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 十分な休憩を経て、三人は下層への道を見つけさらに潜る。


「最悪」


 フユは新たに出た魔物を前につぶやく。


「私も相性悪いさ」

「スライム?」

「メタルイーター」


 そこには鈍色の固まりがでろでろと床を這い回っていた。


「金属を溶かすし斬撃無効で斬ってもくっついちゃって元通り。刺しても無駄さ」

「え、じゃあどうやって倒すの?」

「打撃は有効だから脳筋ナツが居れば物理で殴って何とか倒せたけど……メタルイーターの魔石は一個二万ジェニンと高いから惜しいと言えば惜しいさねぇ……でも私たちが殴ってダメージが通るほど脆くはないさ」


 さらっと親友をディスるスタイルのアキをシキは割りと好きであった。


「シキさんのブルーマジック」


 フユの言葉で己の魔術を思い出す。一匹二万ジェニンで人が歩む程度の速度の魔物なので倒せれば非常に効率が良いとシキにも解った。


「取り敢えず試して見るね」


 動きは遅いが念のため十分間合いを取って【マンティス(黒)】で攻撃する。


 ぶちゅっぽっぴゅ


 一度は粘体を弄くった時特有の音を発っしてまっぷたつに割れたもののすぐにくっつきシキ達に向かって近づいてくる。


「ノーダメ」

「じゃあ次」


 斬撃の【マンティス(黒)】で駄目ならと打撃の【ゴブリン】を発動させる。すると半透明のゴブリンが地面にその拳を叩きつけるようにメタルイーターを叩く。


 ぶちょっ


「おおっ」

「やったさ!」


 鈍色の身体が周囲に飛び散り拳大の鉄塊のような魔石が残った。


 ゴブリンで倒せるなら意外と弱いのだろうかとシキは思ったが、それよりもやっと自分の活躍の場が来たと理解し次々と近づくメタルイーターを【ゴブリン】で潰す。

 二十匹ほど叩き潰すと見あたらなくなり一息ついた。


「一気に四十万ジェニンさ!」

「大手柄」

「結構弱いのにお金持ちだねぇ」

「いやいやいや、ナツの打撃でも一匹倒すのに何度も殴って時間掛かるから多分シキ君のマジックが特殊なのさ」


 賞賛と分析にシキは納得した。とにかく自分の魔術が役に立ったのなら文句はない。多少術の発動に疲れたが初戦より大分楽な気がした。




 ブルーマジシャンのジョブレベルが上がりLV.2となりました

 それに伴いジョブスキル【解析】を獲得しました


 ブルーマジック【メタルイーター】を覚えました


 所持スキル


 【解析】


 所持マジック

【ゴブリン】1/6 ※打撃

【ゴブリン(白)】1/6 ※回復(極小)↓回復(小)

【バット(黒)】-/- ※傘

【マンティス(黒)】-/- ※斬撃

【メタルイーター】0/3 ※?

【ホーンラット】-/- ※?




「あ、ジョブレベルあがったみたい」

「おお。おめでとうさ」

「スキルは?」

「【解析】って奴覚えたよ。どれどれ」


 シキは前世での青魔術師のスキルを思い出す。確か生き物や魔物、道具などに対してその内容を解析することの出来るスキルである。

 手始めに己の手に持った杖を解析してみた。脳裏に情報が流れ込んでくる。


「青竜魔杖 効果:身体能力向上(大) 魔力回復(大)だってさ」

「竜っ!?」


 シキの言葉に驚くアキ。


「貴重品だろうとは思ってたけど、まさか効果付きの竜アイテムとは……それ一本で都なら多分数千万ジェニンするさ」

「え? でもフユちゃん、この間これは売れないって」

「貴重すぎてこんな田舎じゃ誰もまともに買い取れない。買い叩かれるのがオチ」


 若いのに意外と鋭いフユの目利きが判明する。


「そういうことだったのね。じゃあ最悪間に合いそうになかったらこれ何とか売ってナツさん助けよ」


 フユとアキはお互いの顔を見合わせた。今更の事ながら惜しみなく貴重な装備をほぼ初対面レベルの相手のために手放す事を決めるところに驚くとともに二人は違う理由でも唖然としていた。


 身体能力向上の効能を持つ装備はそれなりに出回っている。効果が(小)でも高級品で小さな家を、(中)なら豪邸を買える。(大)など数があまりに少なく相場どころか都で出回れば王族や貴族しか手に入れられない金額となるのは間違いなかった。


 フユとアキはシキの物腰や常識の無さからきっとやんごとなき身分で決して平民ではないと思っていたが改めて「どこの御曹司だ、

この人……」と呆れる。


 そしてそれ以上に、身体能力向上(大)を携えたシキの能力に驚いたのであった。


「これ絶対手放しちゃ駄目さ」


 身体能力向上(大)はハンター初心者ならベテラン級に、ベテランなら達人級に身体能力を強化する効果がある。イメージ的にはそこらの中学生がオリンピック出場レベルになるようなものである。それにも関わらず、二人の感覚からすると超レアアイテムを持ってして一般人程度の身のこなしのシキに驚いたのであった。


「これ無いとシキさん死ぬ」

「えぇ!?」


 フユの言葉はアキも完全に同意であった。



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