永遠のハゲ
はあ!? ちょっとまて今なんつった? 男子坊主強制法?
なんだよそれ 流石に聞き間違いだよな……
だが俺の期待とは裏腹に会見は悪い方へと進んでいった。
俺は半ば放心状態でその場に立ち尽くしたまま王様の会見を聞いていた。まあショックのあまり全く集中出来ていなかったのだが……
それからほどなくして王様の会見は終わった。
街中がざわめきだっていた。
「号外! 号外だよー!! たった今新しい法律が制定されたよー!」
ウォーターレインにだけしか作れない水で作られた特殊な新聞が辺り一帯にばらまかれていく。
その記事をまとめると法律についてこう書かれていた。
.男は産まれてから禿げるまでの期間10㎜以下の坊主にすることを強制する。
.原則、国王がハゲと認めた国民にのみ髪型の自由を与える。
.国王が重度のハゲと認めた者にはハゲ支援制度の適用を認め国を挙げて支援することを約束する※
※例、10代なのに遺伝によりハゲが進行し始める
などイレギュラーなハゲと認められた場合適用される
.この法を破った者には生涯髪を生やす権限を剥奪する※
※国王自らが精製した飲むと全ての髪が抜け落ち、さらに生涯生えてこなくなる薬を飲ませる
.尚、本日から3日以内に速やかに坊主にすること
ざっとこんなことが書かれていた。俺の心に沸々と怒りが沸いてくる。
俺の自慢の髪型を荒らすなんて例え国王様と言えども許せねぇ! それは他の男たちも一緒だった。
街中が殺気だっていた。ふざけんな! 髪型は自由にする権利があるはずだ!! こんな下らねえ法律認められるか!みんな王宮に抗議に行こうぜ!!! おおーー!!!
街の男が団結していくなか再び、チャララン♪ という音と共に水のビジョンのスイッチが入った。その画面の先にいるのはもちろん国王だった。
「私が予想した通り早速抗議に来たものが出ました。ですので再び少しの時間失礼します」
そこには王と、捉えられた金髪の青年が写されていた。
「おい! ふざけるな! 離せよ!!」青年が必死に叫んでいる。
だがそんなことはどうでもいいとばかりに王は言った。
「一人目の抗議者には全国放送でハゲになってもらうことが決定していました。なのでこれから私自らが精製したこの薬を飲んでもらいます」
「ちょ! 待ってくれ! いや待ってください坊主にしますから !お願いです許してくだ……!?」
問答無用に青年の口に青色の液体が注ぎこまれていく。
するとみるみる内にドフサと言っていいほどにボリュームのあった髪の毛が抜けていった。
全て抜けるのに5分とかかっていなかった。
「うわあぁぁぁー!」
青年の悲痛な叫びが全国に鳴り響く。その目には涙が浮かんでいた
この放送を見た俺たちは意気消沈していた。さっきまでの勢いが嘘のようだった。ほとんどの男が諦めて坊主にすることを決心しているように見えた。
するとまた国王の声が鳴り響いた。
「国民の皆様! 実はもう1つ大事なお知らせがあります それはこの法律を無くすことの出来る条件があるのです!! それは......」