探索メモ(20代一般冒険者)
本日より迷宮の探索を始める。これはその成果を記すメモである。
第1階層。ここは多くの冒険者が探索し多少の成果を得る探索難度の低い階層だ。俺もまずはこの階層から探索していくことになる。
マップの探索は可もなく不可もなくと言ったところか。罠にかかることはなく、かといって隠し部屋を見つけることもなく、次の階層への階段にたどり着いた。
戦闘も特に問題は無い。浅い階段だけあってスライムやリトルゴブリンなどの弱い魔物に遭遇したが、危険を感じることもなく討伐できた。
入手したアイテムは地上で売却すれば子どもの小遣いになるぐらい、最初の階層ではこの程度か。
一通り探索し終えたので次の階層に進むことにする。
第2階層。ここは探索に慣れてきた冒険者たちがそこそこの成果を得る探索難度の低い階層だ。俺もそろそろ迷宮の恩恵にあずかりたいものだ。
マップの探索は上々の成果を得た。探索を開始して早々に隠し部屋を発見。多くのアイテムを得た上、すぐに次の階層への階段も発見した。
戦闘は引き続きスライムやゴブリン、たまに迷宮イノシシが出るぐらいで特に問題は無い。危なげなく倒して経験値になってもらった。
アイテムはなかなか良い物が手に入った。隠し部屋の宝箱から魔力を持つ宝石や現在の装備より性能の良い武器が出た。これで次の階層の探索がしやすくなるだろう。
十分に探索したので次の階層に進むことにする。
第3階層。ここは探索する力を十分につけた冒険者が多くの成果を得る探索難度の少し高い階層だ。前の階層で得た装備を携え気を引き締めて探索に望むことにする。
まずはマップの探索だ。隠し部屋が無いか丁寧に確認しながら進んだところ、見事財宝の隠された部屋を発見した。とても持ちきれない量だったので部屋の位置をマップに記し、価値の高そうな物を数点バックパックにしまい次の階層へ続く階段までのルートを確保する。
戦闘でも大きな成果があった。なんとギルドでも報告例の少ない『黄金の鹿』を見つけたのだ。すぐさま投げナイフで足を傷つけ逃走を封じ、激しく抵抗はされたもののなんとか仕留めることに成功した。
アイテムは前述した財宝や『黄金の鹿』の角、毛皮に加え迷宮産の希少な魔術書を手に入れた。ギルドに納品すれば多くの報酬が得られることは間違いない。
この階層の探索は大成功と言って良いだろう。食料にもまだ余裕があるので次の階層へ進むことにする。
第4階層。ここは腕に自信のある冒険者が多大な成果を得る探索難度の高い階層だ。まだ見ぬ財宝を求め探索を開始する。
なんということだ、まさかここまで来て落とし穴に落ちるとは。なんとか出ることはできたが重量を軽くするために財宝を穴の底に置いて行かざるを得なかった。落ちた時の怪我を治すために回復薬も消費してしまった。痛恨の失敗だ。
戦闘でも手痛い被害があった。剛腕熊を倒したまでは良かったが、血の匂いを嗅ぎ付けたワイバーンの群れに見つかってしまった。とても歯が立たないので食料や宝石を囮にして逃げ出したが、命が助かっただけ良しとしよう。
アイテムはこの階層ではよく見つかる軽く丈夫な金属、古代王国の銀貨などを手に入れた。そこそこの成果と言えるだろうか。
この階層では大きな被害を受けてしまった。これ以上の探索は困難と判断して引き返すことにする。無事帰還できるかどうかは半々と言ったところだろう。
今回は無事ギルドまでたどり着くことができた。手に入れた財宝の大半は失ったが、残ったアイテムと魔術書の報酬で収支はプラスと言える。しばらくは迷宮に行かずとも暮らしていけるだろう。今日は酒場で美味い飯でも食べて帰ることにする。