怒らせたらダメな人達
魔王は、檻に設置されたレバーを混乱しながらも倒す。
「イヤ!イヤ!イヤー!」
魔王、必死である、何回も何回もガチャガチャと倒している。キャラすらも崩壊している。
檻の中の筒から固定アンカーが何本も射出され、龍の口内に深く突き刺さる。
『おぐぁあ!』
激痛だったのか、一瞬、龍の檻を咥える力が弱まる。
その一瞬の隙を見て、魔王は引●天功ばりに檻から脱出した。
というか、相当いっぱいいっぱいだったのか、緊急脱出装置をつかわず、檻の扉を蹴破り脱出しましたよ、この魔王。
たしかにあの脱出装置使うほうが、危なそうではあったが。
空中にくるくると飛び出した魔王は、高速飛翔の魔法を瞬時に展開し、外輪船の方にかっ飛んで戻って来た。
勢いがつきすぎていたため急には止まれず、ハクとピエールさんがガッチリと受け止める。
『美少女がぁ、にげたぁあああ』
よほど怖かったのか、魔王の顔は蒼白で、肩でハァハァと息をしている。
それをクロクロがなだめている。
『お主ら、我が天龍八部衆の一人、龍王と知っていての狼藉かぁ!』
アンカーによって固定された檻を咥えながら、器用に喋っている。
・・・この変態、魔帝の一味だったのかよ。
『だが、その美少女を置いて行くというなら許してやる』
龍王にとっては、狼藉より美少女優先らしい。
さすが龍だ。
魔王は涙目でブンブンと首を振っている。
みょうに可愛い。
『その表情・・・萌えぇええええ!』
萌えぇえええって。
天龍八部衆という威厳が、地の底・・・いや海底の底にまで落ちていく。
もしかして、あまりにも変態すぎるから、こんな辺境に左遷されたんじゃないのか?
『よく見ると、黒髪の娘や、そっちの赤髪の娘、ちっちゃなオレンジの髪の娘も、なかなかの美少女ではないか、これは大漁じゃ、うっほほほほははは』
アオイとクリスティナは見事にスルーされた。
二人の額に青筋が浮かび上がる。
「殺ろうかぁ」
「殺りましょうね」
二人は暗いオーラを放ちながら、船の後部にある銛が装着された、ドラン製謎装備に取り付く。
そして龍をターゲットし、ためらいもなく流れるように銛を発射した。
「「往生せいやぁああああああああ」」
閃光のように2本の銛が発射され、龍の硬い鱗すら物ともせずぶち抜き、龍の土手っ腹に深く刺さる。
龍王はあまりの衝撃に大きくのけぞる。
この威力・・・やはり魔導電磁レールガンの応用品だったようだ。
『ぐぉおおおおおおおお、な、なんじゃこりゃぁあああ』
腹部を抉られ、形勢不利と感じたのか龍王がのたうちながら、海中に逃げ込もうとする。
あれ?魔導電磁レールガンと同じ構造なら、アオイは発射できないんじゃね?
「気合」
そうかぁ、気合かぁって・・・まてやぁああああああああああああああ!
しかもしれっと第四の壁まで破壊しやがったぞこいつ。
二人が発射した銛には、丈夫な鎖が繋がっていた。
そしてその鎖の根本は、やはりドラン製の樽のような謎装置に接続されている。
やたらドラン製の謎装置が多いな、この船。
その謎装置にはレバーがついており『龍に銛が刺さったら、このレバーを引け』という説明が、茶目っ気のあるイラスト付きで書いてある。
こんなところに茶目っ気はいらない。
アオイとクリスティナは躊躇なくレバーを引いた。
バチバチッという音とともに、謎装置から電極がとびだし、銛と繋がっている鎖に接触、鎖を伝いながら高電圧、大電流の電撃が龍王へと流れ込んだ。
『あがっがっっっっっっっっがっっっがが』
逃げようとした龍王が、電流のスパークを放ちながら再び海の上に顔を出す。
体内に直接大電流を流されたのだ、龍王とはいえ耐えられる物ではない。
樽の正体は魔導蓄電池であった。・・・もうね。
『き・・・貴様らぁああ・・・』
龍王は怒り心頭だった。
だが、アオイとクリスティナはもっと容赦がなかった。
魔導蓄電池のレバーをしっかり握り、冷めた目で龍王を見ていた。
『あ、やめて、おねがい、あがぁがぁああああがぁあ』
龍王の体に連続で紫電が走り、その度に龍王は海面をのたちまわっていた。
ガクブル




