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勇者はいってます。  作者: 夢見創
六章目 海原を越えていけ
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太公望

「釣りとしては激しく手順がおかしいが、こちらからの依頼は完遂・・・だな・・・うーん」

 ポセイドーンによって甲板に引き上げられた龍王を背景に、呂尚が少し遠い目になっていた。


 元凶のアオイとクリスティナは互いにサムズ・アップしていた。


 ドランは龍王の立派な角をペタペタさわっている。

 あとピエールさん、龍王をサクサク解体してるんじゃありません。

「龍の血と肉は、滋養強壮にいいのデース」

 はい、そうですか。




「それで『太公望』だったな?」

 ぴくっとハクとクロクロが反応する。


「『太公望』ってのは、崑崙山の闡教(せんきょう)の道士の一人だった姜子牙と言う人物だ」

 呂尚が語り出す。

「仙術を用い封神(ほうしん)の儀式を生業としていたらしい。神獣『四不像(シフゾウ)』に乗り、手には『打神鞭(だしんべん)』という宝貝(パオペイ)を持ち、三百六十五柱の神を『(ほう)』じたと言われている」

 ハクとクロクロは息を殺し、静かに聞いている。

「『太公望』が呪いに詳しいのは、『(ほう)』じる神の力に対抗するために、必死で術を編み出したからと言われている。彼自身はそんなに強いわけじゃなかったらしいしな」


「さっきから言われているとか、らしいという曖昧な言葉が多いな」

 ハクが呂尚の話に疑念をいだく。


「そりゃぁ千年以上前の伝説だからね」

 呂尚は手を広げ、おどけたように言う。


「千年以上前?伝説?」

 ハクとクロクロが驚いた顔をする。


「そうだ、伝説だ。だからこの話は嘘か本当か分からない、証明は出来ない」


「じゃあもう、『太公望』この世にはいないという事か?」

 流石に人は千年以上は生きられない、ハクが絶望したような声をあげる。


「いや生きてるぞ?そもそも彼は道士なんだ、不老不死と言われる仙人の一人なんだよ」

 呂尚はにやりと笑う。


「生きてるいるというならば、何処に行けば彼に会えますの?」

 クロクロが呂尚ににじり寄る。ジト目の迫力が怖い。


「ん?・・・ココにいるじゃないか。姓は姜、氏は呂、字は子牙、諱は尚。姜子牙こと呂尚。『太公望』とはオレの事だ!」

 呂尚はダダーンと京劇のようなポーズをとり、自分に指をさしながら言った。

 物凄くドヤ顔だった。


「やっぱりか」

「ですわよね」

「そうじゃろなぁ」

「だよねぇ」

「かな」

「・・・」

「キルキルキル」

「今日の夕食はなにかしら」

「香草焼きもいいデース」


 誰も驚かない。

 ついでに途中から話題がズレている。


「えぇえええ、なんでぇえええ?」

 呂尚が皆の反応の薄さに困惑している。

 しかもかっこつけのポーズまでやったのだ、気恥ずかしさで精神的ダメージがゴリゴリとはいる。


「だってお前、放浪の釣り師というわりには式神を使うとか色々能力高すぎるし」

「神鎧も持っていますしね、普通の人とは思いませんわね」

「俺様は楽しんだからいいけどな」




 呂尚は甲板に手をつき落ち込んだ。

「くそぅ・・・サプライズ狙ったのに・・・」


 呂尚が落ち込んでいる間に、釣り上げられた龍王は、ドランとピエールさんによって、元の形も判らないくらいにバラバラに解体されていた。

 ドランは角、骨、鱗を黙々と調べている。時々ニヤニヤ笑っているのが恐ろしい。

 ピエールさんは、肉や内臓を部位別に切り分けながら、色々やっている・・・色々・・・うん・・・色々・・・

まぁね・・・バレバレですよね

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