れて背負うと戦斧を持って城を出ようとしたのでベヒーモスが呼び止めたのであったが、ミックスは負け気は更々無いといい放つと、後はそのまま無視をして城から出ていってしまったのだ。




