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勇者はいってます。  作者: 夢見創
七章目 大騒ぎ、縦横無尽
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戦略会議

 峡谷に作られた陣の天幕では、魔王軍の四天王と人族の連合国軍の将軍達が、宰相クリミナスを中心に次の戦略について話し合いが持たれていた。

 今のところ峡谷の地の利と、バイラの敵位置把握能力のおかげで、近づく敵は谷の上に陣取っているゴウラとバイラ、そして人族の魔道士部隊が片端から蹴散らしている。

 その為、人的損耗は最小に抑えられている。

 だがこれは籠城戦と同じ状態であり、敵が攻めてこない限リは効果的な戦いにはならない、このままでは敵に対しては積極的に攻撃する手立てがないのである。


「やはり、軍を分け峡谷を迂回し敵の側面から攻勢を掛けるしかありませぬ」

「だが、それでは十日はかかる、その間は残る軍勢で奴らの攻勢を耐えきらねばならぬ」


 各国の将軍たちが意見を言うのだが、その度に反論などが生じ遅々として進まなかった。

 この戦争には魔王軍とクロノスロス皇国軍の他に、二十を超える人族の国が参加している。

 各国の思惑もあり、会議が迷走している。

 魔族と協力して戦えるか!とかいう馬鹿者までいる。


 クルガリオは、その光景を見ながら顎に手を当て呆れている。


「長いブーン」

「実にくだらない・・・」

「儂は眠くなってきたぞ、グルル」


 ゴウラは天幕に入れなかった為、天幕の上の窓からじっと見ていた。

 遅々と進まぬ会議に、少々苛立ちを覚えていた。


 そんな中、中央天幕の近くに黒い転送陣が出現し、中から魔王がじわりとあらわれる。

 クリミナスと四天王がすぐさま出迎える。


「魔王殿、良いところに来てくれましたな」

「ン?ナンジャ?」


 クリミナスが、今までの経緯を説明する。


 魔王は、峡谷の地図をチラリと見ると、数点の地点を指し示す。

「ココニ、トンネルヲ掘レバ良イノデハナイカ?バイラヨ、コノ峡谷ニトンネルヲ数本掘ルノニ、イカホドカカル?」

「これぐらいなら3日で十分ブーン」

「3日だと?」

 その場にいる者達が驚愕する。

 人の力だと魔法を駆使しても数ヶ月はかかる作業である。


「僕の部隊は地下に巣を造る奴も多いブーン、だからトンネル掘りには慣れてるんだブーン」

 ・・・虫だったねそういや。


「ザキラ、コノ峡谷ヲ迂回シテ、側面攻撃ノ準備ヲ整エルニハ?」

 長々とした会議で眠そうにしていたザキラが、首を魔王に向けながら答える。

「膿の部隊だけなら2日、グルルル、人族を乗せて走っても3日、ガルルル」


 魔王軍、色々と規格外だった。

 クリミナスは彼らが今敵ではない事に、内心ホッとしていた。


「では包囲殲滅戦をしかけましょう、ザキラ殿にはその機動力を生かして、わが国の兵とともに敵右側面からの突破をお願いできますかな?」

「グルル・・・それこそ儂の本領・・・ガルルル」

 クリミナスは、地図に進軍経路をすらすらと書き込んでいく。

 そしてバイラを近くに招き、トンネルを掘る経路を示す。

「ここを掘ればいいブーン?」

「騎馬が通れる程度のトンネルをお願いたします」

「わかったブーン」

 進撃ルートを把握したザキラとバイラは自分の配下に対し指示を飛ばす。


「各国の方は作戦向けての準備をお願いします、細かい作戦指示についてはのちほど」

 会議が決したため、各国の将軍たちは自分たちの陣地と戻っていった。


「敵ノ援軍ハドウスルノジャ?」

「敵の援軍ですか?援軍はすぐには出せないと思いますよ」

「オ主・・・何カヤッタノカ?」


「何のことでしょう」

 クリミナスはいたずら好きの子供のように笑った。


 作戦開始が5日後と決まり、会議が一段落したため、魔王は一旦ハク達のもとに戻ることとなった。

「ソウジャ、服ニツカウ軽ク柄ノヨイ布ガアッタラ、少々分ケテモライタイノジャガ」

「それは、よろしいのですが・・・それを、どうするのですか?」

 クリミナスが不思議そうに聞く。


「アァ・・・イヤ。個人的ニ使ウノジャガナ」

 魔王、ヴィオーラの服制作に、だいぶハマっているようである。


戦略に関しては、もう少し書けるのですが、本筋では無いので省いています。

話の都合上戦線が一本になってますしね。


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