ハク、お父さんになる
ハクは、頬に当たる生暖かいような、くすぐったいような感触で目を覚ました。
またヴィオーラがハクの頬を舐めているのだろうと、目をこすりながら起き上がる。
そして横を見て硬直する。
裸の幼女がいた。
「・・・ど・・・どこから入った!?」
クロクロに見つかったら殺される。クリスティナとかドランに見つかったら未来永劫からかわれる。
やばいやばいやばい・・・これはやばい・・・
そして思い出す、ここは船の上だ、周りは広い海である、陸からは数十キロ単位で離れている。どこからも侵入できないのだ。
密航?いや・・・出航前に全て調べたはずだ。
そもそも密航しようとしても、クロクロの探知能力で発見される。
幼女はキョトンとしながらハクを見ている。
この雰囲気どこかで見たような。
幼女はハクに裸のままピョンと抱きついてくる。
「お父さん!」
・・・え?お父さんってなに?ハクは大混乱している。
「ちょっとまって、君!」
ふと見ると、その幼女の首元には、見覚えのある首輪が付いていた。
「ん・・・んあ?ヴィオーラの首輪?」
幼女の薄紫の髪の上には、ピンとたった三角の耳があった。
そして、ちっちゃなお尻からはふさふさの尻尾が生えている。
そしてハクを見つめるキラキラの瞳の色は紫だった。
「お前・・・ヴィオーラか?」
「うん、ボク、ヴィオーラだよ!お父さん!」
ヴィオーラはハクに抱きつきながら満面の笑みを浮かた。
ヴィオーラはライカンスロープだった。
「何この子、超かわいい、え?ヴィオーラなの?うぉっほお、すべすべぷにぷにだぁ」
クリスティナがヴィオーラを抱きしめ、ほっぺでスリスリしている。
クロクロはヴィオーラの頭を撫でたいのか、ジリジリとにじり寄っている。
ヴィオーラには、裸のままでは不味いので、薄い毛布をすっぽりと被せてある。
それを見た魔王は、自分の服を荷物から取り出し、テキパキとなにやら作業していた。
「デキタ」
魔王が出来たものを持ち上げる、出来あがったものはスモック風のワンピースだった。
おっきなリボンが胸元についており、とても可愛らしい。
魔王のワンピースを上下に大胆に切りわけ、ぶかぶかになる部分を切り詰めて作ったものである。
魔王、裁縫できたんかい。
ミリがそのワンピースを受け取り、ヴィオーラに着せる。
ヴィオーラは服を着る事自体初めてなので、最初キョトンとしていたが。
ワンピースの裾が、ふわふわひらひらするのが楽しいらしく、今はぴょんぴょんと楽しそうに跳ねまわっている。
ワンピースの下から見えている尻尾が、ブンブンと嬉しそうに振られている。
船の上に、ほわほわした、なごみ空間が生まれていた。
「かわいぃい」
クリスティナがでれでれである。
「胸は・・・うん仲間」
アオイがなにか言っているが、幼女と比較してどうすんだ?
アカネは、ヴィオーラが勢い良く跳ね飛んで来るのを、ひょいひょいと避けて遊んであげている。
「一応訓練キル」
ニコニコしながら言っていた。
「なんで突然、ヴィオーラは人に変化したんだろな?」
ハクが楽しそうにしているヴィオーラを見ながら、ボソリと独り言をいう。
「首輪のせいじゃろうな」
ドランが言う・・・やっぱりお前か。
「クロクロがヴィオーラの魔力に気づいて、俺様にヴィオーラの首輪を作らせたんじゃ」
ハクがクロクロを見ると、クロクロは目を合わせないように、あさっての方向を見ていた。
「ヴィオーラの首輪には魔力を安定させる宝石を組み込んでるんじゃ。ちなみに宝石の提供もクロクロ」
クロクロがこの場から逃げ出そうとしていた。
「ぉい、クロクロ?」
「ええ、わらわが作らせたのですわ。ですが、こんな結果になるのは流石に予想外でしたわね。でも、あのまま魔力を放出されるとグロウを刺激しそうでしたので、仕方がなかったのですわ」
諦めたように、クロクロがハクの方を向く。目線は微妙に泳いでいる。
「そんなに強い魔力だったのか?」
「ダンジョンのボス並ですわね」
「ぉぉう・・・」
まさかのボス級である。
「最初は魔帝の刺客かと思いましたけど、魔力の質もおだやかで邪気や敵意のあるものでは無かったので、それは除外して良いとわらわは判断しましたわ」
魔力を見極めることに関してはクロクロは他に追従を許さない。その点は間違いは無いだろう。
「じゃあ、どうして俺達のところに来たんだろな」
「それは、わらわもわかりかねますわね」
「お父さん!」
ヴィオーラが満面の笑みを浮かべながら、勢い良くハクの胸に飛び込んできた。
その可愛い笑顔に、ハクはそんな事はどうでもいいかという気持ちになっていた。
わんわんお




