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勇者はいってます。  作者: 夢見創
七章目 大騒ぎ、縦横無尽
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死皇帝

 死禁城(しきんじょう)、周囲4キロメートルにも及ぶ巨大な城。万を数える者達がたった一人の主のために蠢く魔城。

 贅を尽くした装飾に彩られた城は絢爛豪華ではあったが、どことなく肌寒いような不気味さを漂わせる不思議な場所であった。



 その最奥、玉座の間。


 半身半獣の者、緊那羅王(きんならおう)が、主のおわす御簾(みす)の前に(かしず)いている。

死皇帝(しこうてい)様、龍王が・・・討たれました」

 御簾の奥にいる主に対し、美しい声でうやうやしく報告する。


「龍王が討たれたじゃと?あの龍王がどうやってじゃ?」

 主から問われ、緊那羅王が困惑している。


「どうしたのじゃ?早く申せ」


「・・・報告によれば・・・魚のように釣られ・・・ほとんど抵抗もできず・・・なぶり殺しになったと・・・」

 龍王は、前例のないほど不名誉な討たれ方をしている為、緊那羅王が言いよどみながら答える。


「くふっ・・・なんと・・・それは・・・」

 幼い声と共に主を隠す御簾がひらく。


 突然の事に、緊那羅王は驚き慌てながら床に平伏する。


 そこには、齢十ほどの幼く無邪気そうな少年が、豪奢な椅子の上であぐらをかき、緊那羅王を見据えていた。

 綺羅びやかな刺繍が施されてある長衣服を身につけており、頭には輝くような天冠をかぶっている。

 その子供のような見た目に反して、何者も圧倒するような絶大で恐ろしい気をその身から放っている。


 彼こそ死皇帝、その人である。

 一万年を超える時を生きる、この世の理から外れた者である。


「緊那羅王よ面をあげよ」

 死皇帝が口を開く。


「はっ」

 緊那羅王は、ほんの少し顔を上げる。けして主の顔は見ようとはしない。

 玉座の間には、まるで水の中のように息苦しく重く冷たい空気がながれている。


「我が眷属である龍王を討った者をこのままにしておいては、我が名に傷がつくよな?」


「・・・」

 緊那羅王は答えることが出来ない。

 背中に冷たい汗が、とめどなく流れているのが判る。


「緊那羅王よ、お主の配下と龍王配下の残党合わせて5万を率い、勇者を名乗る痴れ者共を狩れ」

「はっ!」

 緊那羅王は自らの出兵に驚くが、主の命に逆らうことは出来ない。


「存分に暴れ、龍王を討った者を倒してくるが良い」

 御簾が再び降ろされ、主の姿がまた見えなくなる。


「ははっ!一命に代えましても!」

 緊那羅王は、戸惑いつつも立ち上がり深々と一礼し、玉座の間から去っていった。




「うははははははははははは、龍王が魚のように釣られて死ぬとはな、くふっ・・・・くふふふ、笑いが止まらぬ」

 死皇帝は腹を抱えて笑っている。

 配下が討たれ死んだ事も、彼にとっては余興の一つにしか過ぎないのだ。


「今回はなかなか興が乗ったのう、次は軍相手にどう立ち回るかの?ほんに楽しみじゃ」

 死皇帝はそう言うと、上をふっと見上げる。


「ここまで来い勇者ども。我は永劫の時よりずっと待っておるのじゃ」

これで役者は大体揃いました。

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