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冴子、帰国後のふたり。

演奏会のあったイタリアより帰国の冴子、今回はいつもよりお疲れの様子。

そんな彼女の事を恋人の遊里は甲斐甲斐しく(笑)世話を焼くのでありました。

「おかえり。」

「ただいま。」

さすがの私も今回のイタリアは疲れたかも。

遊里の顔を見たら、荷物も床に落とし、身体を遊里に預けてしまったくらい。

商売道具のチェロも玄関に置きっぱなしでいい、結構高価だけど(笑)。

「ちょっと、こんなところで倒れないで。」

「力が出ない。」

彼女の肩に頭を乗せて言う。

「寝てもいいけど、お風呂入るでしょ?」

「面倒くさい・・・」

「入ってすっきりした方がいいわ、私が一緒に入ってあげようか?」

子供じゃないんだから・・・よしてよ。

そう思ったけれど、どうにもきかない身体を支えられない私は遊里と一緒に入ることにした。

私はもう立ったまま、座ったままで遊里に任せたまま身体、頭を洗われる。

久しぶりなのにお互い裸なのに、欲情も何もなく本当にお風呂に入っているだけ。

「本当に疲れてるのね、冴子。」

「言ったじゃない、腕すら上がらないわ。」

頭から私はシャワーを浴びる、イタリアから数十時間かけて飛行機で来たので身体を洗い、熱いお湯を浴びるとすっきりする。

なるほど遊里の言うとおりだわ。

「少しだけ、お湯に浸かるといいわ。」

「入浴剤入り?」

「疲労回復。」

さすが。色が違う、確かに入浴剤が入っているようだ。

ちゃぷ。

シャワーを浴びて温まった身体がさらにほっとする、やはり日本人は湯船に浸かるのがいい。

いい習慣だわ、イタリアじゃあ豪華すぎてあまりリラックスできなかった。

家の方が落ち着くわね。

遊里も入ってきて、向かい合ように座った。

「大丈夫、のぼせない?」

遊里は私の頬に手を当てて聞く。

「すこし、ぼーっとするけど大丈夫よ。でも、気持ちいいわね。」

「でしょ? 後はぐっすり寝られるわよ。」

「なんでこんなに疲れてるのかしら・・・・」

「気張りすぎたんでしょ、恩師を前にして特に。」

そうなの? 自分では分からなかったけれど。

なんだか、ぽかぽかしてきて眠くもなってきたかも。

「冴子?」

「眠い・・・。」

「寝ると溺れるわよ。」

まぶたが重くて前の遊里の顔が見えないのに彼女が笑うのが気配で分かった。

寝てはだめだと私も思ってるけど、どうにもならない。

でも、遊里のことだから何とかなるかな・・・そう思って私は最後まで保っていた意識を手放した。



鼻腔に美味しい匂いを感じた。

しばらく空想のものか、現実のものか考えていたけれどリアルに感じたので目を開けた。

「・・・・・・」

見慣れた天井がある。

スプリングが効きすぎていたホテルのベッドはいつもの普通のベッドだし、部屋に漂う独特の匂いが日本に帰ってきたのだと実感させた。

意識をなくしてからずっと今まで寝ていて起きなかった。

ぐっすり寝られたらしい、身体もだるくもない。

隣に寝ているはずの遊里は居ない、この匂いからしてキッチンで朝ごはんか。

時計を見ると9時だった。

ゆっくり起きて、キッチンに向かった。

「あ、おはよう。」

私が現れたのを確認するとあいさつをする。

「おはよう。」

「いつものは作ったけど、何か食べる?」

「シジミだけでいいわ。」

あまり食べられない、飲むのはできるけど。

せっかくの遊里の手料理だけど、身体が受け付けないので仕方がない。

「了解、よそるから座って。」

「ん。」

すでにいい匂いがたまらない。

イタリアにもインスタントを持って行ったけれど、どうも雰囲気がなじめなくて結局飲めなかった。

あの部屋の内装に、食器とシジミは合わなかった・・・おわんを持っていけば良かったかも。

「お待たせ。」

おわんによそられた殻付きのシジミ、この透明感~

一口飲むと、ダシの味が口の中に広がった。

「お代わり、たくさんあるわよ。」

遊里は笑って、トーストにバターを塗って口に入れる。

「何日でも飲んでも構わないわ。」

「いっぱいあるからどうぞ。」

そんな会話も久しぶり。

食事中に邪魔されないのも嬉しい、本当に道を歩けば男に当たるだったし、一人で食事していても声をかけてくるし本当に参ったわ。

「変わったことなかった?」

「ないわよ、実に平和的。」

「浮気も無し?」

「・・・・するわけないでしょ? ひどいわよ、冴子。」

遊里自身の心配はしてないけど。

ただ、周りが彼女を放っておかないから。

「じゃあ、あとで確認するわ。」

「してないっていうのに。」

ムキになる遊里が面白い、私は3杯お代わりをし、満足した。

ずっと気を張って仕事をしていたので今日1日はだらだらすることにした。

いい顔をするのはなかなか疲れる。

だらしなく身体をベッドに投げた、カーテンは開け放たれ涼しい風と日差しが差し込んでくる。

本当に向こうでは知らない土地というのもあって、気が抜けなかった。

競演も意外とプライドと技術のぶつかり合いなので休まる暇がない。

 ほんとに日本に帰ってきたのね・・・・。

ごろごろとベットに転がった。

「実感してる?」

遊里の声がした、声のした方を見ると彼女が立っていた。

「まあね、ベッドは慣れたものの方がいいわ、やっぱり。」

ベッドメイクも彼女の方がいい、シーツの肌触りを確かめる。

また寝そうになるけれど遊里がベッドの淵に座ったので私は我慢した。

「なに?」

「おかえり。」

「昨日言ったじゃない、遊里。」

耳元に口付けられて私は肩をすくめた。

「私が実感してるのよ。」

「・・・・じゃあ、もっと実感したくない?」

私は上目遣いで遊里を見た。

「こんな時間に?」

「嫌ならいいわ、私は寝るから。」

どちらでもいい、まだ私の身体は起きていないし。

「うそうそ、実感したいです冴子サマ。」

「気持ち悪いからその呼び方は止めて。」

ゆっくり置きあがって遊里を待った。

遊里は膝からベッドに上がり、私と対面する。

こんな明るいところでするのは初めてのような気が。

「冴子。」

遊里は唇を寄せる。

私は目をつぶり、キスを待った。

唇にやわらかいものが触れ、遊里の手が私の腕を掴む。

当初やさしかったキスはすぐに激しいものに変わってゆく。

絡んでくる舌先は私の身体を熱くさせ、さらにせがむ。

「遊・・里・・・」

パジャマの裾から遊里の手が入り込む。

熱をもった肌に触れられ、私は一気にのめり込んだ。

キスをしながらパジャマを脱ぎ、遊里の服も脱がせ始める。

なかなかうまくいかないのがもどかしい。

昨日はバタンキューだったけど、今朝は体力も気力も戻ってきたのに。

「そんなに慌てなくてもいいじゃない。」

遊里は笑って私の手を取る。

「だって。」

「今日は1日居るんだし、慌てることないでしょ?」

・・・そう言ってると、どこからか電話がかかってきて、仕事に出かけちゃうじゃない遊里。

過去何回そういうことがあったか覚えてる?

その度に、遊里のせいじゃないけど殴ってやろうかと思った。

「そういうときに限って邪魔が入るから嫌なのよ。」

「・・・まあ、私も否定はしないわ。」

私の手を押さえながら遊里はまた軽くキスする。

「でも、今日は電話が来ても出ないつもりだから大丈夫よ、安心して。」


あ、ダメかも・・・。


私はやさしく笑って言う遊里にやられてしまう。

ただ普通に言ってるだけで、本人は意識もしていないんだろうけど独特の何かがあって惹き寄せられる。

更に身体が熱くなる。

「本当に?」

「私も今日は邪魔されたら、キレるわよ。」

「遊里が?」

「私だって、冴子したいのよ。」

「・・・ストレートね。」

さすがに面と向かって言われると苦笑する。

”欲しい”とかならまだマシなのに。

「昨日だって、したかったのに冴子はグロッキーなんだもの。」

仕方ないじゃない、ほんとに疲れてたんだもの。

よく家まで帰り着いたと思うくらい。

「だから冴子も私を拒むのは駄目よ?」

「しないわよ、そんなこと。」

今度は私から指を絡め、キスをしながら遊里の身体をベッドに押し倒した。

倒れこむと遊里の身体に唇を落とす。

いつもは私がされる側だけど今日は私が。

でも、遊里の我慢がいつまでもつかどうかは分からなかった(笑)。




ガシッ。

私は時間が知りたくなってテーブルに手を伸ばして時計を取った。


14時過ぎ・・・


酷いわね、と苦笑する。

午前中の明るいうちからベッドで事におよんで今の時間。

当然、お昼も食べていない。

1時間くらいは寝たけどほとんど、遊里に抱かれていたのを思い出す。

私が遊里に仕掛けていたのは20分くらいで、その後は前述のように。

そんなに私だと物足りないの?と、思わずにはいられない。

「冴子・・・」

時計を取るのに離していた身体を引き寄せられる。

さすがに裸で何も掛けないで寝ていると風邪をひくので一枚掛けていた。

「もう14時みたいよ。」

後ろから引き寄せられていたので私は体勢を反転させて向かい合った。

すぐに遊里は足を絡めてきて、私を逃がさないようにする。

「・・・もう?」

「もう、よ。満足した?」

「もう、14時だけど。まだ1日が終わったわけじゃないわよ。」

私の胸を遊里の掌が包む。

触れられてまた、身体が反応してしまった。

「まだ、するの?」

掌の動きに徐々に感じてくる。

「だめ?」

「・・・今まで寝てたじゃないの。」

「休んでいただけ。」

突起を親指で捏ねられ、弄られる。

「あ・・・っ」

思わず声が出てしまった。

「まだ冴子だっていけるじゃない・・・その声、もしかして誘ってる?」

耳の中に舌が入ってきた。

さっき捏ねられた敏感に感じる先端に、今度は振動を与えられながら耳を弄られる。

「んん・・・ッ、ゆ、遊里・・・」

あまりの快感に仰け反って押し返そうとしてしまう。

けれど遊里に抱き込まれ、ままならなかった。

じわりと溢れ出すものを感じる、それは止めようとしても自分でどうにかできるものではないくらいに溢れ出る。


 落ち着けると思ったのに(苦笑)。


さっきまでは高揚し、持て余した身体と気持ちを満足させようと遊里に無我夢中で抱かれた。

久し振りだったから遊里は容赦がない。

私は彼女の身体に血が滲むくらい爪を立てながらしがみ付いて何度もイッた。

 今もまた、懲りずに私の身体は熱を帯びて遊里を求めはじめている。


今日は1日中、ベッドの上で過ごすことになりそうだった。


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