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勇者はいってます。  作者: 夢見創
七章目 大騒ぎ、縦横無尽
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ハク、お父さんになる

 ハクは、頬に当たる生暖かいような、くすぐったいような感触で目を覚ました。

 またヴィオーラがハクの頬を舐めているのだろうと、目をこすりながら起き上がる。


 そして横を見て硬直する。

 裸の幼女がいた。

「・・・ど・・・どこから入った!?」

 クロクロに見つかったら殺される。クリスティナとかドランに見つかったら未来永劫からかわれる。


 やばいやばいやばい・・・これはやばい・・・


 そして思い出す、ここは船の上だ、周りは広い海である、陸からは数十キロ単位で離れている。どこからも侵入できないのだ。

 密航?いや・・・出航前に全て調べたはずだ。

 そもそも密航しようとしても、クロクロの探知能力で発見される。


 幼女はキョトンとしながらハクを見ている。

 この雰囲気どこかで見たような。


 幼女はハクに裸のままピョンと抱きついてくる。

「お父さん!」

 ・・・え?お父さんってなに?ハクは大混乱している。

「ちょっとまって、君!」

 ふと見ると、その幼女の首元には、見覚えのある首輪が付いていた。

「ん・・・んあ?ヴィオーラの首輪?」


 幼女の薄紫の髪の上には、ピンとたった三角の耳があった。

 そして、ちっちゃなお尻からはふさふさの尻尾が生えている。

 そしてハクを見つめるキラキラの瞳の色は紫だった。


「お前・・・ヴィオーラか?」

「うん、ボク、ヴィオーラだよ!お父さん!」

 ヴィオーラはハクに抱きつきながら満面の笑みを浮かた。


 ヴィオーラはライカンスロープだった。


「何この子、超かわいい、え?ヴィオーラなの?うぉっほお、すべすべぷにぷにだぁ」

 クリスティナがヴィオーラを抱きしめ、ほっぺでスリスリしている。

 クロクロはヴィオーラの頭を撫でたいのか、ジリジリとにじり寄っている。


 ヴィオーラには、裸のままでは不味いので、薄い毛布をすっぽりと被せてある。

 それを見た魔王は、自分の服を荷物から取り出し、テキパキとなにやら作業していた。

「デキタ」

 魔王が出来たものを持ち上げる、出来あがったものはスモック風のワンピースだった。

 おっきなリボンが胸元についており、とても可愛らしい。

 魔王のワンピースを上下に大胆に切りわけ、ぶかぶかになる部分を切り詰めて作ったものである。


 魔王、裁縫できたんかい。


 ミリがそのワンピースを受け取り、ヴィオーラに着せる。


挿絵(By みてみん)


 ヴィオーラは服を着る事自体初めてなので、最初キョトンとしていたが。

 ワンピースの裾が、ふわふわひらひらするのが楽しいらしく、今はぴょんぴょんと楽しそうに跳ねまわっている。

 ワンピースの下から見えている尻尾が、ブンブンと嬉しそうに振られている。


 船の上に、ほわほわした、なごみ空間が生まれていた。

「かわいぃい」

 クリスティナがでれでれである。


「胸は・・・うん仲間」

 アオイがなにか言っているが、幼女と比較してどうすんだ?


 アカネは、ヴィオーラが勢い良く跳ね飛んで来るのを、ひょいひょいと避けて遊んであげている。

「一応訓練キル」

 ニコニコしながら言っていた。




「なんで突然、ヴィオーラは人に変化したんだろな?」

 ハクが楽しそうにしているヴィオーラを見ながら、ボソリと独り言をいう。


「首輪のせいじゃろうな」

 ドランが言う・・・やっぱりお前か。


「クロクロがヴィオーラの魔力に気づいて、俺様にヴィオーラの首輪を作らせたんじゃ」

 ハクがクロクロを見ると、クロクロは目を合わせないように、あさっての方向を見ていた。


「ヴィオーラの首輪には魔力を安定させる宝石を組み込んでるんじゃ。ちなみに宝石の提供もクロクロ」

 クロクロがこの場から逃げ出そうとしていた。


「ぉい、クロクロ?」

「ええ、わらわが作らせたのですわ。ですが、こんな結果になるのは流石に予想外でしたわね。でも、あのまま魔力を放出されるとグロウを刺激しそうでしたので、仕方がなかったのですわ」

 諦めたように、クロクロがハクの方を向く。目線は微妙に泳いでいる。


「そんなに強い魔力だったのか?」

「ダンジョンのボス並ですわね」

「ぉぉう・・・」

 まさかのボス級である。


「最初は魔帝の刺客かと思いましたけど、魔力の質もおだやかで邪気や敵意のあるものでは無かったので、それは除外して良いとわらわは判断しましたわ」

 魔力を見極めることに関してはクロクロは他に追従を許さない。その点は間違いは無いだろう。


「じゃあ、どうして俺達のところに来たんだろな」

「それは、わらわもわかりかねますわね」


「お父さん!」

 ヴィオーラが満面の笑みを浮かべながら、勢い良くハクの胸に飛び込んできた。

 その可愛い笑顔に、ハクはそんな事はどうでもいいかという気持ちになっていた。

わんわんお

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