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書き溜めていたプロット(番外編)

作者: 時雨秋冬

 とあるところに3月中旬ぐらいに出したやつの、「天才少年魔法使いもの」のプロットまとめ(あらすじ、キャラクター設定など)です。

 だって今秋、ハリポタ外伝が上映されるから上手く行けば少し遅れるけど「丁度いいんじゃ?」と思ってね!



・季節設定……春が芽吹く、イースターより少しだけ前の季節。



・あらすじ(ほぼプロット。クソ長い)



 魔法使いの都市国家・ジュエル。十年前に両親を大規模な魔法研究所の事故で失いながらも、国立魔法大学に当時十二歳の最年少で入学した現在十五歳の天才少年、ジーノ。大学では学業を片手間にやり、新作魔法や魔法道具を開発してそれらの意匠登録や特許を取得するのに勤しんでいた。



 甚大な被害と多くの死者、負傷者を出した魔法研究所の事故。責任は当時そこの主任研究員でどちらも『天才』と謳われた魔導師と魔女だったジーノ両親に全てがあるとされ、世論の批難は残された幼いジーノにも向くことに。

 そんな両親から産まれたジーノもやはり幼い頃から魔法の才以外でも神童であったので両親の遺産である家の主要財産は他の都市のメインバンクに移し、自らの身も被害者や遺族たちからの呪詛の危険に晒されていたので母が配合していた上質の『色素変化薬』を使い、自分もその事故の孤児で「ショックで言葉を喋れなくなった」ということにして、シスターたちにバレないように飛び級して大学の受験資格を得るまで教会の孤児院に頼っていた。

 そして十二の歳、大学合格通知を貰ったら自分の魔法で作ったゴーレムを『遠い親戚のおじさん』が見つかった、ということにして教会を出た。もちろん、そのことを今でも後ろめたく思っているので、毎月教会には匿名でかなりの援助金を送っている。



 大学入学、本来なら華々しい経歴で表に出て来たジーノだがまだ世間から魔法研究所の事故での被害者や遺族、マスコミたちからバッシングを受けることになる。だが周りの年上のクラスメイトや教授陣がその才覚を認めざるを得ないジュエルトップクラスの大学への最年少入学という環境の下で存分に才能を発揮して羽を伸ばしていた。



 教会で周りを騙しつつもこの大学へ早いうちから入学したかったのは、自分の身がある程度保障され、魔法の研究も出来る環境が欲しい……というのもあったが、入学してからは授業を受けて卒業を目指すよりも金を稼げる魔法陣や魔法道具の特許取得や両親がある程度進めていた研究の引き継ぎなどに専心していた。それは両親が責任者である魔法事故の被害者や遺族には身元が判る者たちから膨大な金額を教会に逃れた当時から匿名で配っているから。両親の遺産だけでは足りないが、ジーノが両親の罪は自分のものだと思っているため。



 しかし三回生になり、カナカという十四歳の美少女がジーノと同学年に編入して来たため一気に逆風が押し寄せた。ジーノは不貞腐れ、四年に一度おこなわれるジュエル名物の『魔法大祭』の選手に登録されていたのも「カナカがやればいいじゃん」とドタキャンすることを決意。

 その辺りはやはり十五歳らしい少年。



 引き籠もろうとしていたジーノを『大魔族・氷結の魔女ヘル』が襲ってきて、そこを助けたカナカの正体は【『魔法大祭』の登録選手や名家や富豪の魔法使いが攫われている事件を調査している公的暗躍組織の護衛魔女】でジーノを護衛するために派遣された魔女だった。

 以降、カナカはジーノの家に同居し、大学でも『恋人』と偽る。



 カランという大学のOBでありジーノの年上の親友は魔法道具改造屋を営んでおり、ジーノたちが訪ねると五年前に家出したカナカの兄だと判明した上にカナカと同じ組織の【魔法経路電脳ハッカー部門】に所属していることも判ったので兄妹でジーノの護衛網を作る。



 家に戻るとヘルと鉢合い「この計画の本命はお主だ」と言って取引を持ち掛けて来るがまたもカナカが阻止する。途中でヘルの失言に気付いたジーノは

「ヘルほどの大魔族をジュエルの結界の内部に短期間で召喚出来る手段は自分が販売した召喚陣しかない」

 ……との結論に至り、「自分が発明し、販売した物で被害者が」ということで消沈する。

 そんな状態のジーノをカナカは元気付けようとしてデートに誘った。



 デート中、不器用ながらも自分を慰めてくれようとしているカナカの優しさに気付いたジーノはそこで彼女への恋心を自覚し、勇気を得る。

 これまで罪に直面するのが怖くて一度来たことが無かった、魔法研究所があった現場に造られた犠牲者たちの慰霊碑。

 そこにカナカと一緒に祈りに来たジーノは全てを思い出し、急いで家に戻って例の魔法事故の責任者でもあり両親の悲願であった『賢者の石』の作成に成功する。


 ◇


 召喚陣の購入者は全員シロだったため、ジーノは単独で最後の容疑者――販売を委託していたことのあるカランを訪ねた。

 例の召喚陣の使用には『鍵』が必要だったが『ハッカー部門の人間』なら容易に開けられる物だったことを告げると、カランは


「お前が特許で得た金を事故の被害者に配る偽善の所為で自分の家庭が壊れたからだ」と言う。



 カナカも事故の被害者であり、五年前(カナカ・九歳時)にジーノが匿名で送った見舞金に目が眩み、もう一度カナカにひどい怪我を負わせて事故の後遺症だとしてカルテを書き直させようとした両親から愛しい妹を守るために家を出て、召喚した魔獣にカナカが学校に行った隙を狙って両親を襲わせた。

 魔法警察に捕まる前に現在の組織にスカウトされ、カナカも孤児院に送られたと聞いて安心していたが、大学卒業直後にカナカが自分と同組織の武闘派部門に入れられたことを知り、その引き金となった見舞金の送り主を恨んで計画を立案して実行。

 カナカと再会してジーノの金の使い道も知ったため、最後まで候補から外していたジーノを本格的に狙わせることに。


 カランが吐露した真相を知り、真摯に謝罪して魔族の手に掛かろうとしたジーノを庇ったカランを見たヘルは「契約不履行」と告げて二人を襲うが、密かにジーノを追って来ていたカナカが店の屋根の上で全てを聞いており、阻止する。

 カナカも自分の知らぬところで守ってくれた兄が大事であり、もう家族を失いたくなかったのだった。


 最愛の妹と親友がヘルたちの攻撃から自分を守ってくれるのを見たカランは、まだ契約が完全に切れてはいないヘルの傍に転移魔法にて一瞬で移動し、組織の上司により裏切った場合に起爆させられる心臓の近くに仕込まれていた遠隔自爆魔法を炎魔法にて起爆させて道連れにしようとするが、失敗。

 カナカはカランの元に行き、黒焦げの身体に泣き縋るがジーノはまだカランの魂のラインが切れていないことに気付くなり、ポケットから取り出した『賢者の石』をカランの胸に埋め込んで治療を試みる。


 ◆


 ――十年前の魔法研究所の事故の真相。あの事故よりも前に、ジーノは幼い身ながら両親の研究にも『被験者』として手伝っていた。


 そして事故当日、ジーノの幼い身体の中に賢者の石の試験作を創り出すことに成功していたが、その反動で魔力の暴走が起きて研究所が倒壊するほどの大事故となり、ジーノは一度瓦礫の下敷きとなって死んだ。

 ――が、体内にある試験作である賢者の石によって不老の要素は無いが不死の力は得られていた。


 ◇


 ジーノがカランの生命を回復させるなり、なんとか生き延びたヘルはその『完全な賢者の石』を目にするなり態度を変えてジーノを誘惑しようとするが、親友の心に付け込み恋する少女を攻撃する魔族は、怒れるジーノによる極大炎魔法によって消滅させられる。



 ジーノとカナカで残る魔族を殲滅させるなり、二人の元にカナカの同僚や上司たちが後片付けや首謀者のカランを逮捕しようとする。そこまでの間にジーノはカランの逃亡幇助も提案したがカランは素直に罪を認めて逮捕されることを選び、これまで誘拐していた人々の投獄場所も教えることに。


 カラン・カナカたちの上司がカナカを叱責するが、ジーノはカランに仕込んでいた遠隔爆弾魔法をカナカにも仕込んでいると判断し、同等の性能だがセキュリティは段違いで確実にジーノしか解除出来ないものをその上司にも即興で編み出して仕込んで取引を持ち掛けて、カナカの安全を保証させた。


 そして、この事件は世間に口外されることの無いまま終結した。


 ◇


 ついに時は、『ジュエル国立五大学対抗魔法大祭』の日を迎える。


 その日は拘留されているカランの元にジーノが作ったジュエルのTV局のみが映る魔法道具が送られて来て、カランがそれを起動させると丁度コロシアムを模した『魔法大祭』のメイン会場でのセレモニーの場が生中継されて映った。


 拍手で迎えられて来たジーノの手にはカナカお手製のターバンを握っており、カメラに向けて大きくガッツポーズのように突き出した『それ』はカナカの黒髪と染色したカランの青髪の二色がデザインされていた。

 ジーノは満足げな笑みを浮かべると、普段ぼさぼさな赤い頭にそれを装着して髪を纏めると、臨戦態勢の顔つきになる。



 ――数秒後、魔法大祭の始まりを告げるラッパが高らかに鳴らされた――。〈終わり〉






・キャラクター設定(プロットに関わる部分も含む)



・主人公……ジーノ・ドラゴニア


 十五歳。燃えるような赤髪で軽く天然パーマの癖の付いた髪の毛や目も灼眼。


 作中で五大魔法祭が開催されるのは植物芽吹く春のイースターの季節なので、年齢を日本人的に換算すると高校一年生ではなく、ぎりぎり中学三年生。ジュエル建国時以来、十二歳という最年少でのセントラル魔法大学へのスキップ入学者。


 十年前の五歳の時分に『新鋭魔法研究所』に管理者待遇で勤めていたどちらも類い稀なる才能を持っていた両親を研究時の事故で失い、他に頼れる親族や類縁者がいなかったために『事故の責任者たちの子供』ということで幼い子供独りの身で非難・迫害されることを懼れたので髪や目に家にあった母親手製の色変え魔法薬を使って変え、教会の孤児院に記憶喪失のふりをしてその事故で孤児となった他の子供に紛れて仮の庇護の宿を求めた。このように、昔から魔法の才能だけでなく頭の回る天才児だったが、自分の身の安全を得る代わりに一時的とはいえ両親との繋がりとを切り捨ててしまったという呵責の念を未だに背負っている。


 しかし真実は、ジーノは事故以前から両親の研究所で『不老不死』をテーマとした研究の被験者となっており、それには本人も納得していた。事故当日はようやく完成した試作品の『賢者の石』を飲み込んでいて髪の毛や目の色も更に燃えるような赤色に変わった。


 そして事故が起こり、ジーノ自身もビルの倒壊で一度は瓦礫の下になり死んだが、蘇生時にジーノは自分が研究被験者だった時の記憶を消去して他の記憶に挿げ替えて補完していた。当時の『賢者の石』は試作品だったため『不老』の要素はあまり備わらなかったが『不死』の要素は備わっている。

 物語の後半にてジーノが慰霊碑に祈った際に出て来た『魂の砂』に触れた際に全てを思い出し、両親たちの本願の一つであった完璧な賢者の石の製作に着手し、成功する。本人自身が『半賢者の石』なので当時の記憶を思い出してからは自分の血を他人に対し劇的回復薬エリクサーのように使ったりする。


 セントラル魔法大学に入ってからは教授陣の覚えも目出度く、学長から特別に一回生の時から研究室ももらえたので日々魔法関連のものの開発に意欲的であり、それで多くの特許を取っていて莫大な利益を得ているが、自分の財産としてはいざという時のための雀の涙ほどしか手元に残していない切り詰めた暮らしをしている。

 特許収入などの主な使い道は教会孤児院への匿名での寄付と、十年前の事故で家族を亡くした人の家庭や怪我などの被害に遭った人々への見舞金として一人につき約一千万エルを、『研究所の責任者だった両親の、残された息子の責務』だと思ってしているから。しかし十年前の事故の規模は甚大だったため、ジーノがリストアップした名前と所在の判っている被害者またはその家族たちへの見舞金の支払いはジーノの得た特許利益と両親の遺した金銭的財産を充ててそれで三年経ってもまだ三分の一弱しか返済出来ていない。


 セントラル魔法大学入学時は大学どころかジュエル国を挙げての『天才児』として最初はもてはやされていたが、ジュエルのマスコミがジーノの名前から身元素性を調べると一気に世論は

「これまで両親のことで謝罪もせずにどこに逃げていたんだ!」「名誉あるセントラル魔法大学の名が穢れる!」

 と手の平返しをされた。


 しかしながらジーノの発明する術式や魔法陣、呪文の高速詠唱や簡略・省略詠唱技術に、特許を取るために新作魔法を開発する度に論文は他のセントラル魔法大学の学年が上の生徒たちよりも格段に上で発想も奇抜なので、入学試験の際にすでにジーノのことを知っていた実力主義のこの大学の学長や教授陣の九割ほどは十年前の事故のことなども

「魔法研究者たちには常に隣に着いて回っている、誰にでも有り得る危険性である」

 と自分や身内などが被害を負っていないような者たちは評していてジーノの才能を素直に認めている。


 しかし生徒たちからは年齢の違いもあるが、学内ではその素性と世論と突出し過ぎた才能で周囲から爪弾きにされていた。

 そこにジーノとは違うタイプの『問題児』な三回生のカランと出会って悪友となって一緒に魔法道具を開発するなどしてからは大学生活が少しだけ楽しくなっていた。だがカランが卒業してからは通う気も減少した。




・ヒロイン……叶華(カナカ)(カナカ)・リンツノート・ピアジェ


 十四歳。黒目・黒髪のロングヘアーで、唯一ヘアーバレッタでお洒落をしているぐらいの元々顔立ちの素が良い少女。体型は護衛魔女として鍛えているため、普通の十四歳の少女よりもスレンダー。


 仕事第一主義だったが、ジーノと出会って以来、同じ年頃の少女を街で見掛ければ自分が彼女らより胸が少ないことを少しばかり気にしている。



 カナカの祖父母たちは元々、東の国ジパンという名のある武家の家令一族だったが謀反の汚名を着せられてジュエルへと娘を連れて逃げ出した。

 以来、祖父母たちはジュエルの外れで追手に怯えて暮らしていて、東のオリエンタルな美貌や魔法の才能はあったが逃亡者故に隠れて暮らすしかなく、魔女の免状を取れなかった娘は祖父母が死ぬなり、美貌は衰えながらも陰鬱な性格で魔法の研究ばかりしていて婚期を逃したジュエル産まれの魔術師の男と結婚し、カナカとその兄のカランを産む。両親の才能は二人の子供、カランとカナカたちにも受け継がれた。

 プライドの高い両親だったが、意外と家族間の仲は良かった。ただ、浪費癖はひどかった。



 十年前の事故では物見遊山客として両親たちに連れられて来ていたカナカだけがビルの破片の被害に遭い、両親は慌ててカナカを魔法病院に連れて行く。

 けれどジーノの見舞金が届いてからは家族間の空気は一変し、カナカは兄が家出し、両親が魔獣に襲われて亡くなった九歳のころに本来は孤児院に入る予定だったが現代日本で言うところの『公安のような組織を更に秘匿可させたもの』に所属していた。

 これはカランが組織にスカウトされたため、同時にその上司が「妹のほうも同程度の才能があるのでは? お互いの存在は隠しておいて、いざという時にこの兄妹への脅迫材料に使えるかもしれない」と考えたため。

 身体の中には知らぬうちに裏切ったときのための追跡装置や遠隔操作爆弾魔法を仕込まれていたりと、幼い少女を道具のように利用するというかなり非人道的な部分もある組織。



 性格はツンデレではなく、クーデレ。

 理由はツンデレ暴力娘メインヒロインは最近よほど魅力的でないと流行らないのと、「『護衛魔女』が『護衛対象』に暴力振るってどうするよ」、というツッコミどころ満載なので。


 そのため「護衛のためですから」と言ってジーノのオンボロアパートのシングルベッドに躊躇なく入って来て密着して寝るのも厭わない。それでジーノが最初の日になかなか眠れずにいた時、カナカの寝ぐせが悪くてジーノにキックやパンチを喰らわせ……でも最終的にはジーノを抱き枕のようにして、それが気に入ったらしくて以降は動かずにそのまま熟睡の態勢に入っていたりする。



 実力主義の組織で『実働魔法武力行使部隊』所属なのと、同僚は年上の屈強な男女ばかりなために妹や娘のように扱われることが多いため、現在の自分の年齢と容姿が同部隊の同僚たちよりも特定の場合に珍重されることが多いのは自覚しているが、異性的な魅力を褒められることは少なかったので、初期のジーノに対しては同年代の異性としては思っていないような感じで無防備なところが多々あった。

 例えば、両手に荷物を持っていたのでスカートが風でめくれて下着が見えようが、その場にジーノだけならば恥じらわないが、大学にてちゃんと十四歳らしく見える演技は分かっていて猫被りは出来る。

 ジーノのことも当初は全く異性として見ていなかったが、天才児だけれども普通の思春期の十五歳男子の心を持ってカナカを意識して行くうちに、仕事第一主義だったカナカも思春期の女子らしい心の移り変わりによる心の接近で、シチュエーションは前と同じでも行動や態度が違って来た……などのところで読者ににやにやしてもらえたらいいなー。




空欄(カラン)(カラン)・(リンツノート)・ブルガ


 二十三歳。カナカの九歳離れた兄。

 家出後は元の黒髪を魔法でブルーに染めた髪色に、青目。髪の毛が作業の邪魔になるのでオレンジなどの目立つ色のターバンを好んで着けている。服はいつも機械油などの染みの付いた作業着やオーバーオール。


 ジーノに大学入学当初から出来た、年上で見た目は不良っぽくもあるが兄貴肌な親友(出会った当時は大学二年次だったので二十歳)。



 セントラル魔法大学に入学したのは組織の上司命令による『免状取得』のためであり、ジーノに近付いたのは本人によるただのは興味本位。

 ジーノが見掛けはともかくとして自分に手のひら返しをする周囲に対して意地を張って他の生徒に対しても居丈高な態度を取っているような性格が、置いてきた自分の妹を彷彿とさせたため、放っておけなくなった。

 以降、大学にてジーノと馬鹿をやっていながらも留年などせずストレートで『魔導技師(マジシャン)免状』を取得してセントラル魔法大学を卒業出来るほどには才能もある。



 現在は大学卒業後、ジーノには組織で働いているのを黙っていながらも治安の悪い下町の自宅で『魔道具改造屋』を営んでおり、ジーノの作った魔法道具の委託販売もしている。

 ジーノも自分のホウキや家財を提供したりして、協力していろいろな物を改造・修理したり、カランが改造した魔法道具のモニターをジーノが頼まれたりも。



 そしてカナカも知らなかったことだが、家を出る切っ掛けとなったのはジーノが匿名にて病院経由でカナカに贈った見舞金に目が眩んだ両親からカナカを守るために家を出て、カナカと両親が離れた隙に自分が召喚した魔獣を喚び出して両親を殺した。

 すぐに魔法警察に勘付かれて捕まるのも覚悟していたが、カナカと同じ組織の上司がカランをスカウトして、この件を不問にする代わりに『電脳魔法経路ハッカー部門』に勤めることとなり、免状取得と潜入調査目的もあってセントラル魔法大学に通うようになる。



 当時は残されたカナカのことを心配していたが、

「妹も君と同じぐらいの素質があるようだから、孤児院よりももっと安全な場所で保護している」

 と聞かされて安心していたが、同じ組織内とはいえ秘匿性を高めるために部署が違う人間たちと会うことは少ない。


 けれど大学卒業してからすぐ、上司の命令も果たして組織内での地位も上がったため「クラッキングの技術の向上の一環」……と心の中で言い訳して組織内の人間を調べていたらカナカの名前があったことにも驚いたが、上司がずっと自分を騙していたこと以上に大事な妹を武闘派の『実働魔法武力行使部隊』の部署所属させていたことを組織の上司――そして全てを壊す引き金となったあの『見舞金』の主に憤怒を覚え、復讐の鬼となった。


 そしてカランはジーノに委託されて自分の店に置いて販売していた『高位神魔召喚魔法陣グリモワール』をクラッキングして使い、ヘルやフェンリルと契約してこのジュエルにて

『魔法の才能』と『潤沢な財力』と『弱者への慈愛』

 この三点を兼ね備えた者たちを襲って攫わせ、『見舞金の送り主』を見付けることを命じた。

 条件がほぼ全て揃っているジーノが最後まで対象にならなかったのは、友として過ごした期間でジーノが特許の利益を他のことに使っている嘘を信じたのと、そしてジーノ自身も両親をあの事故で喪った被害者だと思っていたのと、そしてカランも最後までジーノとはかけがえのない親友でありたかったため。




・極寒地獄の女王であり大魔女:ヘル



 カランが召喚した極寒の地獄、ヘルヘイムの女王。

 氷の魔法を得意とする。外見は幼く小柄で顔を隠すようにフードを被った魔女だが、近付くとその体皮はやけに蒼白くて身体の一部が腐っていることが判るけれども、本人はすでに地獄の住人であり氷魔法で身体全体を凍結させているために腐臭はしない。


・巨狼フェンリル



 巨大な狼の姿であるが、ヘルの実の弟。

 その毛並みは針のようであるため、乗るのは普通の人間では不可能。

 しかもその体躯に見合わず、動きは俊敏でジャンプをすれば普通の魔法使いがホウキで飛んでいる上空二〇〇メートルぐらいの距離までは楽々と追い越せる。

 そしてこの二人の弱点はやはり極寒の氷地獄にいるだけあって炎。






・世界設定




・舞台となる「魔法都市国家ジュエル」の都市部分は現代のイギリスとハリポタの魔法世界を混ぜたような感じで、煌びやかで高層ビルなども立ち並ぶ先進国に近い。

・ただ、ジュエルの中心部にある五つの大学は現代のイギリスやアメリカなどの大学に似たような感じで、ハイテク都市の中央部に広大な土地を持つ緑化部分といったような感じ。



・反面、ジュエルの下町の部分はスチームパンク風な産業革命時代のイギリスに近いような情景で、川も下水が流れていてあらゆる民族や種族がごった煮のごとくひしめいている。規制されている闇の呪術系の魔法の取引などもおこなわれているジュエルの昏い部分を包括している。


・なお民主主義な都市国家であるので、魔法の関与しない普通の政治も執り行なわれていて、代表の元首となる人物もいる。



・ジュエル以外にもこの星にはその他の公国や王国などが存在しており、叶華たちの祖父母の生まれは『ジパン』というジュエルよりも海を隔てて東にある国には魔法使いの代わりに『陰陽師』たちが覇権を握って闊歩している国でもあるが、国自体はジュエルのように先進国家となっていて治安も良いが、古代からの厳格な『しきたり』と『生け贄』などの古めかしく血なまぐさい行事がまだ行なわれている。



・ジーノの名前や見掛けと名前などの関連性


 古代のイギリスでは竜……特に『赤竜』の血を引く者が王者になると言われていたので、ファミリーネームは『ドラゴン』に近いものに。

 ジーノの両親の髪の毛や目が赤かったりするのもその理由で、賢者の石を内包してから更に赤くなることもその理由。

 また、この日本でもいまは『麒麟児』と呼ぶことが多いが、中国ではいまでも幼少時から才能溢れる者を『龍(竜)』と呼ぶことがあったため。


・補足……作中での通貨単位は「一エル=一円」



 この辺で終わり。

 まあかすりもせず、ダメだったけどな!

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