第四話「秋」
4秋
01鈴柾「さてと、皆さんお楽しみ文化祭が近づいてきたな」
02実都「俺の一番好きなイベントがやってきたぜーー!!」
03鈴柾「そういわれるとやりたくねえな、やめるか」
04実都「なんでやねん」
05玲「それで、今年の文化祭は何をするんですか?」
06鈴柾「カフェ」
07帝「カフェ!!!ワタシ大好きネ!!!モエモエキューン!!!」
08鈴柾「うんなんかちょっと違うけど」
09純「これって普通のカフェをやるんですか?」
10鈴柾「いい質問だな。この俺のクラスで普通のことをするわけがないだろ?」
11実都「まあそうだよな。で、なにすんの?」
12鈴柾「男は全員女装!女は全員男装!名付けてチェンジカフェだ!!!」
13玲「鉄板ネタとはこのことですね」
14鈴柾「おい西園寺、そこは触れないでくれよ」
15実都「ついに俺の美貌が最大限に生かされる時がきたんだな!一肌…いや、何肌でも脱いでやるぜ…!」
16鈴柾「高梨、お前は裏方」
17実都「ひどい!!」
18純「でもたしかに楽しそうですね、カフェで出す料理は私が決めてもいいですか先生?」
19鈴柾「おお、いいぞ。じゃあその辺全般巽に任せるからこの時間使ってくれ。粗方決まったら俺に報告な。助手は・・・」
20帝「ヘイヘイヘイ!!!せんこー!!ヘイ!!」
21鈴柾「先生はタクシーか?よし、帝、お前を助手に任命する」
20帝「アイッサー!!」
21鈴柾「さて、と。(雪と実都と玲の近くの椅子に座る)・・一応授業中なんだがな、九條。」
22雪「・・・・すみません。」机に伏せながら小さな声で
23実都「許してやってくれよせんせ、こいつは・・・」
24鈴柾「分かってる。ある程度のことは姉さんから、誠の母親から聞いてる。俺だって九條のことを見守ってきた側だからな。」
25玲「・・・変わってますよね、先生って」
26鈴柾「こういう教師目指してたからな。それに九條のことは俺も無関係ってわけでもねえし。で、誠が白井のことを好きだって?」
27雪「・・・・・・そう言ってたけど・・」
28鈴柾「ふうん。珍しいな、あいつそういうのあんまり言わないタイプなんだけど。相当なんだろうなあ」
29雪「はあああ・・・」溜息
30実都「おいおい、さらに落ち込ませてどうすんだよ」
31鈴柾「あ、悪い悪い、なんか誠にも理由があんのかなって思ってね。そればいいとして俺もお前を応援してんのよ九條、だから今回の文化祭をこの内容にしたってわけ。」
32雪「・・・・・?」
33鈴柾「考えてみろよ、白井の性別」
34玲「なるほど、彼女は女性ですが男として生きている。ということは」
35雪「・・・華の女装が見れる・・・!」少し明るく
36実都「確かにあいつにとったら不本意だろうが、良いきっかけにはなりそうだな!見直したぜ、意外と頭いいんだな先生」
37鈴柾「俺にとってはその言葉が不本意だわ。ただまあ、これはただのきっかけってだけで九條が動かねえことには状況変わんねえからな。誠がもうすでに白井に直接思いを伝えたかどうかはわかんねえけど、あいつも欲しいものはなんとしても手に入れたいタイプだから。」
38雪「そうなのか・・」
39鈴柾「ま、やるだけやってみたらどうだ?俺も教師になるっていう夢かなえるために家を捨てたけど、多分勇気出してなかったら今の俺はいないしな。」
40帝「せんこー!!!決まったネ!!!」
41鈴柾「おーその呼び方他の先生にはやめとけよー?・・ま、俺の手くらいいくらでも貸してやるよ」
42玲「それ。宇佐美さんにも言ってますよね」
43鈴柾「はは、鋭いな。先生はいつでも中立の立場でいないとダメなのよ。・・・さあて!みんなお疲れさん!じゃあ来週は本格的に内容つめてくからなー!」
44雪「・・・・文化祭」
45華「秋」
46雪「秋」
文化祭
47純「わああ!最高!!ほんと最高だよ三人とも!!!雪くんかわいい!!!!実都くんセクシー!!玲君美しい!!!!今日の文化祭ではギャンギャンお客引っ張ってきてね!」
48帝「ぐ・・・悔しいけどワタシの次に存在感あるネ。無駄に顔がきれいなだけアルよ」
49実都「ああんレオンちんに褒められるなんてゾクゾクしちゃう!!(女声)ア・イ・し・て・るぐほぉぁ!!」
50帝「撤回ネ。ほんっと気持ちわりぃナ」
51玲「似合ってしまうところが実都くんの怖いところですね。雪君も。」
52雪「嬉しかねえよ。それより・・・」
53誠「驚いたな、すごく似合ってるよ華ちゃん。これからスカートも沢山着たらいいのに」
54華「いや・・・俺は男だし似合ってても嬉しくないよ。」
55誠「そう?パンツとスカート両方似合うなんてなかなかいないよ!さすが華ちゃんだね」
56雪「あんのやろう・・・・なんで二年の教室に・・・・!!」
57玲「まあ文化祭ですしね。他学年は勿論、他学校の生徒も来てるわけですからいてもおかしくはありませんよ」
58純「それにしても華ちゃん奇麗だねえ。やっぱり色白だしなんでも似合っちゃうんだろうね。見て、華ちゃんのことチラチラ見てる人沢山いるよ」
59雪「むきいいいい」
60実都「こらこらどうどう・・・。何とかしてあいつを引きはがして、雪と白井を二人きりにするタイミングを作んねえとな」
61帝「わっちがいくヨ。」
62純「えっ、帝ちゃんが?!」
63帝「あのヤローと白井華を引きはがせばOKネ?任せるのヨ。ちょっとそこのオナゴ、その男カツラ貸すネ!」(ウィッグをかぶって誠と華に近づいていく)
64雪「大丈夫か・・・?レオンのやつ・・・」
65帝「おい、おめえ。俺の女に手ぇ出すんじゃあねえヨ。離れナ。」
66誠「あれ、君は・・・」
67華「帝さん?」
78帝「なんでバレたネ?!」
79雪「瞬殺じゃねえか!!!何しに行ったあいつ?!」
80帝「ぐぬぬ、こうなったら最終手段ネ!!!なんでも良いからこっち来るのヨ白井華!!!ユーキあとで落ち合うネ!!!」
81華「えっちょっと・・!!」
帝が華をつかんで廊下を走っていく
82誠「華ちゃん?!」
83実都「あーストップ。すんませんね、うちのレオンが色々とご迷惑をおかけしたみてぇで」
84誠「君たちは雪君の・・・どういうことかな、説明してもらえると嬉しいんだけど」
85玲「後からちゃんと説明致しますよ。雪君がちゃんと白井さんと話ができた後でね。」
86純「雪くん行って・・・ここは私たちが何とかするよ・・!」
87雪「お前ら・・・。・・・っ!!」走っていく
88誠「・・・はっ、(笑う)なるほど、そういうこと・・・。君たちがそう来るなら僕にも考えがあるよ」少し怪しげに
89実都「・・・っ」
90玲「・・・」
91純「・・・っ」
帝と華が走っている
92華「はあ、はあ、・・・っはあ・・」
93帝「はあ・・はあ・・!」
94華「帝さん・・・!!、どこまで行くんだ・・・?」
95帝「こ、この辺でダイジョーブね・・・・ああああ・・流石に疲れたヨ・・。」
96華「はあ・・・、一体どういう・・・・」
97帝「オメー、あのくそ眼鏡のことが好きなのか?!」
98華「え・・・っと・・・」
99帝「ウサギね!!!ウサギまこーとネ!!!あのいけすかねえヤローのことが好きなのかって聞いてるのヨ!!オメーはユーキのことほったらかしてアイツとくっつくことを望んでいるのかネ?!」
100華「・・・・・・・」
101帝「アイツは・・・!!アイツはチビでどうしようもなく馬鹿で・・!しかも間抜けで頼りなくて腰抜けだけんドモ、でも、でもスッゴイいいやつヨ!!わっちは・・ぐす・(涙声)・・私は・・・悔しいネ・・!!なんでアイツが苦しい思いせにゃあならんのヨ?・・・・アイツは・・ユーキはこんなにもオメーのこと・・!!!!」
102華「帝さん!!」少し大きな声で
103帝「へ・・・」びっくりして
104華「ごめん帝さん。ありがとう、でも・・いいんだ」
105帝「・・・いいって・・・」
106華「・・・いいんだよ、・・・もう。」
107雪「レオンのやつ・・華が屋上にいるって言ってたけど、こんな寒い中なんでそんなとこに・・・・」
屋上の扉を開ける
風が吹く
108雪「う・・さっむ・・・あ、」
109華「雪」
110雪「・・・華?(棟のギリギリに立っていることに気づく)華?!?!お前なんでそんな端にいんだよ馬鹿!!!あぶねえだろ!!」
111華「それ以上来るな。」静かに
112雪「・・・っなんで!」
113華「そこで聞いてくれ雪、頼む」静かに
114雪「・・・・っ。わかった・・・」
115華「・・・。俺は一度死んだ。」
116雪「・・・死んだ?」
117華「小学校6年生の時に。今と同じように、俺は学校の屋上に上って目を閉じたんだ。そして、飛び降りた。」
118雪「はっ?!」
119華「フリだよ、フリ。本当に飛び降りたわけないだろ。こうして生きてるんだから。」
120雪「あ、ああ・・・・」
121華「でもその時に俺は自分を捨てたんだ。おかしなことを言ってるみたいだけど、でも冗談を言ってるつもりもない。」
122雪「・・・分かってる」
123華「雪、今まで本当にすまなかったと思ってる。散々俺のせいで辛い思いをしてきただろうし、うちの面倒にも巻き込んでしまった。」
124雪「そんなことは・・」
125華「俺はもう普通じゃない。もう雪の望むようには・・なれない。だから・・・」
156雪「待て・・その言い方じゃまるで」
157華「もう俺には・・・」
158雪「華・・!!!」
159華「俺には関わらないで、雪。」
160雪「・・・・・っ」
161華「放っておいてほしい。家も、引っ越そうと思ってるんだ。まだ母親には話せてないけど今夜にでも・・・」
162雪「勝手なことばっかり言いやがって・・・・」
163華「雪、勝手だとおもうけどこのほうが」
164雪「それが勝手だっつってんだよ!!この方が俺のためになるって言いたいんだろが余計なお世話だ!!!」
165華「雪。お前が俺にそこまでする理由はないだろ。幼馴染なんて言ってもただの・・・他人だ。」
166雪「本気で言ってんのかお前。・・・それ、マジで言ってんのかよ・・?」
167華「・・・・ああ。」
168雪「・・・・っ」
169華「それじゃあ俺はもう行くよ。カフェを抜け出して皆に迷惑かけてるから」
170雪「待て華・・・!!!!」
171誠「待つのは君の方だよ雪君」
172雪「おまえ・・・!宇佐美・・・!」
173華「宇佐美さん・・・なんで・・・」
174誠「華ちゃん、行って。」
175華「・・・・・・」出ていく華
176雪「待て・・・・!!!!・・・お前・・・なんのつもりだよ・・・?あいつらはどうした・・?」
177誠「なんのつもりだって?君たちが僕に同じことをしたんだろう?その質問に答える義務はないよ」
178雪「・・・・ちっ・・、お前か?華に変なこと吹き込んだのは・・・?」
179誠「変なこと?いったい何のことだろうね」
180雪「とぼけんじゃねえ!!!華が・・・あんなこと言うなんて、お前になにか言われたからに決まってる・・・!」
181誠「酷いな、根拠もないのに人を疑わないでほしいな。それに大方想像はつくけど、あれは僕が吹き込んだことじゃなくて華ちゃん自身の言葉だよ。」
182雪「そんなわけ・・・!!!」
183誠「そんなわけない?本当にそう言えるの?雪君、君は華ちゃんが変わって以来、きちんと話したことあるの?」
184雪「そ・・れは」
185誠「他愛もない話をして、逃げてきたんじゃないの?死んだ華ちゃんと向き合うこと。」
186雪「・・・・・っ」
187誠「ほらそれ。その何も言えなくなる時は図星の時でしょ雪君。あの花火大会の時も同じように黙ってたけど」
188雪「あれは!・・・あれは違う・・違うんだ。俺は本当に華のことが・・・・」
189誠「華ちゃんのことが?」
190雪「・・・・・なんで、声が出ないんだ・・・。なんで言えないんだろう・・・俺。」
191誠「はあ・・・(溜息)、きっとね、時間が経ちすぎたんだよ。」
192雪「え・・・?」
193誠「思いは時間が経つたびに強くなるけど、その分幼馴染としての時間も同様に長くなるでしょ?それを壊したくないっていう恐怖もあったり。あとはこれだけ思いが強いし周りの人も知ってるから言わなくてもどこか通じるとか思っちゃったり?あえて言葉にするのに勇気がいるとかね。なんにせよ気持ちを言わないまま時間が経ちすぎたんだよ、君も」
194雪「俺・・も?」
195誠「ほんと馬鹿だよね。本来ならちょっとやそっとで崩れるようなものじゃないのに。僕なんかが入り込める隙なんて、これぽっちもないっていうのにさ。」
196雪「お前・・・」
197誠「ちゃんと、もう一回話し合って。あの状態の華ちゃんに話したところで余計に溝が深まるだけだったよ?ちゃんとお互いの話を聞いて、目を見て。君は華ちゃんを生き返らせてあげないといけないんだろ?」