禿げちゃったよ......
「な、なあ最近気になることがあるんだけど言っていいか?」
「それってさもしかして王様に関係することか?」
王の部下たちが何やらひそひそと話している
「そうなんだよ! もしかしてお前も王様について気になることがあんのか?」
「おう1ヶ月前くらいからかな? あることが気になってきたんだよな~ そうだ! せーので同時に言ってみようぜ」
「それは良いな じゃあ早速いくぜ せーの!」
『王様のおでこ!』
二人の息は驚くほどにぴったりだった
「やっぱりかぁ 最近王様の髪の毛がおでこから禿げ始めてる気がしてたんだよな~ でもまだ二十歳だし流石にそれはないかなと思ってて誰にも言わなかったんだよ」
「俺もだぜ 髪型の癖でそう見えるのかと思ってたんだが明らかにすかすかになってきてるしやっぱり禿げてきてるのかなぁ まだ二十歳なのに可哀想に」
「とにかくみんな気付いてるかも知れないけど一応は俺たちだけの内緒話な 王様に知れたら傷付くだろうし」
「ああ! 絶対に内緒にする」
そんなやりとりがあった半年後、王の頭皮は着々と頭頂部に侵略を進めていた。そしてとうとうはっきりとM字ハゲと分かるレベルにまで進行は進んでしまったのだった
あー、イライラする。何でなんだよ神様! 俺が何か悪いことでもしたか?
俺は自分なりに王として真面目に取り組んできた。国民の皆も結構満足してくれてると思ってる。
何も悪いことはしてない! なのになんで俺の頭から髪を減らしていくんだよぉ
日に日に抜け落ちる髪。それを見て落ち込む
鏡に写る俺。それを見て落ち込む
ヘアスタイリストの色々な気遣い。それをされて落ち込む
なあ俺って禿げてるよな?と質問した後の、禿げてないですよ(焦)という周りの人の返答。その反応も落ち込む
あーストレスたまるわほんと!
俺の側近のジーニアスは48歳なのにあんなにフサフサなのによぉ!
ほんと世の中不公平だぜ。
あーフサフサが羨ましいずるい憎い。みんなハゲになればいいのに
そうだ! ハゲには出来なくても近づかせることは出来るじゃないか。
ふふふ。俺は天才か良い案が浮かんだぞ
考えただけでワクワクしてきたぜ
「ボールド王、何をにやけているのです」
無意識に顔がにやついていたんだろう。ジーニアスに声をかけられる。
「気にするな。少し面白いことを考えてただけだから」
「面白いことですか? それは気になりますなあ」
「今はまだ秘密だ。こんど教えてやるよ」
「そうですか。楽しみにしておりますぞ。ところで話は変わるが実は王にお話したいことがあるんですが今よろしいですかな?」
「ああ構わないぜ」
「ではこちらに来てください見てもらいたい映像があるのです」
俺はジーニアスについて行きある1つの映像を見た。その映像は禿げた俺にとっては物凄く衝撃的な内容だった。
ははは! 希望が見えてきたぞ 俺はまだフサフサへの道を諦めなくて良いんだ!戻る、絶対に戻るぞ! また輝いていたあの頃に。
頭が輝くのはごめんだがな