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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

少女隊長と愉快な仲間達

小説の息抜きに書いた小説です。これは人物名が出ません。

登場人物は……隊長=少女、女性、少年、青年、男性の5人です。

「今日はこれに……等倍とヘビバレ、このマップはバーティカル。サブはいつも通り不要で、ガジェットに拡張リュック。弾薬箱は義務として……」


 一角の壁全体が巨大なモニターなっている一室で、少女は黙々と自身の武装をチェックしていた。そしてそれは少女だけではなく、周囲に沢山いる人達も同じことをしている。

 その少女のところへRPG……ロケランを担いだ胸部の主張が激しい女性がやってきた。


「やっほー! 分隊長よろしく」

「ん」


 2人は片手を上げる程度の挨拶で流し、PTを組む。

 少女の武装をちらっと見てから女性はああ、いつも通りだな……と思いつつも、メイン武器に触れる。


「今日はブタちゃん?」

「たまには良いかなって」

「ブタちゃんに拡張リュックってリロード時間ヤバそう」

「20秒超えてる」

「ですよね」


 メイン武器のアタッチメントとしてある拡張マガジンとは違い、LMGの場合はセカンダリとガジェット1箇所を潰す事で、背負うタイプの拡張マガジンが使える。つまり少女の武装はかなり大きく、重そうである。

 今持っているのは初期弾薬が100/200のLMGだが、この拡張リュックにより300/0となる。リロードより死んだ方が早いというか、大体撃ち切る前に死ぬ。トリガーハッピーが好んで使う武装である。微妙に足が遅くなる。

 リュックの入り口から大きめの弾薬が飛び出ており、そのリュックの左側に弾薬の詰まった箱……つまり弾薬箱がくっついている。、

 少女はメイン武器が軽機関銃……LMGなので、弾薬箱は左手で出せるような配置にしている。この少女の兵科は援護兵と言われる。味方が弾薬を補充できる弾薬箱や、LMGによる制圧射撃が可能。


 女性の方はと言うとサブマシンガン……SMGを持ち、太ももにはハンドガン、背にはRPGを担ぎ、腰に乗り物修理用のガスバーナーのような物を吊るしている。この女性の兵科は工兵となる。敵兵器の破壊、味方兵器の修理などができる。


「お、合流できた。分隊入れてくれー」

「ん」


 青年は部屋を見渡し、少女と女性を確認したら真っ直ぐそこへ向かい分隊に入れてもらう。またも片手を上げる程度の挨拶である。それなりに仲が良い事が伺える。

 青年はアサルトライフル……ARを持ち、太ももにハンドガン、近くにいる間味方を回復させる医療バッグ、死んだ味方を蘇生させる除細動器を持つ。この青年の歩兵の兵科は突撃兵。


 更にガタイの良い男性がやってきた。女性と同じくRPGを背に、違う銃だがSMGを持っている工兵だ。


「おす、空いてるかい?」

「ん」


 少女は親指を立てながら申請を送る。これで4人分隊だ。空きは後1人分。

 そしてそこへ少年がやってきた。


「やっほー! 空いてるぅ?」

「ん、最後」

「やったー」


 この少年は偵察兵と言われる兵科だ。スナイパーライフルが持てる兵科で、味方に敵の位置を教える系のガジェットが持てるのが特徴。ただ、この少年は壁のディスプレイを見て、SRからDMRに持ち替えた。


「このマップならこっちかな。後センサーと……ビーコン……いる?」

「ここは……いらないんじゃね?」

「じゃあマブちゃんで」


 少年は背中に丸っこい機械を背負い、腰辺りには筒のような機械を装備する。遠隔操作型の偵察ドローンと、周囲の敵をマップに映すモーションセンサーだ。


 5人の分隊は準備ができた。

 壁のディスプレイにはカウントダウンが2つ表示されており、今いる待機場所からの移動が可能になる時間と、勝負が始まる時間をカウントしている。この間に武装の確認や分隊の移動、作戦会議などを行う。

 少女達も例外ではないのだが、実に簡潔だった。


「いつもの?」

「ん、いつもの」

「豆ヘリ……取れるかなぁ」


 青年が少女に聞き、少女が答えると他の者が頷く。そして女性は兵器である豆ヘリを狙っていた。当然兵器は数が決まっており、敵側も味方側も個数は同じだ。チーム内では取り合いだ。ただ、兵器は当然操縦が難しい。空は特にだ。

 少女と青年は兵器とかマジ無理派であり、女性はお空楽しい派で、男性は戦車派、少年は余らせるなら乗るぐらいだ。


 ルールは旗取りや陣取りと言われる。チームが制圧している拠点が多いほど、敵のチケットを早く減らせる。このチケットが0になると負けで、減らすにはプレイヤーの復活と拠点制圧による自動減少が必要。チケット数は800。50対50なので、倒す倒されたよりまず拠点確保が最優先のモードだ。


「行ってくる!」


 女性がそう言うと4人が頷き、画面を見つめ……カウントの1つが0になった瞬間、女性を含め部屋にいた数十人が消える。それから少しして他の人達も姿を消していく。


『豆ヘリ取ったよー』

『了解』


 女性の報告により4人が部屋から消え、女性が操縦を勝ち取った豆ヘリに乗り込んだ。

 ここからの会話は分隊チャットだ。同じ分隊にいる人達とはどれだけ距離があっても、死亡時ですら会話が可能になる。他の分隊とは普通に話す必要があるのだが。


「よーし、やっぞー」


 丸っこいヘリコプターに腰掛け、今か今かとカウントダウンを眺める。

 横には同じ豆ヘリこと偵察ヘリや攻撃ヘリが並び、後ろには戦闘機が並び、少し前に目を向けると戦車や装甲車、対空砲やバギーが並ぶ。それぞれには既に他の人が乗り込んでおり、彼ら彼女らもまた4人と同じく、カウントダウンを眺める。

 現在はとても静かで、まさに嵐の前の静けさと言うものを体現している。


 そして、開戦だ!

 カウントが0になると乗り物や銃のセーフティーが一斉解除される。

 システムから開放された乗り物はプレイヤーからの操作を得て動き出す。プロペラが回り始め、戦闘機のエンジンも動き出し、戦車も走り出す。先程までの静けさが嘘のように周囲に騒音を響かせ、砂埃を撒き散らす。


 十分な回転を得られたプロペラにより、女性の操縦する豆ヘリが飛び立つ。機体を傾け、速度を重視。


「《分隊命令:チャーリー()》」


 少女の呟きにより、他の分隊員である4人のマップにラインが引かれる。ここに向かえと言う分隊長からの命令だ。分隊命令に従いその近くにいると、何らかの行動により貰えるスコアに、分隊命令遂行ボーナスが追加される。つまり……美味しいのだ。新人はともかく、少し慣れたプレイヤーなら大体が聞く。

 デメリットは分隊命令を出す分隊長がちょっと大変ぐらいか。後はたまにとんでもないところに命令出す分隊長もいる。まあ、出す出さない、聞く聞かないは個人の自由だ。

 少女はスコアが美味しいので、しょっちゅう命令を更新する。命令出した方も命令出された方も、ボーナスがあるのでWin-Win。更にこの4人、同じぐらいの強さである。しかも気が合うとくれば分隊を組まない理由がないのだ。年齢は恐らくバラバラだが、そんな事は些細なことである。ゲームである以上、楽しければいい。


 マップはほぼ長方形だ。4つの角に拠点があり、中央に1つ。その中央にあるのがチャーリーなので、まずはそこへ直行する。ちなみに本拠地は短い方の辺にある。当然敵は真逆側。


「俺は修理で残る」

「ん。3人で降りる」


 どう見てもガスバーナーだが、それで兵器を撫でるだけで修理されるマジカルバーナーを持つ男性を残し、少女、青年、少年が豆ヘリから飛び降りる。


「健闘を祈る!」


 操縦する女性の声を聞きながら飛び降りた3人はパラシュートを展開。ダメージ無く上に『C』と表示された建物の外側に着地。

 どこから出てきたのか不明なパラシュートを投げ捨て――なお、空中ならまた展開可能である――、建物に接近し中へ侵入。

 視界の端っこで占拠中のゲージが表示され、進んでいく。


「今のうちにっと」


 少年が走っていき、分かりづらそうなところで筒を持って地面に設置。マップではその位置から波紋が広がる。モーションセンサーだ。

 味方もぞろぞろ追いついて来た。そしてはそれはつまり……。


「来たな」

「当然殺る」


 ヘリで真っ直ぐ来た一番乗りな3人は、いいポジションで敵を待てる。少年はセンサーの設置で少し遅れたが、少女と青年は既にスタンバイ。

 青年は到着直後にさっさと窓ガラスを豪快に割り、ARの等倍サイトにブースターを噛ませて覗いている。

 少女は青年のいる場所の近くで、壁からしゃがんだ状態で半身だけだし、LMGを構え等倍サイトを覗く。

 少女と青年の間には既に医療バッグと弾薬箱が置かれている。

 少年はダッシュで戻ってきて、2人の斜め右後ろから4倍スコープを覗く。


 占領範囲は建物の中だが、建物の周囲で銃撃戦が始まった。やってきた者達がかち合ったからだ。


アルファー()を確保した〉

エコー()が確保された〉


 3人はまだ動かない。獲物は中に入った来たやつ。その間にも状況は動いてゆく。それをシステムが教えてくれる。


ブラボー()を確保した〉

デルタ()が確保された〉


 そして獲物はすぐにやってくる。不用意に入ってきた敵は重めの銃声2つにより即死。その場で倒れる。きっと敵には蘇生マークが表示されてるだろう。

 まず少年のDMRが頭に、その後少女のLMGによる単発撃ちが胴体に。これによりダメージが100を超え即死だ。

 しかし、50対50である。ぞろぞろ敵はやってくる。どんぱちの始まりだ。少年による規則正しい発射音。青年によるARの指切りによる発射音。そして、少女の弾幕である。

 当然敵も撃ってくるが、ガン待ちしていた3人はポジションが良い。敵の弾は壁に吸い込まれていく。


 青年はちょくちょくリロードをしているが、足元に弾薬箱があるため問題にはならない。少女はそもそもリロードより死んだ方が早いんじゃね? レベルである。


 拠点内にいる人数が上回っていれば拠点占領が始まる。人が多ければ多いほど占領速度は上がる。敵が拠点に入ったら殺るしかない。

 敵が入ってくれば味方も入ってくる。


「っ! SR!」


 少女がそう叫びつつ半身を隠すと、パシュンッと言う音を残し弾丸が通った。狙われていたのは青年だが、青年も少女と同じところを見ていたので気づいていた。スナイパースコープの光に。とっさにしゃがんだ頭上を通っていった。


「あっぶねぇ!」

「SR殺った!」

「まじかナイス!」


 少年の報告後すぐまた2人は体を出し撃ち始める。SRのヘッドショットは距離関係なく即死だ。いくら有利ポジションとは言え、狙撃銃が相手は分が悪い。


〈チャーリーを確保した〉


 そして無事に拠点を確保。少年がこそこそと弾薬の補充に少女のところへ向かい、弾薬箱に手を伸ばしせっせと補充する。


「たーま、たーま」

「《マップ》…………しばらく防衛」

「「了解」」

『そっち戦車行ったぞー! スポットした』


 男性から戦車が来ると3人に伝えられ、スポットによりマップに敵戦車の位置が表示された。

 マップを見る限り味方戦車も来ているので、やり合うだろう。戦車は戦車に任せるに限ると、3人は思った。


「リロード」

「あいよ」


 少女はLMGに繋がっているのを外すと背のリュックを捨てる。自分の置いた弾薬箱に手を伸ばすと新しいリュックが出てきて、それを背負う。

 何度見ても意味分かんねーと思うが、こういう物だから仕方がない。リュックの上から出ている弾薬を掴みLMGに繋いで、上部分を叩いて嵌めれば完了だ。


 その間にも2人は横で敵を撃っている。


「入り乱れてきたね」

「だな。そろそろ移動……うおぉ!」


 青年がしゃがんですぐ、今度はRPGによるロケットが通過。後ろの壁に当たり壁を破壊した。3人共隠れている壁に身を寄せ、壁の崩壊に巻き込まれないようにする。建物破壊による破片などの下敷きになると即死するのだ。


「丁度いい。脱出」

「あいよ」

「おっけー」


 壁が壊れて開放感溢れた建物から、少女に続き飛び降りて脱出。少女はすぐに身を隠せそうな場所を探して直進。2人もそれに続く。

 3人は近くにあった花壇を盾に伏せて隠れる。そしたら落ち着いて状況確認だ。それぞれがマップや周囲を見渡す。


「ポンポンまで来てる」

「一旦引くか? 工兵2人ヘリだしな」


〈コマンダーオンライン〉


 そこへ司令官がやってきた。

 司令官は最初の待機部屋の大きな画面を使い、分隊長へ分隊命令を出したり、救援物資を送ることができる。つまり常に全体マップを見ているわけだ。

 場合によっては……。


「うわ、このタイミングで司令官来るか」

「余計にチャーリー渡せない」

「チャーリーが巡航ミサイルだっけ」


 味方チームが占領している拠点により、司令官のできることが変わるのだ。このマップだとチャーリーを占領している方の司令官は、巡航ミサイルを発射できるようになる。上空からでかいミサイルが降ってきて、結構な範囲を吹き飛ばす攻撃だ。


〈UAVオンライン〉


 司令官によりチャーリーを中心としてUAV……無人偵察機が飛ばされた。これにより範囲内にいる敵は位置がマップに表示される。


「やべー数いるな?」


 青年の言うようにチャーリーの向こう側は真っ赤である。

 自軍側にアルファーとブラボー、敵軍側にデルタとエコーがあり、マップ中央にチャーリーがある。ルール的に敵より多く拠点を抑える必要があるため、必然的にチャーリーが激戦区となるわけだ。


『とりゃー!』


 3人の前方、つまり建物の向こう側。UAVにより沢山いると出た場所に豆ヘリ操縦中の工兵2人が突撃していった。

 女性のヘリの武装は25ミリ砲のようだ。小爆発するのでとても歩兵をプチプチしやすい。


『《フレア》!』


 横から侵入しさっさと打ち切り、フレアを撒きながら中央を通って離脱していく。フレアに釣られたミサイルが回っていた。


『おいひぃ』


 この一瞬で6人持っていったようだ。ホクホクである。


 少年は背中のドローンを下ろし、伏せた状態で端末を操作して飛ばす。司令官が使うUAVの劣化版だが、司令官側のUAVもクールタイムがある。更にドローンは、仕掛けられている敵の地雷などを遠隔破壊できるため悪くはない。

 設置型より狭いが、ドローン自体にもモーションセンサーの効果があり、更に自分で操作できるため好きなところを見に行ける。それをそのまま分隊に伝えられるため、中々できる子だ。


「隊長右! 抜けてるのいる!」

「ん、いた」


 少年に言われすぐ右側を見た少女は敵を見つけ、落ち着いてそれを排除する。


〈UAVオンライン〉


 再び司令官によりUAVが使用され、チャーリー周辺の状況が表示される。司令官の基本行動なため、結構頻繁に使用できるが……。


「む、マークが消えたか」

「敵司令官にカウンターされたね」


 青年に少年が上空を眺めながら答える。無地偵察機が2機、チャーリー上空を飛んでいるのが見えていた。

 司令官は敵を表示させるUAVと、UAVなどを妨害するCUAVが飛ばせる。これにより司令官同士が戦う事になる。UAVはほとんどクールタイムがないが、CUAVはそこそこ長い。


〈トマホーク、発射〉


「巡航が来る」


 このゲームはフレンドリーファイアが無いので、味方なら逃げる必要はない。


「ちょ……やめ、やめ、やめ……あーっ!」


 少年の動かしていたドローンが敵のスティンガーによって撃ち落とされた。一度ロックして発射したら後は自動で追尾する、工兵の対空ミサイルだ。


「フハハハ、第二、第三のドローンが飛び立つぞー」


 少年は伏せたまま少女が置いていた弾薬箱からドローンを取り出した。歩兵の消耗品ならなんでも出てくるびっくり箱である。再び少年のドローンが飛び立った。


 そして、上空から巨大なミサイルが建物の向こう側へ着弾。大地を揺らし、建物や壁と一緒に敵を吹き飛ばす。味方戦車と撃ち合いしていた敵戦車も巡航により吹っ飛んだようだ。


「デルタ、ちょっかい出す?」

「お、いいぞ」

「いいよー」

『運ぼうか?』

「ん、あー……ブラボー防衛」

「ああ、ちょっかい出してきたか」

「《分隊命令:ブラボー》」


 少女は予定を変更し、無力化されかかっているブラボー防衛の指示を出す。地上3人は走ってブラボー向かう。


〈ブラボーが無力化された〉


 味方が占領した青い枠組みから、どちらのでもない白い枠組みに変更された。敵に取られると赤い枠組みに変わる。

 まず足の早い豆ヘリがすぐに到着。ブラボーの範囲をグルグル旋回し、様子を伺うが姿が見えない。グルグルグルグルと落ち着き無く飛び回る豆ヘリ。ホバリングすると無誘導のRPGが飛んでくるからだ。無誘導系に空の乗り物が当たると1発で爆散するので、油断ならない。

 上への占領範囲は広くないので、豆ヘリでは入れない。敵がいる状態でそれをやると、大概RPGが飛んでくる。


『これは中だな』


 近くに来た地上組3人。建物まで開けているが行くしか無いので突撃。まずは拠点範囲内に入る。すると拠点のゲージがその場で止まった。ゲージの均衡。範囲内にいる敵は3人で確定だ。

 少年が建物から隠れられる場所に伏せドローンを飛ばす。そのドローンは建物の中に突っ込んでいった。少女は少年の前に弾薬箱を置き、青年と共に建物へ走る。


 建物に取り付いた少女と青年は、警戒しながらスコープ越しに中を覗き込む。周囲の警戒は分隊の豆ヘリがグルグルしているので、ある程度大丈夫だろう。


「いたいた……1……2……後1人どこだー?」


 少年のドローンによって敵がスポットされ、センサーによりもう1人も見つける。敵の場所が分かればもう、後は倒すだけだ。少女と青年が突撃。


「おし殺った」

「後1人殺ってくる」

「回復してから行くわ」

「ん」


 個室に隠れている最後の一人のところへ少女が向かう。

 敵の場所は既に分かっているので、LMGを構えたまま……撃ちながら突入。一足先に少年のドローンが突っ込んでいった。ドローンに意識を一瞬向けさせるためだろう。……遊んでた可能性も高いが。当然ドローンは歩兵にダメージは与えられない。ただひたすらに目障りなだけだ。


 敵からしたら突っ込んで来るドローン。その直後なんか少女がLMG撃ちながら突っ込んでくると言うヤベー状況。

 でも敵は頑張った。


「仲良死……」

「たいちょー!」

「相撃ちしたのか」


 少女と敵がお互いに死んだのだ。つまり仲良死なかよし

 死因は武器差だろう。今持ってる少女のLMGは実装されてる武器の中でも最低の発射レート。対して敵の持ってた物は最高レートだ。威力があって先に当てても胴体3発は必要だが、向こうの方が3発出るまでが早い。結果、仲良死。


「ほら、起きろ隊長」

「嫌な事件だった」

「今ブタちゃんか。それで至近距離ファマス相手はな……」


 回復してから後を追っていた青年が隊長を蘇生。その間倒された少女はキルカメラ……つまり死ぬ直前の映像を見ていた。『お前の死因これだから』だ。

 壊されなかったドローンが他を探すがいなさそうなので、少年と合流。今のうちにリロードしておき、弾とドローンも補充。


〈ブラボーを確保した〉


「《分隊命令:デルタ》」


 降りてきた分隊の豆ヘリに地上の3人が取り込み、デルタへと飛んでいく。


「優雅な空のたびぃい!? ちょ」

「さらば」

「やべっ」

「じゃあの」


 5人の乗っている豆ヘリのすぐ近くにぬるっと敵の戦闘ヘリが。元々デルタは敵陣側なのだ。当然遭遇率は高い。そしてそれを見た瞬間少女、青年、少年が飛び降りる。目的地は近いので尚更だった。


『殺ってやる! 殺ってやるさ! このそrですよねー!』

『ぬわーっ!』


 豆ヘリが戦闘ヘリと殴り合い、爆散した。


「さて、デルタ」

「先制取れればなぁ?」

「姿勢的にも完全に向こう有利だったもんね……」


 少女、青年、少年は見向きもせずにデルタに走り、爆発音と断末魔、そして暗くなる分隊一覧を見て察した。

 T字路で信号無視して直進したら、パトカーの前を通過した状態だ。予定調和も良いところだ。


 3人はクリアリングもせずデルタに突入。だって、そんな事していたらさっきの戦闘ヘリが来るの分かりきってるし。つまり敵陣に向かってがん逃げしたわけだ。建物に逃げ込まないとまず死ぬ。

 ゲージが出てきて占領が始まった。当然敵にも分かるので集まってくる事だろう。


 3人して2階に駆け込み、隅っこに隠れた少年によりモーションセンサーが置かれ、更に飛び立つドローン。


「ただいま」

「おか」


 さっき死んだ2人が分隊リスポーン。それぞれががん待ち状態に。

 そして少年のドローンにより向かって来る……ポンポン――主砲をポンポン発射する事からそう呼ばれる連射型の装甲車――、戦車、戦闘ヘリ、歩兵が判明する。


「いや、来すぎだろ」

「大量に釣れた」

「釣れすぎなんだよねー……」


 青年のボヤキに少女が親指を立てながら返す。それに苦笑する女性。

 少女達のいる建物に戦車とポンポンの主砲が撃ち込まれ、壁が無くなり開放感溢れすぎる建物になっていく。


「何ということをしてくれたのでしょうー」

「そりゃするよな。俺だってそうする」

「奇遇だね、私もする」

「「ハハハ」」


 そう言いながら工兵の女性と男性はRPGを担ぎ出す。

 残りの3人は壁付近から離れつつも中に入ってくる敵歩兵を警戒する。兵器は工兵にお任せだ。最初から眼中にない。


 戦車やポンポンに向けて撃ちまくり、少女の弾薬箱から補充。殺られたら青年が蘇生。歩兵は少女と青年がメインで排除し、少年はドローンでスポットを優先している。

 敵からしたら超迷惑な分隊だ。だが当然限界がある。まず工兵2人の蘇生する余裕が無くなる。そしてDMRの少年も武器的に辛くて速攻でサヨナラ。そしてARの青年も捌ききれなくなり、回復・蘇生持ちが脱落。LMGの少女が耐えるが……。


「弾の切れ目が命の切れ目」


 リロードになった瞬間終わり。

 分隊全滅したので5人は最初の部屋に集合。分隊復活ができなくなったので、復活場所を決める。


「む」


 少女がその場から消えて、残った4人が壁のディスプレイを見ると、チャーリーに向かっているであろう戦車の2番席にいた。


「《分隊命令:チャーリー》」


 察した4人はそのまま待機。予想通りチャーリー近くで戦車が止まったので、少女はそこで降りる。その少女で4人が分隊復活をし、そのままチャーリーへ向かう。

 装備のせいで少女が少し遅れて4人の後を追うが……スポットされた敵のバギーが横から走ってくるのに気づいた。そのバギーに向けてLMGを発泡。撃たれたのに気づいたバギーは進路を修正し真っ直ぐ少女に向かって来ていた。

 分隊も気づき撃とうとしたが、少女がそのまま倒した。


「「「「あ……」」」」


 見ていた分隊は未来が見えてしまった。そして少女も察した。

 そして少女はやりきった顔で……無人になったバギーに轢かれて死んだ。


「いや無理でしょ」


 目撃してゲラゲラ笑いながら再びチャーリーに向かう3人と、同じく爆笑しながら隊長を復活させに戻る青年。

 蘇生されてムクリと起き上がり、チャーリーに向かう2人。先行した3人は絶賛戦闘中。激戦区である。


「右だ右!」

「殺った!」

「ナイス!」


 わらわらとやってくる敵を倒しながらチャーリーの防衛に励む。

 青年の近くにいれば回復があるし、死んでも蘇生が来る。弾は少女の弾薬箱から取ればいい。敵の位置は少年のセンサーや司令官のUAVがある。CUAVで割りと見えなくなるが。兵器は基本兵器同士で殴り合ってるし、たまに工兵がロケランでちょっかいを出している。


 パシュンッと言う音と同時に、少年が即死した。


「えっ! 砂に抜かれたー!」

「まじかよ。起こすぞ」

「ありがとー」


 起こされた少年はそそくさ隠れて、青年もさっさと元の位置に戻る。


『ぐえー』

「どこだあれ……あー、無理だな」


 男性が殺られたがソコソコ距離があるので、青年は蘇生を諦めた。男性はロケラン担いで兵器と戦っていた。

 女性はちょくちょく戻ってきては少女の弾薬箱で補充して、再びフラっといなくなっている。こちらも兵器にちょっかい出しつつ、サプ付きSMGで歩兵狩り。

 戦車とポンポンがやってきて、拠点のゲージが減り始める。


「不味いな、押されだしたぞ?」

「裏取りに釣られた」

「アルファーが落ちて、ブラボーまで落ちかけか」

「ん」


 チャーリーに味方が集まってしまい、防衛がいなくなった他拠点が落とされ、そこを取り返しに味方が戻る。この戻る人数が多すぎて、拠点を維持できなくなると辛くなる。

 そうなるとまず外周側をフラフラしていた女性が殺られる。


『お、戦車あるじゃーん』

『じゃあ2番席乗ろっと』


 死んだ工兵2人が戦車で復活。

 建物も壁がほとんど無く、ほぼ骨組みだけになっている。つまり身を隠す場所がほとんど無い。


『んー……チャーリー持つか? それ』

「無理。アルファーかブラボー」

『あいよ』


 戦車で来てもまず耐えられないと判断した少女は、自軍側どちらかの援護に行ってもらう事にした。戦車の復活は多少時間がかかる。無理してチャーリー来ても、すぐ壊されるのが目に見えているため、他に回す。

 数の暴力はいかんともしがたい。味方が減ったチャーリーはそのまま落とされ、3人も倒された。


「次の私はもっと上手くやってくれるでしょう」

「とても幸福な状況ではないな」


 復活待機中で壁のディスプレイを眺める少女と青年。少年は2番席の女性に一回降りてもらい、分隊復活している。女性はまた2番席に乗り込んだ。

 落ちかけのブラボーは持ち直したが、アルファーがまだ取り返せていない。つまり今ある拠点はブラボーだけだ。拠点1-4である。


「エコーに抜けたい」

「だな。バギーで行けるか?」

「相手の兵器の位置次第」


 敵はアルファーとチャーリーを復活拠点にしつつ、ブラボーへ向かうだろう。よってその間が今の激戦区になっている。

 拠点が増えると言うことは守る場所が増える。このモードは取っても維持しなければ意味がない。一番防御が薄いのはブラボーの逆側のエコーだろう。

 チケット自体は前半が優勢だったので比較的余裕はある。今のうちにせめて2-3にしないとまずい。


「デルタが揺れだしたな」

「ん。バギーでエコー」

「行くか」


 他の分隊がブラボーの正面にあるデルタを落としに行ったようだ。確実に防衛がそちらに割かれるので、その隙きにアルファーの正面にあるエコーにバギーで向かう。青年が運転。少女が2番席だ。

 なるべく見つからないように隅っこを走るバギー。だが、誰にも見つからないかと言うとそんなことはなく。青年と少女の近くをパシュンパシュンと弾丸が通る。


「この音……DMRか! まあ、当たらなければどうということは」

「いて」

「……死な安死な安」


 少女に一発当たったようだが、DMRなら一発で死ぬことはない。豪快にエコーの範囲内に突入。さっさと乗り捨て建物を目指し、2階へと駆け上がる。

 青年はすぐに窓の方へ寄り、外を眺める。少女は部屋の中央付近でマップを開く。分隊の3人はアルファーを攻めているがまだ近づけていない。そこで少女は分隊命令をエコーへ変える。


「死んだら来て」

『おっけー』


 『D』が白くなっており無力化はしているようだが、少女にゲージまでは見えないので、状況が分かるのはそのぐらいだ。ただ、それなりに敵は集まっているように見える。


「む、1人来たな」


 復活地点に選べるのは本拠地。またはチームが占領している拠点かその拠点にポップする兵器。もしくは自分の分隊員。そしてチームの人が乗ってる兵器の空きだ。

 自拠点のゲージに敵が入るとマークが揺れる。つまり防衛に来る際、敵はエコーで復活することが可能だ。エコーのどの位置かはある程度ランダムで選べないが。

 そして2人で占領中に1人入ってくると、割りと分かりやすくゲージは遅くなる。青年はそれで察したわけだ。少女はマップを閉じ、相棒のLMGを持ち直す。

 少女と青年はそれぞれ違う入り口が見える場所へ移動し、等倍サイトを覗きながらガン待ちをする。


 敵は少女の方から来たようだ。ダンダンダンとLMGから3発発射され、倒される。敵による反撃は無かった。1発頭に当たっていたので2発で十分だったが、LMGはフルオートしか無い。そしてこの距離ならどこに当たろうが3発で倒せる。つまり3発撃っといた方が安心安全だ。

 死体撃ちと言うモラルに反する行為があるが、あれは死んだ後に倒れた死体に向かって撃つ行為の事を言う。されても『ハハハ、こやつめ』と流すぐらいが丁度いい。相手にするだけ無駄だ。


「タンゴーダウン」


〈エコーを無力化した〉


「これで湧いては来ないな」

「ん。外周警戒」


 少女と青年の方はこれでしばらく落ち着いた。


 3人の方は絶賛どんぱち中だ。男性の操縦する戦車から砲弾が放たれ、女性の操作する戦車の上に設置されたHMG……ヘビーマシンガンからも弾丸が放たれ、巨大な薬莢が散らばる。


「戦車来た!」

「おう、捕捉した」


 戦車同士の殴り合いが始まる。攻撃時も被弾時もでかい音を響かせながら派手に殴り合う。

 その間に2番席の女性は周囲から寄ってくる敵歩兵をHMGで倒す。


「よし後ろにつく」

「あいよ」


 女性は2番席から降り、戦車の後ろに付いてバーナーでお尻を炙る。すると戦車が直っていくマジカルバーナーである。

 歩兵が寄ってきたら持ってるSMGか、2番席に乗りHMGで対応。倒したら修理して、体力があるようなら戦車の後ろからRPGを敵戦車にお見舞いする。

 そして敵戦車が爆散した。


「おっしゃ、アルファー突撃だ!」


 女性の修理を待ち、乗ったのを確認して前進。女性は機銃をクルクル回しながら、1番席が見れない進行方向以外の周囲を確認する。

 豪快にアルファー範囲内に戦車で乗り込み、動き続ける。C4対策だ。2個付けられたら戦車は沈む。動いてれば付けづらいし、敵なら触れたらロードキルになる。


〈アルファーを無力化した〉

〈退避命令〉


「退避命令だと!?」


 そこへ司令官から退避命令がアルファーに出された。

 一回2番席から降りて、リロードされていないRPGをリロードしてた女性が飛び乗る。そして全力でアルファーから撤退。


 離れて戦車を方向転換させた瞬間、空から巨大なミサイルが降ってきた。


『ぎょえー!』


 敵司令官による巡航ミサイルだ。少年が南無三。戦車は2人乗りである。

 拠点確保中で沢山いたアルファーに巡航が落ちた事で、それなりの数が持っていかれたようだ。司令官による退避命令を聞いた者は生き残ったのがいるようだが。少年はいそいそと端っこで伏せていたが無駄だった模様。


「あぶねー」

「司令官グッジョブ」


 再び戦車はアルファーの範囲内へ。敵は既に味方歩兵に制圧されたようだ。


〈エコーを確保した〉

〈アルファーを確保した〉

〈デルタが確保された〉


 これで確保拠点が3-2となる。敵はチャーリーとデルタだ。


『隊長の方行こっと』

『ん。2人はチャーリーへ』

「おうよ」

「おっけー」


 少年は少女と青年のいるエコーで分隊復活。戦車の2人はそのままチャーリーへ。


「死ぬまで防衛。死んだらチャーリー」

「んだな」


 少年は早速センサーを設置し、ドローンを飛ばす。


AC(エーシー)130(ワンサーティー)、ガンシップオンライン〉


 戦闘エリア上空に巨大な戦闘機……ガンシップが出撃された。プレイヤーが復活地点として選ぶことでガンシップで復活し、上空から攻撃が可能となる。戦車の主砲に近い攻撃と、ポンポンの連射性を更に上げた攻撃、更にヘリのミニガンを積んだ感じである。

 とても強そう……に思える。


「ガンシップなぁ……」

「棺桶」


 プレイヤーにとっての認識はこれである。

 ガンシップの飛行ルートは固定。そしてこのゲームの生態系トップである戦闘機と、空の天敵対空砲によって速攻で引き千切られるガンシップ。『耐久が多い? スコアが美味しいね!』という悲しみの鉄の棺桶である。司令官も出撃させるだけでスコア入るので、とりあえず出しとけぐらいの認識だろう。


「AC-130ってここだっけか?」

「ん」

「じゃあどうせすぐ落ちるな」

「いっぱい来たよー」


 敵本拠地真ん前であるエコーにぞろぞろと敵がやってきた。基本的に兵器は本拠地に湧くので、当然兵器も来る。もう通るついでのごとくやってくる。

 エコーに敵が釣れれば釣れただけ、チャーリーの守りが薄くなるので万々歳と言えるのだが。


 そして当然のように戦車の主砲によって壊れる壁。


「お前達はいつもそうだ!」

「もう少し頑張ってよ壁!」


 青年と少年がボヤくが、3人共兵器の射線に入らないよう建物の2階、中心辺りで伏せてガン待ち。

 ドッカンドッカン撃ち込まれ壁が無くなって行く。歩兵もぞろぞろやってきて、ゲージが押されだしだ。少なくても拠点内に敵が4人入ったわけだ。


「ん、崩れる」

「やべぇ」

「退避!」


 上からパラパラと降ってきて、建物が揺れる。建物が倒壊する際のエフェクトだ。急いで三人は兵器のいない方から飛び降りる。


「あー! よし」


 降りた方向に敵がいて青年が撃ち勝つ。すぐに医療キットを床に置き回復。少年はセンサーを置き直し、最後に少女が合流して弾薬箱を置く。少年はそこから今置いたセンサーを補充する。

 少年は伏せてドローンを再開。2人に敵の場所を知らせる。2人はお互い違う方を見て待機。センサーとドローンによるスポットを頼りに、敵が来たら撃って倒しを繰り返す。


「あ、攻撃ヘリ来た」

「おう、来世で会おう」

「あふん」


 そして3人共同じところにいたため、攻撃ヘリに纏めて薙ぎ払われた。他に行くところも無いのだから仕方ない。今の場所から出たら出たで、地上兵器や歩兵に倒されるから対して変わらんのだ。

 攻撃ヘリの2番席は豆ヘリのメインよりでかい30ミリ砲である。1番席なんかロケットだ。歩兵じゃまず無理。

 3人は壁にディスプレイのある部屋へ。司令官が頑張っている。


「ぬわーっ!」


 女性が戦車の後ろで修理していたが、SRに頭を抜かれ合流。


「おっす!」

「あ、ついに殺られたんだ?」

「攻撃ヘリが来てな」

「なるほど。お、豆ヘリ湧いたじゃーん」


 女性の姿が消え、白かった豆ヘリアイコンが分隊の色に変わる。それを確認した3人は豆ヘリでリスポーン。


「《分隊命令:チャーリー()》」

「ぐわーっ!」


 少女により分隊命令が変更され、少年は早速助手席からドローンを放り投げ、操作を開始。

 戦車に乗っていた男性が戦車とともに爆散。女性と言う修理兵がいなくなったから仕方ない。一度兵器に乗ったらその兵器と共に死ね……がこのゲームの常識である。乗り捨てると敵にパクられるからだ。兵器はポップ数が決まっているため、鹵獲ろかくされると目も当てられない。


 豆ヘリは機体を傾け、チャーリーへと向かう。

 青年が座席をズレ、少女の方に寄る。男性が今まで青年のいた場所にリスポーン。バーナーを取り出し修理待機。


 無力化まで行っているチャーリーの範囲少し手前で、少女と青年と少年が飛び降りる。豆ヘリはそのまま攻撃に参加。25ミリ砲が地上を蹂躙するが、女性のいる運転席からアラートが鳴り響く。


「フレ……なんっ!?」


 フレアを撒こうとしたが予想よりかなり早くガンッガンッと2発被弾。男性がバーナーで修理を開始するが、ビービー鳴り響かせ煙を噴き、ゆっくり回りながらフラフラしつつ高度が下がっていく。


「アクティブレーダーめー!」


 ロックが必要なく発射されると真っすぐ飛んでいき、近くに航空機がいると突如そっちに飛んでいくミサイルだ。よってアラートから被弾がとても早い。ただ、威力は低いので即死はしないが、一時的に機動力と操縦が死ぬ。


「なにくそー!」


 ジャイロスタビライザーと女性による操縦、男性の修理によりアラートが止み復帰。正常にプロペラが回りだし姿勢も安定、一旦自軍方面へ撤退する。


 その間に以上の3人はチャーリーへ突入。

 さっさと突っ込んで隠れる青年と、武器的にも少し後ろで隠れる少年。そして移動の遅い少女はバリバリしながら歩く。腕だろうが足だろうが、見える部分に向かってとりあえず撃ちながら前進。

 そして2発ほど被弾しつつも青年と合流。弾薬箱を置いて、青年の医療バッグで回復している間にリロードをする。


「あの辺りっぽいな。おら、くれてやる」


 青年が手榴弾のピンを抜き放り投げ、5秒後に爆発した。


「お、2人。ラッキー」


 その間に少女はリロードを終え、半身を出してバリバリ始める。少年も少し後ろで4倍スコープを覗きパスパスしている。

 チャーリーのゲージは行ったり来たりしており、安定していない。敵を倒して減らす必要があるだろう。


「あー……」

「ん!?」

「ヘッショされた……」


 半身出してバリバリしていた少女がSRに頭を抜かれ即死した。青年がギョッと少女の方を見て隠れる。


「アルファー、エコー間」


 キルカメを見た隊長から場所を聞き、蘇生させながらそっちを確認する。


「いた。上」

「あれかぁ……面倒な!」


 起きた少女と青年は早速移動。その際足の遅い少女にバスバス当たる。


「いたい、痛い、遺体」

「たいちょおぉ!」


 走った状態から死んだので前にズサァーしてスヤァ。

 少女は激戦区で銃弾飛び交う場所を通るには、少々分が悪すぎる装備である。シルエットがでかいから目立つし、移動が遅いのでそりゃもう狙われるし当たる。結局青年で分隊復活。

 空の2人はいい感じにうまうましている。


「あ、おい対空砲いるぞ!」

「え、どこあっあっあっ」

「なんであんなところに対空砲いんだ!」

「あーっ!」

「ぐわーっ!」


 と思ったら対空砲によって爆散した。豆ヘリが対空砲に捕まると3秒もあれば溶けるから仕方がない。

 2人も分隊復活してチャーリーに集合。


「まさかあんなところにAAいるとは……無念……」

「もう後は歩兵だな……」


〈チャーリーを確保した〉


 早速少女はマップを確認する。無事拠点は3-2になり、ぞろぞろと敵がやってきてるのが分かる。敵より拠点数を上回った状態で維持すれば勝てるゲームモードなので、このままチャーリー防衛をする事にした少女。

 次どうするか考えるのは敵が減ってきた頃。つまりチャーリー以外に人が向かった時である。また裏取りされてチャーリー捲られると面倒だ。


「グラナータ!」


 少女の投げた手榴弾が壁にぶつかった瞬間爆発して1人を持っていく。そこへ青年が突っ込み、残り2人を倒した。手榴弾はきっちり3人に当たっていたのだが、少女の持ってる物は爆発が早い分当てやすくて威力が低めなのだ。


 下の階から細い筒が飛んでくるのを少女と青年が気づき、咄嗟に銃を持っていない左で目を庇いつつ、顔を背ける。その直後白い光が辺りに広がった。フラッシュバンだ。しばらく範囲内の目と耳を潰す。


「目が、目があああああ」


 女性が思いっきりくらっていた。真っ白かつ耳キーンである。少女と青年も耳はやられたが、目が生きているのでミニマップを見ながら、やってくる敵を排除していた。目視できるなら耳が死んでてもどうにでもなる。

 数秒で目と耳は回復。


「隊長弾くれー」

「2階」


 男性がロケランを担いでやってきた。早速弾薬箱から弾頭を取り出しロケランに装填。使った分も補充していく。


「ヘリ来た!」


 少年にスポットされた敵の攻撃ヘリがマップに表示される。それを見た4人は2階の窓際から離れ、部屋中央辺りへ。壁がぶっ飛ばされる可能性が高く、窓を通されても爆発するから結局死ぬ。よって離れるしかない。


「さて、片付けの時間だな」


 女性と男性がRPGを担いでそれぞれ違う窓際へ。女性のRPGが放たれ、少し置いて男性のが放たれる。

 女性のRPGは外れ、撃ってきた女性を狙うためにホバリングに移行した攻撃ヘリに、男性のRPGが突き刺さり爆散。


「あ、当たった!」


 当てた本人が一番驚くあれである。とりあえず狙うとはいえ大体外れる。でも案外当たるから油断ならない。そして攻撃ヘリは2人乗りで、兵器破壊も入るのでスコアが美味しい。


 チャーリーを防衛したり、たまにアルファーとブラボーの防衛に行ったりで、終りが近い。


「あそこいっぱいいる」

「グレ投げる」

「ん」


 少年に教えられた場所へ青年が手榴弾を投げ、少し開けて少女が投げる。青年の手榴弾は爆発が遅い標準的な物だ。爆発範囲が広く威力も高い。近ければ即死する手榴弾である。

 青年の手榴弾で1人が死に、他も巻き込まれたところで少女の手榴弾が爆発。3人を持っていった。


「うまうま。……っ砂!」

「だな!」


 パシュンッと弾丸が通過。SRである。ハズレはしたが音は怖い。走りながら光を探す。


「いた! 正面赤2階!」

「「無理」」


 少年が発見して知らせるが、距離的に少女と青年は放置を決定。そして考えることは同じなのか、無言で女性と男性がRPGを撃ち込んだ。

 男性のRPGが先に到達し壁を破壊。女性のRPGが逃げようとしたスナイパーのいる横の壁に当たり倒した。


「あ、殺れた」

「まじかよ」


 撃つために一旦止まった2人より先に隠れた3人は、見える敵に片っ端から撃ちまくっている。

 少年からタン、タン、タン、タンと一定間隔で規則正しい銃声が響き、青年からはダダダ、ダダダ、ダダダとこちらも一定のテンポで撃っている。

 少女もダンダンダン、ダンダンダンと3発ずつ撃ち、セルフ3点バーストをしている。フルオートだと銃が暴れて遠距離だとまず当たらなくなる。そのためこういう指切りが基本だ。少年のDMRはそもそもセミオートしか無いが。


 銃によって撃った際の跳ね上がり(リコイル)が違う。それを自分でコントロールすることで真っ直ぐ飛ばす。それがリココン……リコイルコントロールと言われる技術である。

 少女の持ってる銃はカスタム……選んだグリップによってほぼ真上にしか跳ねない。跳ねる方向をほぼ固定できるならリココンも楽だと言うことだ。更に発射レートも遅いので命中率が高い。問題は撃ち合いになるとレート負けしやすい。

 しかしこの状況ならとても長所が活かせるのだ。少女は目を輝かせながら、とても楽しそうに撃ちまくっている。


 半身を出して撃ちまくっていたその少女が、突然転がるように隠れた。さっきまで少女のいた場所をRPGのロケットが通過して後ろで爆発。動かなければ直撃していただろう。


「あぶな……」


 場所を変えて再びバリバリ始める少女であるが、今度は手榴弾が近くに飛んできたため、後ろに少し走りヘッドスライディングしてそのまま伏せる。その後背後で爆発し、パラパラと破片や土を撒き散らす。


「残った」


 ダメージは来たが死んではいない。キョロキョロして医療キットを探す。


「こっちだこっち!」


 青年がいたのでそちらに逃げ込む。医療キットと弾薬箱を交換し、回復する少女と弾薬を補充する青年。ついでに少女はリロードもしておく。


「お、回復ぅ!」

「弾あるじゃーん!」


 そこへ他のプレイヤーもやってきて回復と弾薬を補充。工兵と偵察兵のようだ。回復しながらスティンガーと地雷、C4を補充している。兵器絶対壊すマンだった。


「お? バギーじゃないか」


 C4を補充していた偵察兵の人が、後ろの方にバギーを見つけそっちに走っていった。

 リロードやら補充を済ませた工兵の人はマップを確認し、親指をぐっと立てたので、青年と少女もそれを返す。工兵の人はスティンガーを担ぎ走っていった。

 少女と青年の視界端に颯爽と走るバギーが。C4のアイコンが付いているのを見て全てを察した。さっきの偵察兵の人である。特攻、ご苦労さまです。

 バギーから飛び降りる偵察兵。手にはC4の起爆スイッチ。敵兵器のお尻に向かって進んでいくバギー。そして……カチッと。


「HAHAHAHA」


 破片を撒き散らしバギーと敵兵器が汚い花火を地上に咲かせた。ちなみに偵察兵の人は押した後に逃げ切れず、撃ち殺されている。押す前なら防げたのに。


 チャーリーの防衛をする事しばらく。


〈我々の勝利だ〉


「ん、終わった」

「ふー……結構いい勝負だったな」

「100チケか。いい感じだな」


 100チケットちょっとを残して少女側が勝利。そしてキル()デス()とスコアが表示され、スコア順に並ぶスコアボードが表示される。

 少女がトップで2位に青年、少し他の人を挟み女性と男性、少年が並ぶ。


「次のマップどこかなー?」

「どこだろうねー」


 今の試合の成績を元に分隊毎にチームシャッフルされ、再び壁にディスプレイのある部屋へとやってくる。そこにはさっきまでとは違うマップが表示されていた。


「次の銃は……」


少女のカスタム

 LMG:ブタちゃん。M60-E4。高威力低レート。

 等倍サイト:シンプルな光学サイト。レッドドットが一般的。

 レーザーサイト:腰撃ち時に狙いが分かりやすい。緑レーザー。

 バーティカルフォアグリップ:左右へのリコイルを軽減する。

 ヘビーバレル:距離によるダメージ減衰と弾丸の落下を軽減。リコイルが増える。

ガジェット

 拡張リュック:背負うタイプの拡張マガジン。LMG専用で、セカンダリを占領。

 弾薬箱:弾薬やフラグなど歩兵の消耗品を補充できる。

 手榴弾:着弾式。衝撃によりすぐ爆発する。範囲と威力は控えめ。

 ナイフ:普通のナイフ。近接用。


 M60-E4は上と斜め左右にリコイルする設定。

 ヘビバレは銃そのもののリコイル数値を上げる変わりに精度を上げる設定。

 バーティカルは左右へのリコイル数値を下げる設定。

 よって少女の銃はほぼ真上にしか跳ねなくなるが、上への跳ね自体は強め。ただ自分の方向に引きながら撃てばいいのでとても楽。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] >少女は予定を変更し、無力化されかかっているブラボー防衛の“支持”を出す。 →“指示”を出す。 [一言] >「俺は修理で残る」 男性は突撃兵で、ガスバーナー持ってるのはヘリの操縦してた…
[良い点] BF4がVR化したらこんな感じなんですかねー 結構遊んでたので懐かしい気持ちになりましたw
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