第二話「春」
2春
01雪「は、華」
02華「おはよう雪。・・・なに?」
03雪「あ、・・・と、遊びに行かねえかなって」
04華「?・・誰が?」
05雪「俺・・・とおまえ」
06華「・・・珍しいな、雪が俺を誘うなんて」
07雪「そ、そうだな。そうだよな。・・・・変かな」
08華「別に変ではないと思うけど。どこに行くか決めてるのか?」
09雪「・・・笑うなよ?いやむしろ笑ってもいいんだけど・・」
10華「?」
11雪「・・・遊園地・・行こう」
12華「春」
13雪「春」
遊園地
14雪「結構賑わってんな・・・」独り言っぽく
15華「最近できたしな、ここ」
16雪「え、そうなの」
17華「知らなかったのか?テレビでも話題になってるけど」
18雪「しらなかった・・・」
19華「そうか」
20雪「しかも心なしかカップルが多いような・・・」
21華「そういう遊園地だしな」
22雪「・・・・・」
23華「やっぱり知らなかったのか。まあ雪らしいけどな」
24雪「……あいつら…」小声
ファミレス
25純「え?帝ちゃんがオススメしてたあの遊園地、カップルが楽しめるってコンセプトなの?」
26帝「(食べ物をたべながら)そうヨ!やっぱりそういう雰囲気のあるとこじゃないと気分ものらないネ!あ、これめちゃうまヨ!」
27玲「ふむ、嵐の予感がしますね…」
28実都「まあ、逆に上手くいけばラッキーだけどな。…悪い方に転がらなきゃいいけど…」
29鈴柾「おっと、こんなところでうちの生徒と会うとは」
30玲「鈴柾基哉先生、奇遇ですね。先生もここのファミレス良く来られるんですか?」
31鈴柾「フルネームはやめてもらえるかな西園寺玲くん?俺の家すぐそこだからな。休日の昼はいつもここなんだよ。」
32実都「流石、独身貴族の鈴柾基哉先生だな。休日1人でファミレスとか普通入れねー、ってあれ、ひとりじゃないのか」
33鈴柾「だからフルはやめろ高梨実都。あーこいつは俺の甥だ。確かお前らの一つ上の歳だったか。」
34誠「こんにちは。」爽やかに
35帝「ブーーーーーッ!!!」水を吹き出す
36純「う、嘘!!鈴柾先生の甥っ子さんだったなんて…」
37誠「えっと、僕がなにか…?」
38玲「レオンさん、純さん。その反応まさか…」小声
39純「うん…。華ちゃんと話してたの、この男の人だよ…!」小声
40帝「オイおめー、一体何者ネ?」
41実都「あーっとレオンちんおこかなー?おこなのかなー?あんまり波風立てない方が…」
42帝「わしゃおめーのことが気に入らないネ。さっさと正体明かすが良いのヨ」
43鈴柾「誠、お前なんかしたの?」
44誠「いやぁ初対面のはずですし、記憶にはないですけど…」
45純「ご、ごめんなさい。この子イギリスとのハーフでずっとあっちにいたから日本語がおかしくて…。悪気はないんです、…たぶん」
46誠「はは、分かってるから大丈夫だよ。それに僕も君達には自己紹介しておきたいしね。」
47玲「それはまたどういう意味で」
48鈴柾「お前ら九條と仲良いだろ」
49実都「雪?そりゃ仲良いけど…、雪がどうかしたのかよ?」
50鈴柾「九條は今いないみたいだからな。お前らに先に伝えたいんだってよ。」
遊園地
51雪「カップルが楽しめるっていう割にはさほど他の遊園地と変わんねーな」
52華「そうだな、あえて言うなら飲み物とか食べ物が少し普通より大きいくらいかな。」
53雪「そうそう。さっきのコーラとホットドッグマジででかかったよな。もー俺腹いっぱい」
54華「雪は意外と食べるから大丈夫だろ」
55雪「意外とってなんだよ、これでもまだ育ち盛りなんだからな。背もお前をあっという間に抜いてくから覚悟しとけ!」
56華「それは楽しみだな。」
67雪「ちょっとくらい笑って言えばいいのに…(拗ねたように小声)ん、あれなんだろ?」
68華「盛り上がってそうだな、何があるか行ってみよう」
69司会「さあ!!これにて4組目が終了ー!!!残り1組だー!!さあ、我々こそはというカップルはいないかあー?!?」
70雪「なんだあれ。…えっと、カップルクイズ大会?」遠くにあるものを読むように
71華「クイズ大会?どこに書いてある?」
72雪「あそこ、あの柱の…」
73司会「おおっと手が上がったーー!!そこのおふたり、さあさあ前へ!!」
74華「……雪」
75雪「違えよ!お前がどこにって言ったから指さしただけだろ!」
76華「こんなに盛り上がってる中行かないわけにはいかないな…腹をくくろう、雪」
77雪「おい待てカップルって…」
78司会「本日の最終組はこの2人だー!!まずはお兄さんに質問!どこから来てくれたのかなー??」
79雪「…………」
80華「え、と……」
81司会「んん?あ、わわ、ごめんなさい、お姉さんでしたね!!中性的なおふたりでお似合いのカップルさんが本日最後のクイズ大会に挑戦です!!」
82雪「お、俺たちカップルじゃ…」
83華「いいよ雪、今はこれに参加しよう。俺は構わない。」
84雪「構わないって…」
85司会「では始めましょう!!!ルールは簡単、お互いに関してのお題をだして2人の答えが一致すれば正解です!恋人同士ならすぐに答えられるお題ばかり!3問全て正解したら豪華な商品がございますので頑張ってくださいー!」
86華「良かったな、雪。」
87雪「あ?何がだよ」
88華「俺達でも充分答えられる。俺は雪のことをなんでも知ってるし、雪も俺のことをよく知ってる」
89雪「それは」
90司会「第1問!彼氏さんの好きな食べ物はなんですか??」
91雪「俺の好きな食べ物…絶対知られてる…」
92華「ふっ(少し笑う)」
93雪「あれ、今笑った…?(小声)」
94司会「うーんここは知っておきたいところ!食べ物って重要ですよねーうんうん!!さあておふたりの答えは?!一斉にオープン!!!!…………おおー!!おめでとうございます!!ハンバーグで一致です!!彼女さんこれはしっかりリサーチしていたというところでしょうか?!」
95華「こいつの好きなものは昔から子供っぽいので…食べ物ならこれだってすぐに分かりました」
96雪「そんなの言わなくていいんだよ!恥ずかしいだろ!」
97司会「なるほど幼馴染カップルさんですかね?!くうう羨ましい!!では次にいきましょう!!第2問!彼女さんが彼氏さんにして欲しくないことは何でしょうか?!」
98雪「華が俺にやって欲しくないこと…、昔と同じなら…分かる」
99華「…………」
100司会「お二人共難しい顔をしていますね…、2問目も突破するのか?!さあておふたりの答えは?!………なんと!!嘘をつくことで一致です、凄い!!きちんとお話をされて関係を作られている証拠ですね!!最後のボーナス問題なのでこれで豪華賞品も目の前というところだ!!」
101雪「やっぱり一緒だった。…嘘をつくこと…か。」
102司会「ではこれで最後の問題です!心の準備はいいですかー???3問目!!!おふたりの付き合った記念日を答えてください!!!」
103雪「え」
104華「あ…」
105司会「さあ!!最後にババーンと一致させちゃって下さいー!!」」
帰り道
106華「…悪かった」
107雪「え?なにが」
108華「あのクイズ大会のことだよ、雪に恥をかかせた」
109雪「は?別にそんなこと思ってねえよ。…それに俺だって」
110華「…雪?」
111雪「俺だって…お前の彼氏になれたら…」
車が走ってかき消される
112華「雪、もう1度。きこえなかった、なんて?」
113雪「……っだから!」
114誠「あ、良かった。2人とも帰ってきたんだね。」
115華「…どうしてあなたがここに?」
116雪「え、っと、華の知り合い…?」
117誠「知り合いって程ちゃんと話したこともないんだけどね。前に図書館でちょっと話したくらいかな?君たちを待ってたんだよ。」
118雪「図書館…?!それって…」
119華「あの、俺たちを待ってたって言うのは」
120誠「うん、突然で驚くかもしれないけどよく聞いてほしい。九條雪くん、僕は今日から君のお兄ちゃんなんだ。」
121雪「はい…?」
122信之「いやあ言おうと思ってたのになあ。悪かったよ雪」
123雪「親父、流石に悪かったで済む問題じゃないぞ、再婚って本気か?」
124信之「本気も何ももう決めたからなあ。だからここにお前の兄ちゃんがいるわけだし」
125雪「俺別にまだなんも理解してねえんだけど」
126琴美「雪君の言う通りですよ信之さん。雪君になにも説明しないまま突然再婚だ、兄弟ができるだなんてめちゃくちゃです。誠も誠ですよ?」
127誠「すみません・・雪君もごめんね?僕に弟ができるなんて嬉しくてさ。」
128雪「だから、俺はあんたが兄貴になるなんて認めてねえって話をしてんだろ。つかお前、俺より前に華と話してただろ、それはどういう魂胆なんだよ。華は関係ねえだろうが」
129誠「あ、もしかして図書館のこと華ちゃんから聞いた?雪君には幼馴染がいるって聞いていてね。僕も会う機会が多くなるだろうと思ってたから、雪くんに会ってから挨拶しようと思ってたんだけど先に華ちゃん見つけちゃってさ。」
130雪「華にこのこと話したのか」
131誠「いいや、その時はタイミング的にまだ誰にも言えなかった。だから華ちゃんにこの話はしてないよ」
132琴美「雪君、私たちは宇佐美家と決着がつくまでは外部に情報を漏らす事は出来なかったの、お伝えすることが遅くなってしまってごめんなさい。」
133雪「・・・・ちょっと待てよ、いったい何の話をしてんだ?」
134誠「雪君もしかして僕たちのこと知らない?宇佐美家のことはニュースにも流れてると思うけど・・」
135雪「ニュース?」