冴子、嫌がらせに怒る。
前回の話の続きみたいな話です。
とりあえず冴子は遊里の事を手痛い一発で許したようですが、終わったかと思っていた話がぶり返して・・・?
それは不快な電話だった。
仕事から疲れて帰ってきてすぐ取った電話がそれでは、とても丁寧な対応など出来るわけも無い。
「ユウリさんですか?」
一応、最初に津田さん宅ですかとは聞いてきたけれどすぐにユウリさんという。
ユウリね・・・。
ムッとしながら私は何も言わないでそのままにする。
以前も掛かってきた電話だ、また掛けてくると思ってたら当たり。
どこの女子高生だ、この声。
社会人なら、こんな軽い電話の仕方はしないだろう。
私だって、ちゃんと礼儀くらいはわきまえている。
遊里ってば、どこでこんな奴に引っかかったのか。
黙ってたら、ユウリ、ユウリとうるさいし。
「遊里は居ないわ。」
いい加減、ウンザリしたので突っぱねるように私は言った。
そうすると少し、むこうが黙る。
がちゃんと切れば私もストレスが溜まらないのだが、相手はそれで電話を切らなかった。
「もしかしてこの間の人?」
「ちゃんと冴子って名前があるのよ、この間名乗ったでしょ。」
私に名乗らせたくせに自分は名乗らなかった、まあ顔を合わせることはしないと思うのでどうでもいいけど。
「サエコ・・・」
誰が呼び捨てにしてもいいと言ったのか、見知らぬ人間に呼び捨てにされる覚えはない。
「あなたが誰だか知らないけど、今日はまだ帰って来てないわ。出来れば遊里本人に連絡をとって頂戴、この電話は共通のものだから私も出るので迷惑なのよ。」
こちらの電話にかけてくるということはこの番号しか教えていないはず、この間掛かってきた時は出たくないようだったから連絡を取ったとしても携帯番号も教えないだろう。
それに、多分だけど遊里には私に対するネックな人物のような気がするのだ。
「連絡取りたいんですけど。」
「それこそ、調べるか、本人を捕まえて聞くのね。私は教えてあげるほどお人よしじゃないわよ。」
「意地悪ですね。」
口に出す人間もめずらしい、思ってても普通は言わないわよ。
「いい加減、切るわよ。」
「一体、あなたは何なんですか。」
相手は少しヒス気味、私は遊里が猛反省しているのを知っているから冷静だった。
「あなたに聞かれても答える義務は無わね。あと、いたずら電話はしない方がいいわよ、遊里はそういうの嫌いだから。」
「ちょっと!」
耳元で最後の最後にうるさいわね。
「なによ。」
「・・・恋人なんですか?」
恋人ですか、ときた。
さて、なんて答えよう?。
そのまま、答えても差し支えないかもしれないけど問答が始まったら面倒だし。
かといって、付け入る隙を与えるのもまずい。
「そうだとしたら?」
「仲直りしたんですか。」
・・・遊里、どこまでこの女に話したのよ、まったく。
「そうよ、切るわよ。」
こんな電話はさっさと、切りたい。
シャワーを浴びて、ビールを飲んで一息付きたいのに。
「私、ユウリさんと寝ました。」
寝ました!(自慢げに)きたわね・・・勝ち誇ったように言うことか、この女。
「それで? 私に言って何になるの?」
「・・・・・」
反論できないのね、なら最初から言うな馬鹿モノ。
私を怒らせたいのか、優越感に浸りたいのか知らないけどそんな事は知ってるわよ。
でも、これで相手がこの女だという事は確定した。
遊里もよりによって、面倒くさいのをナンパしたみたいね(苦笑)。
「あなたが遊里と居たのはたった一晩だけでしょ、私はもう何年も一緒に居るのよ。」
今更だわ。
そう私は捨て台詞を言って電話を切った。
なんて気分の悪くなる電話だろうか。
遊里が出ればいいのに、ピンポイントで私に当たるかなこの間も。
はあ。
ため息をついて私はその場から離れた。
今日も遅くなると遊里は言っていたから今日はお弁当を買ってきた。
お弁当のお供はやはり、しじみ汁。
お湯、ちゃんと見ていて沸騰したら入れないと。
でも、最近ケトルや電気ポットの存在を知ったので今度買いに行こうかなと思う。
これなら沸騰させて、蒸発させることもなくしじみ汁を飲むことも出来るし。
遊里に笑われることもない、笑われるのはかなり頭にくる。
夕飯を食べたらビールを飲みながらスケジュールを確認して、あとは寝るだけ。
最近は事件もなくて平和でいいわね。(電話の件は頭の端に追いやって)
・・・と、共通のカレンダーに書き込むの忘れてたわ。
今日の打ち合わせでまた、国外の仕事が入ってしまったのよね。
今度はイタリアのトリノ、恩師の紹介で国立管弦楽団との競演。
イタリアはあまり・・・しつこいくらい男が言い寄ってくるから嫌なんだけど。
道を歩けば棒に当たるって言うけど、道を歩いたら男に当たるのは勘弁して欲しい。
こっちは遊びじゃなく、仕事で滞在しているのに。
けど、楽器作りの本場であるので気に入っている。
史跡も多いし、一度くらいは観光で遊里と行きたいと思っていた。
私はイタリアの地図を広げる。
新聞サイズの地図、トリノに赤ペンで丸をつける。
イタリアには何個か丸が付いていた、そこは以前仕事で行った場所。
その他、EU諸国に点々と。
旅行の計画を立てるのは楽しい、あらゆる移動手段を考えて最良のルートを割り出す。
この地図は家用なのでそんなに書き込みはないけれど、持ち歩きの地図はすごいことになっていた。
一度、遊里に見せたら意外!といって驚いていた。
私ってそんなに大雑把で無頓着と思われていたの? 心外だわ、まったく。
ふと時計を見た、11時か。
遊里の言う遅い時間は翌日に近い、待っていても無駄なので早く寝てしまおう。
仕事がなければ私もTVでも見るか、久々にアニソンを聞きながら起きているところなのだけれど。
アルコールが入ったのでいい感じにほろ酔い気分だし。
薄情な感じもしないでもないけれど、時間帯が合わないので仕方が無い。
私は必要な電気だけつけて寝室へ向かった。
かすかに音がした。
そんな音が聞こえるのは眠りが浅いからだ、寝入ってまだ少ししか経っていないみたいである。
私は携帯で時間を確認する。
まだ、1時間くらいしか経っていなかった。
遊里が帰ってきたようで、何かしている。
眠気の方が勝っていたので起きなかった、私が起きなくても遊里のことだから自分の事は自分でやるだろうし。
うつらうつらし始めたら扉の開く音がした。
ゆっくり近づいて来るのが分かる、一応声は掛けておこうか。
「・・・おかえり。」
ほとんど惰性で言っているといいくらい、張りの無い声なのは承知している。
けれど、言うことが大事。
「ただいま。起こしちゃったわね。」
私を覗き込む。
「早く、寝たら? 明日も仕事なんでしょ?」
「うん。シャワーを浴びたからもう寝られる。」
遊里の指が伸びて私の頬にかかる髪をどけ、キスをした。
どんなに遅く帰ってきても遊里は必ず私にする、意識の無い人間にしてもしょうがないのにと思うのに。
起きている時は覚えているけれど寝ている時は当然覚えていない。
遊里に言わせると儀式みたいなものだという。
儀式・・・こういう細かい気配り体質なころが、遊里のモテる一因なのか(苦笑)。
まあ、嫌ではないし気分も悪くもない。
「冴子、仕事は?」
隣に入ってきて遠慮がちに言う。
「朝からある・・・」
眠いので悪気はないのだけれど、突き放した言い回しになってしまう。
「そう。」
残念そうに言う遊里に多少、同情はするけれど。
こういう時は一緒のベッドっていうのは毒よね、触れられる距離に互いの身体があるのに我慢しないといけないんだから。
私はそれに追い討ちをかけることをする。
眠いけど身体を反転させ、遊里の手を取って絡めた。
「せっかくだもの、つながってるくらいはいいでしょ?」
「・・・これ、すごく苦行なのに。」
「何事も修行。」
そう言って頭を遊里の胸に預ける。
「確信犯・・・」
私は何も言わなかった。
当たってることだし、遊里の体温に触れることで私は安心して眠りに入ることができるから。
ただ、遊里にとってみれば勘弁して欲しいと思っていると思うけど。
不快なことは何度もある、しかも今度のは最悪だった。
ある日、インターフォンが鳴らされ出てみると無言。
インターフォンで無言か(怒)。
いたずらなら出ることもない、荷物や客ならちゃんとしゃべるだろうし。
私はそのままに放っておいた。
インターフォンもそのまま、鳴らなかったので諦めてどこかへ行ったのかと思っていた。
『今日はちょっと早いかもしれないから、ご飯作るから。』
遊里は朝出かける時にそう言った。
疲れて帰ってくるのに別にいいと言ったのに、譲らず念を押して仕事に出かけた。
いつも私の方が早く帰って来るので、私は親鳥を待つひな鳥のよう。
何か作れればいいのだけれど、遊里が居ない時は何も作るなと注意されていた。
自分でもどうしようもないほど料理が出来ないのは自覚しているのでその指示に従う。
それでも、少しくらいは遊里の役に立ちたいとは思っていた。
自分にでも何か出来ればいいのだけれど・・・。
TVを見ていてトイレに立った時、玄関の外で物音を聞いた。
その後、人の話す声が聞こえた。
一人じゃない、二人?
関係ないか、と無視しようとしたらどうやら遊里が外に居るようだった。
なにやら言い争いに発展しそうな感じを受ける。
さすがにマンションの廊下で目立つことをするのはまずい。
遊里に面倒? とは思いもよらなかったけれど近隣に迷惑を掛けるのはマズイと思い、私は扉を開けた。
「・・・・何やってるのよ。」
扉を開けた私の前には遊里と知らない女が取っ組み合っていた(?)
状況的に甘い感じには見えなかったので怒るというよりは呆れる方が大きい。
「さ、冴子・・・」
焦る遊里は、情けなく見える。
「サエコ?」
だから、人の名前を呼び捨てにするな。
「・・・あなた・・・」
この声。
思い出した、あの不快極まりない電話の相手。
どんな人物かと想像していたけど、まさに想像通り。
ただ年齢は、二十歳は超えているらしい。
遊里の方に怒りが向かいそうになる。
いくら欲求不満だったといっても、選択の余地くらいはあるだろうに。
『こんな、小娘に何ひっかかってるのよ!』
叫びそうになるのをグッと我慢した。
お酒が入っていたというし、正確な思考が出来ない状況ではこういう事故的な事もありうるか。
でも、それにしたって・・・。
一瞥して私は言った。
「そんな所で騒いだら、何事かと思われるわ。中に入って。」
「冴子・・・」
「話は中で聞くわ、不本意だけどあなたも入って。」
電話では生意気に言い放った彼女は身体をビクリとさせた。
怒鳴るなんて子供とヒスを起こした大人がすることだ。
私の中で嵐はすでに過ぎているので、感情の整理もできているし割りと冷静に対応できる気がする。
「そんな事はしなくていいわ、遊里。」
律儀にもお茶を出そうとした遊里を止める。
こんな時にすることじゃないでしょうに、普通に考えても。
「うん・・・」
とても年上には見えない様子に少しかわいそうな気もしたけどこの問題はこの場で解決させないと。
リビングのソファーに二人を座らせる。
「で、あんなところで騒いでいた理由はなんなの?」
「・・・まさかうちまで来るとは思わなかったわ。」
遊里はちらりと彼女を見る。
彼女は何も言わない。
「遊里、聞くのは嫌なんだけど彼女とは一回だけじゃなかったの?」
「まさか!・・・あの一晩だけよ、本当に・・・」
遊里の言い分は本当だと思う、彼女の方が一方的に行動を起こしているだけ。
「一概に彼女を責める事は出来ないわよ、遊里。」
「・・・・」
遊里だって悪い、一晩だけとはいえそういう思いをさせたらどうなるか嫌というほど分かっているはずなのに。
思慮不足は否めない、お酒が入ってたけど(苦笑)。
「遊里が悪かったわ。でも、あなたも今日来て玄関の前で遊里が困っているのは分かったでしょ? 」
キツク言うことはしない、追い討ちをかけるようだし。
いくらなんでも私だってそんなに意地悪じゃない。
「・・・どこかで見たと思ったら・・・」
「なに?」
「雑誌で見たことがある。」
ビシッと指を刺される。
「・・・人を指さすものじゃないわ。」
「小日向冴子!」
だから、指すなって。
「だから? 私が遊里の恋人だと不都合がある?」
あんまり無遠慮な物言いだから、少しカチンときた。
「サエコって、冴子で、小日向冴子!」
連呼するか・・・さすがの私も我慢の限界に近づきつつある。
「ちょ・・・私が外で話しつけてくるから。」
遊里が私がやばくなってきたのを察し、慌てて割って入ってきた。
「遊里は黙って。」
「冴子・・・」
「あなたにははっきり言うわ、遊里と私が付き合っているのは事実だからあなたの入ってくる余地は無いのよ。」
「ユウリさん。」
「・・・ごめん。あの時、私があなたを誘わなかったらこんなことにならなかった。」
こういう修羅場は必ず泣く人間がいるから嫌なのよ、気分も下がるし。
1日、ヘビーな気分で過ごさないとならなくなるから。
結論、遊里が一番悪い。
「私、イケイケで押せばいけると思ってたんです。」
彼女が帰り際言った。
意外にも喚くことも、ダダをこねることもなく彼女はあっさり納得してくれた。
あまりにもあっさりし過ぎて拍子抜けした感じ。
「遊里相手ならね。」
やさしい遊里のことだから、折れてしまうかもしれない。
「冴子!」
反論したけど、実際そうなので私は遊里の顔に手をあてて遮った。
「あいにくと今日も私が居たから無理だったわね。」
「3戦3敗、完敗でした。サエコさんに会うまでは自信あったのに。」
「いつ、会ったの?!」
当人不在のバトルは知らない間に行われていたのだから会ったことがあると思われても仕方がない。
「あとで教えてあげるわ、それよりもうこんな面倒はもう止めてよ、遊里。」
「反省してます・・・・」
「なんか、世間で言ってる小日向冴子と違うんですね。」
世間で出回ってる話なんて信用していない、信用できるのは自分で見たもの聞いたものだけ。
「あと、もうひとつ。」
「あ、分かってます。」
私の前に掌が開かれる。
「他言無用ですね、カメラマンの津田遊里氏とチェリストの小日向冴子氏が付き合っていることは。」
そこまで言わないのよ、分かってるなら(苦笑)。
「そうしてもらえると助かるわ。」
これで不快な出来事がなくなると思うと気が楽になった。
「遊里、送っていってあげて。」
玄関まで言ったところで私は言う。
二人ともあまりにも驚いて振り向いたくらい。
「なによ、もう解決したんでしょ? 問題ないじゃない。」
「でも、冴子・・・」
「遊里のいいところはアフターサービスが完璧なところなんでしょ。あの朝、さっさと帰ってしまったんだからこれくらいはしてあげてもいいんじゃないの?」
うっ、となる遊里。
それを言われたら言い返せないわよね。
「ただし、ホテルなんて行ったらもう別れるから、分かった?」
釘を刺すことは忘れない。
「尻にしかれてますね、ユウリさん。」
「まあ・・」
「・・・私が高校生の時のからずっとよ、じゃあね。」
「へえ・・・えぇっ!?」
私は疲れたので二人を置いて中に入っていった。
あんなのに付き合ってられないわ。
背伸びをして、リビングのソファーで遊里が帰ってくるのを待つことにした。
ガサガサという音とともに『ただいまー』と言う声が聞こえる。
帰ってきたわね、30分以内に(笑)。
「お帰り、ちゃんと送り届けただけね。」
「そんなにいじめないでよ。」
遊里は苦笑して手に持っていたものを見せてくれた。
「なに?」
「冴子の好きな、ザッハトルテ。」
「ご機嫌取り?」
「それもあるけど、なんとなく買ってきたかったから。」
「紅茶にするからあっちで食べない?」
「いいわね。」
手が差し伸べられたので私はその手を取る。
しかし、取るとそのまま私は遊里身体に引き寄せられた。
「・・・食べるんじゃないの? それ。」
「さっきの冴子、カッコよかった。」
「誰かさんの尻拭いをしないとしようがなかったから。」
そう言っている間にも遊里は私の首筋に唇を這わす。
全然違う方向に進みつつあるじゃない(呆)。
「冴子の方が年下なのに、カッコ悪いのは私ね。」
「誰にでもあるでしょ、そんなの。私は料理がダメだけど遊里は天才的、私は遊里の作るシジミ汁は最高だと思うんだけど。」
「そこで、シジミ?」
「シジミ汁の作り方が上手な人なら遊里と別れたとしても付き合えるわね。」
箱がテーブルの上に置かれる、私は依然遊里に抱き寄せられたまま。
「私と別れる?」
「可能性よ、あくまで。」
「・・・私は別れる気は無いわよ、冴子。」
身体が更にぎゅっと抱きしめられる。
「そう・・・」
唇を当てられ、きつく吸われた。
「ちょっ! 明日、仕事なのよ・・・もう。」
わずか数秒のことで、間に合わない。
諦めの声を私は発した。
「ゴメン。」
「全然、感情がこもってないんだけど・・・」
それに続いて身体を遊里の手が這い回る。
「遊里。」
手を押さえて、私は抗議した。
「ケーキは後にしない?」
「惜しくなったの? それともケーキをダシに使ったの?」
「・・・後者。」
人のことを確信犯って言うけど、遊里も大概よね。
そういえば、と思い出す。
ケーキはいいけど、夕飯がまだだったじゃない。
そう思うと変なものでナイスタイミングでお腹がぐーっと鳴った。
「お腹が空いた、遊里。」
「・・・みたいね。」
出鼻を挫かれた様に、遊里は弱弱しく笑って私の身体を離す。
「夜は長いんだから、今じゃなくてもいいじゃない。」
人差し指で遊里の唇を押さえる。
「せっかくなのに・・・」
「今は我慢して、これで。」
私は唇を重ねた。
サービスと、思ってた以上にキスを長くしたのに遊里・・・。
「もっと悪いじゃない、これ。」
唇が離れたとたん、などと不満を言う。
「どうしてよ?」
「盛り上がらせて、寸止め?」
「腹が減っては・・・ていうでしょ? 途中で集中できなくなるのは情けないわよ。」
「~~~~」
これには反論できなかったみたいで素直に引き下がる。
「簡単なものでいいじゃない、食べられれば。」
キッチンに向かおうとする遊里の腕と組む。
「そう言われると、適当なものは作れない。」
この、職人気質・・・。
さっきは、待てないっていったくせに料理は時間のかかる料理はいいから簡単でいいって
希望したらそうくるわけ?
もう遊里の好きにさせることにした、どのみち私の胃袋は遊里が握っているから。
その後のことは成り行き、私に遊里を拒む理由はないし。
唯一、心配なことといえば明日は仕事ということなんだけれど・・・。