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美味しい海鮮丼の味が忘れられず、木を切る気にもなれなかったので、適当にだらだらしていたら夜になっていたので、3人別々の部屋に寝た。
栞に寝込みを襲われそうだったので、『栞は俺の部屋に入って来れない』とだけ言って寝た。
栞に関しては、一晩中ドアがガタガタいってうるさかったとだけ言っておく。
そして今は、朝ごはんであるお茶漬けを食べ終え、まただらだらとしている時間である。
働きたくないから休んでいる、という表現も正しい。
「いやほんと、木を切ったら世界は救われるってどういう事なんですか?せめてなんかヒントぐらいください。」
「どうしたのいきなり。まぁ確かにどの木を切ったら、なのか、世界から木を無くす、なのか、木を作り出す存在を倒す、なのか分からないけど。」
「カケル様、その辺りは私が覚えています。まずは————」
この後の話が長いこと長いこと。
まぁ簡潔にまとめるとこうなる。
・この世界は、九つの大陸に分かれている
・大陸ごとにそれぞれ別の生物が繁栄している
・大陸ごとに木を創り出す存在がいて、その存在を倒さなくてはいけない
・つまりは地道に木を切らなくていい
・木を創り出す存在の場所は分からない
・木を創り出す存在を一つ倒すごとに、何かが手に入る
・その何かを九つ集めた後の事は分からない。
だとのこと。九つの何か辺りから、何か急に胡散臭くなってきたが世界が違うのでそういう事なんだろうと、勝手に納得した。
だからイネラ、木を切る作業あんなに嫌がってたんだな。
「大陸単位で探すのとか面倒臭いにも程があるだろ。」
「まぁ確かに。なにか案ある?」
「これ以上何か増やすの面倒くさいんだけどなぁ……しょうがない。『望んだものへと導く何かが、この家に来る』。」
我ながら酷いことを言ったと思う。
なんだよ。望んだものへと導く何かって。どこの海賊が持ってる羅針盤だよ。
ピーンポーン
と、インターホンがなった。
この家、ログハウスなのによくもまぁインターホンついてんな。
まぁドアを直接開ける派だけど。別に不審者でもなんとかなるし。
「じゃ、俺が出る。」
そう言って、リビングから廊下へ出て、玄関へ行く。
「すいませーん。」
あ、これ女の子なやつだ。声が高い。
恐る恐る、玄関のドアを開けた。
「どちら様でしょうかー。」
「はい!私、リロ様から派遣された天使になります!ノニケールと言います!」
「あ、そういう宗教は結構ですので。今日の所は、お引き取り下さい。」
「そうでしたか。あ、じゃあまた今度の機会にさせて頂きます。ありがとうございましたー。」
そう言って、ノニケールと名乗った、ルネサンス期を思い出させるような、白い布を何枚も重ねて服にしているような格好で、現実では初めて見た水色の髪をしていて、何やら背中に白い羽根を生やした13歳ぐらいの少女は、玄関の扉を閉めて帰って行った。
あれは一体何だったのだろうか。
「って違いますよー!」
「長いノリツッコミだったな。」
ノニケールは、扉を開けて玄関に入りながらそう叫んだ。
元気だなぁ。
「まぁ立って話すのも面倒だし、中に入ってくれ。」
「わっかりましたー!」
笑顔で敬礼しているノニケールを敢えて無視し、先にリビングに戻った。
「無視しないでくださいよー!」
ノニケールは、笑いながらそう言って中に入った。
ほんっと元気だな。
「はい!私、さきほどリロ様によってこの世界に派遣されました!ノニケールと申します!カケルさん!これからよろしくお願いします!」
ずっとニコニコ笑顔のまま、自己紹介をしているノニケール。
「私、カケル様の奴隷のイネラ。」
「翔君と一番長くいる栞です。」
ずっと無表情で自己紹介しているイネラと栞。
ノニケールが太陽と表されるのなら、今のイネラと栞は冥王星だろう。
太陽の光がほぼ当たらず、暗いままの冥王星だ。
「じゃあ、早速だけど出発するか。ノニケール、この大陸の木を創造する存在のもとへ案内してくれ。移動手段は歩きな。」
「はい!ここから真東に、歩きますよー!」
……寝起きから、このテンションじゃないことを祈ろう。
「じゃ、各自必要なもの持てよー。」
「「「はーい」」」
長い旅が始まりそうだ。




