上位飛竜《グレイト・ワイバーン》
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飛竜の上位個体である上位飛竜は多種の魔物の肉から魔力を蓄え上位飛竜に進化した魔物である。上位飛竜になると魔物ではなく、魔力を多く含んだ鉱石や強い魔力を宿している魔物を喰らうようになり、鼻先に魔力を宿した角がはえてくる。東の草原では強い魔力持ちの魔物がいない為、北の山脈に豊富に存在する鉱石を主食としている。
その為、上位飛竜が降りてくる事は滅多にない。しかし、草原には強い魔力を持ったミックスとエレーナがいる為、上質な獲物を求め下りてきたのだ。
「グギャアァァ…ッ!!!」
「おぉ、コイツ強そうだな! 鱗の色的に赤と青のコアが出来てるな!」
エレーナは上位飛竜を見ると興奮していた。先ほど倒し捲った 飛竜よりも一回りも大きく、コアに色着いてる魔物はそうは出会えない。
赤い鱗の上位飛竜はエレーナを、青い鱗の上位飛竜はミックスに向かって急降下し、襲い掛かってきた。エレーナは素早く攻撃を避けるが、ミックスは戦斧を構え受け止める。
「グギャアァァ…ッ!!!」
「てやぁぁぁ!!!!」
上位飛竜を押さえているとリザーナがサーベル片手に突撃し、首に斬りかかる。鱗の硬い上位飛竜相手に非力な斬撃はダメージにはならない。
ミックスが下がれと指示を出すが、リザーナは聞かない。何度もサーベルを振り落とす。上位飛竜はダメージこそないが激しく暴れ周り、リザーナを吹き飛ばした。ミックスが上位飛竜から離れ、リザーナを受け止める。
「なにしてるんだ?邪魔になるから避難してろ」
「嫌だ!!私だって冒険者なんだもん!!一緒に戦う!!」
涙目にながらもサーベル構え、上位飛竜に立ち向かう。気がつけばゴリガンも大剣を構え、立ち向かっていた。
エレーナとの競争どころではないとエレーナの方を見るとルイとサビーヌ、シルビアがエレーナの増援をしていた。エレーナは特に嫌がるどころかやる気を出して暴れ回っていた。
「ミノタウロスの武人としては、一騎討ちが良かったろうが…すまんな。
これでもこの国のギルドマスターなんだ。
何度もみっともない姿を見せるわけにはいかんのだ」
「まぁ、冒険者に挑まれる立場が長かったが…こういった戦いも悪い気はないな…」
お互いに武器を構え上位飛竜に立ち向かうが、翼を拡げ、飛び上がってしまった。ミックスが【岩弾】を唱え飛膜を狙い放つが上位個体故か、当たっても突き破る事が出来ない。
襲い掛かってきた時に押さえつけてゴリガンに首を斬りして仕留めるのが現実的だろう。上位飛竜が下降するのを待ち身構える。上位飛竜は突進してくることなく、口を開き、身が凍える様な冷気を吹き出してきた。
「ミックス寒い!!!毛皮ちょうだい!」
「悠長な事をいってる場合か!!俺も寒いわ!!!」
リザーナは寒さの余りミックスの体毛に顔を埋めいるが、状況はかなり悪い。
ミックスの攻撃魔法は【土くれ流星群】と【岩弾】しか使えない。地上戦であれば力任せに戦斧を振り回したり叩き斬れるが飛行能力を持つ上位種には相性的に悪い。
ゴリガンも剣術に優れてはいるのだろう。斬撃を飛ばし、上位飛竜に攻撃を仕掛けてる。大柄なわりに素早く飛び回り攻撃を回避し続ける。エレーナの方もシルビアのルイが魔法攻撃を仕掛け、サビーヌもゴリガン同様に斬撃を飛ばし善戦していた。此方は人数も手数も少ない。
「リザーナ、お前の得意な魔法は使えるのか?」
「もう魔力ないから無理だよ…さっきから身体もおかしくて…ミックス、チューしよ」
「状況考えろ!このバカエロフ!!!」
リザーナは欲情し、唇を求めてきた。迷宮内でも何度か唇を許したが、あのときよりも様子が変であった。魔力を放出した事によって身体が魔力を求めているのか、吸いつけられて抗えない。気がつけば唇を許してしまった。次の瞬間、ミックスの身体に変化が起き、手に持っていた戦斧に身体が吸い込まれいき、ミックス自身が戦斧になり、リザーナがそれを手に触れ、上位飛竜に向き直った。




