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勇者はいってます。  作者: 夢見創
七章目 大騒ぎ、縦横無尽
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魔木

 ハク達は、船を隠し、瞻部州から北上を開始していた。

 今は深い森の中の道を、馬車でひたすら直進している。


「このまま北上すると、魔帝の都に着くんじゃないのか?」

 ハクが魔導棺桶車両を操りながら、馬車の中にいる呂尚に聞く。


「そこまでは行かないぜ。目的地は一番外周の尼民達羅山(じみんだつらせん)の手前にある寂れた祠だ、荒野にある祠だから魔帝の連中もいないはず」

 すでにここは魔帝が治める地であり、いつ魔帝の軍と遭遇してもおかしくない状況である。

「ここからは、そう遠くない位置だから、大丈夫・・・・って・・・くそ」


 突然、周りの木々が一斉に動き出し、進行方向の道を塞ぐ。


「ちっ・・・魔木(まぼく)かよ・・・」

 呂尚が険しい表情をしながら馬車から飛び出す。

 呂尚は、いつのまにか杖のようにも見える謎の道具を手に握っている。


 魔木、古い木が魔素によって変化し生まれた魔物である、動きは遅いが巨大で力も強い。

 異常に耐久力が高く、剣も通りにくいため、かなり厄介な魔物である。

 その数約三十体。


「海からの侵入者を待ち伏せしていたって感じか?魔木ならじっと何年でも待つことができるし、そういう役にはうってつけか」

 ハクたちも馬車から飛び降りる。


「火攻めすれば簡単に倒せるが、それをやると火事になるし目立ちすぎだな、普通に戦うとするかね」

 そういうとハクは魔導棺桶車両を、通常の棺桶に状態に戻し担ぎあげる。


 クロクロは精霊王達を呼び出し、自分の周りに配置する。

 アカネが斬血丸をすらりと抜き、舌なめずりをしている。

 クリスティナのレイピアは、すでに抜き放たれており魔力で光り輝いている。

 アオイはウォーミングアップをするように、ヌンチャクをビュンビュンと振り回している。

 ドランは巨大な槌を肩に載せてニヤニヤしている。

 ピエールさんは、いつもの様に両手に包丁を握っている。


 ミリとヴィオーラは危険なので馬車の奥に身を隠してもらっている。

 魔王はそこに防御結界をはり、防衛陣にする。


「さて行くか」


 最初にアカネとクリスティナが飛び出し、魔木を瞬時に真っ二つにする。

 だが魔木は痛みすら感じないのか、真っ二つにされていても動きが止まらず、猛然と二人へと攻撃をしかけてくる。

「面倒くさいわね」

「こいつら血が出ないキル、嫌いだキル」

 二人は仕方なく何度も斬りつけ、動かなくなるまで細切れにしていた。


「九頭流、九の技の三『崩打(ほうだ)』」

 アオイがヌンチャクを魔木に勢い良く叩きつける、ボンという音とともに、魔木は細かく粉砕され一撃で動かなくなる。

 気をヌンチャクに乗せて、魔木を中心から破壊したのだ。

 まいどながら人格はともかく、戦闘能力は高いアオイであった。


「どっせぇええい!」

 ドランが槌を振り回すと、槌のうしろが発光し急激に加速する。

 ドランの槌が叩きつけられた魔木は、あまりの威力にひしゃげながら吹き飛んで行く。

 ・・・考えないようにしよう。


 ハクは、いつものように魔木を棺桶の質量で力任せで殴りつけ、数体をまとめて粉砕していっている。


 ピエールさんは、常人には到底目視できない速度で包丁を振るい、魔木を瞬時に薪の束に変えていっている。

 いつものピエールさんですよね。


 クロクロは優雅にお茶を飲んでいた。

 火気厳禁のためエン以外の精霊王が術を駆使し魔木を倒している。

 役立たずになったエンは、馬車のそばで真っ白になっていた。


 魔王は魔木への攻撃には加わらず、ずっとミリとヴィオーラがいる馬車を守っていた。


 呂尚は、謎の道具で戦っていた。

 魔木が呂尚の道具にふれると、さほど力を加えられていないにもかかわらず、巨大な体が勢い良く空に打ち上げられ空中で粉砕される。

 力学ってなんだっけと思うくらい、現実味のないおかしな光景だった。

 ドランの造る武器もいい加減おかしいが、呂尚の道具もそれに負けないくらいのレベルである。


「なんだ?その変な道具?」

 棺桶を振り回し魔木を破壊しながら、ハクが呂尚に聞く。


「変って言うなし!これは打神鞭、師匠の元始天尊(げんしてんそん)から授かった二つの宝具の一つだよ」

 呂尚は打神鞭を振り回しながら、律儀に答える。


「ん?すごい宝なのぉ?」

 宝と聞いてアオイが戦闘中なのに食いつきてきた。

 ドランも聞き耳を立てている。


 こいつら余裕あるなぁ・・・





 そして数分後、魔木は全て動かなくなっていた。

魔木は薪になりました。

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