アカネと勇者の呪い
ハクとクロクロそして呂尚はキャビンに集まっていた。
「呂尚、それでアカネと勇者の呪いは解けるのか?」
ハクが呂尚に問う。
「アカネちゃんのほうは、オレが知っている場所に行って儀式をすれば解けるぜ」
呂尚は飄々と答える。
「本当か!嘘を言っていたらこの場でシメルぞ!」
ハクが呂尚を首根っこをつかむ。
「まてまて、お前にシメられたら、オレのようにか弱い男は確実に死ねるわ!」
三百六十五柱もの神を『封』じた奴が、か弱いとか・・・
「アカネちゃんの呪いは魔帝の呪いだろ?魔帝の呪いなら前にも解いたことがある」
ハクは呂尚の首から手をはなし、肩の荷が下りたような笑みを浮かべる。
「よかった」
「勇者の呪いの方はどうですの?」
クロクロが呂尚ににじり寄る。
「クローディア様、ちょっとその眼帯を触ってもいいかい?」
呂尚が不思議なことを聞く、クロクロは驚くようにしながらも頷く。
呂尚がクロクロの左目の眼帯を触ると、眼帯がほんのり光り始める。
「っ・・・」
クロクロの顔が少し赤らめている。
「左目に聖女の力を貯め続けたのか・・・無茶をするねぇ」
呂尚が険しい目をしている。
「そんなことまで分かりますの?」
「一応専門家だからね・・・この貯めこんだ力で聖女の奇跡を使おうとしてたのかい?だとすると呪いを解くのには、まだ力が足りないね」
「やはり、そうなのですね」
クロクロが目を伏せ落胆した表情をする。
「勇者の呪いは神代の呪いだ、生半可な力で解呪しようとしても弾かれ無効化される」
呂尚は手でを広げ弾けるようなジェスチャーをする。
「クローディア様が聖女の力を貯めていたのは正解だが、これ以上力をため続けるのは危険だな。必要な力が貯まる前にクローディア様が力に耐え切れず暴発する。今でもぎりぎり制御している状態じゃないか?」
見ぬかれたのか、クロクロが目をそらす。
「力が足りないなら、足してやればいい」
呂尚は胸元から神鎧のメダルを出す。
「このメダルに封じられている神鎧は、神の力が宿っている。それは君の聖女の力と同質の力だ」
メダルをコロコロと転がしながら、呂尚は話を続ける。
「このメダルは、世界に十二枚存在する。こいつを全部集めれば足りない力が補える。勇者の復活の際に、クローディア様の貯めこんだ力と十二機の神鎧の力があれば解呪できる・・・はず」
呂尚は少し言い淀む。これでも確実とは言えないのだろう。
「だが・・・このメダルを集めるのも難問なんだよなぁ・・・聖女をもう一人とかいうよりは現実的なんだが」
呂尚が渋い顔をする。
クロクロがアルテミスのメダルを懐から出す。
ハクもアポローンのメダルを出す。
「呂尚のポセイドーンとグロウのゼウスを合わせると、この場に十枚のメダルがありますわね」
「よく考えると、ピエールさん以外全員メダル持ちだよな?」
「ドラン親方のヘーパイストスはこの船を改造中に見てたが、ミリちゃんとかマオちゃんも持ってんのか?」
ハクとクロクロが頷く。
「まじかー」
呂尚は目が点になっていた。
「足りないのは、デーメーテールとヘルメースだけだと?ご都合主義のような展開にこっちが驚くわ!」
呂尚が頭を抱えている。
一騎で国を滅ぼせるような代物が、この場に十枚も揃っているのだ。無理もない。
「んじゃまぁ・・・話は早い・・・な、ヘルメースはオレにアテがある。今からそこに向かうが、いいな?」
「こっちは願ったり叶ったりだ、反対する理由がない」
「わらわもそうですわ」
ハクとクロクロは逡巡する事無く答える。
「でもいいのか、呂尚。着いてきてもらっても?俺達は結構危ない立ち位置になってるんだが」
「オレがいないと解呪の儀式は出来ないし、今のところ何処に行くって目的も無いしな。だいたい勢いで龍王を一緒に倒しちまったし、危ない立場は一緒だ。お前たちにくっついていたほうが、まだ安全だぜ」
呂尚は、頭をポリポリと掻きながら言う。
「あぁそうだ、ハク。これから行く場所でアカネちゃんの解呪もできるぜ」
「ほ・・・本当か!」
ハクの顔がぱっと明るくなる。
「ただちょっと厄介なのがいるから、そいつの対処はお前たちにまかせるぞ?」
「アカネとグロウの呪いを解くためなら、なんでもやる。まかせろ」
「おまかせなさいですわ」
ハクとクロクロの瞳は決意に満ち溢れていた。いわゆる燃えていた。
「おーけーおーけー、それじゃ善は急げだ、さっさと準備して出航するぜ」
ハク達と呂尚はすぐさま出航の準備にとりかかった。
次から新章。
ついでに可愛いのも出ます。




