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勇者はいってます。  作者: 夢見創
六章目 海原を越えていけ
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釣り船?改造中

 魔王はホテルのベッドの上でぐったりとしていた。

 もう二週間近く、隙を見ては帝都や砦へと行ったり来たりを繰り返している。


 魔力は底なしなので大丈夫だが、精神的に疲労が溜まっている。


 そこにクロクロが珍しくやってくる。

「マオさん、お疲れのようですわね?」

「イ・・・イエ、クロクロ様」

 ベッドから体を起こそうとするが、クロクロに「そのまま寝ていなさいな」と止められる。


 クロクロは光の精霊王メイを呼び出し、魔王に回復魔法を掛けさせる。

 美少女に回復魔法を使えるためか、メイは妙に張り切っている。「うっほう!」とか言ってるし。

 まぁ・・・いつもはドランとかだしねぇ、しかも何故か効きが悪いし。


 暖かな光によって魔王の疲れが大分軽減される。

「ア・・・アリガトウゴザイマス、クロクロ様」


 魔王が光の魔法で回復するのもどうかと思うのだが。


「これくらいはいいのですのよ、貴方には負担をかけていますし」

 クロクロは魔王の回復を確認すると、すーっと部屋から出て行った。

 魔王に回復魔法を掛けるだけのために来てくれたようだ。

 魔王の事を気にかけてくれているようだ。

 クロクロが出て行くと、糸が切れるように魔王は深い眠りへと落ちていった。




「お兄さま方も、彼女を酷使しすぎですわね」

 クロクロは魔王がいる部屋の扉を見ながら、独り言を言った。




 最近ピエールさんは、洞窟の外で釣れる磯魚や貝の料理に凝っていた。

 洞窟内にいつの間にか石窯オーブンまでこしらえている。

 食事前になると、そこから香ばしい匂いが漂ってくるのだ。

 クリスティナなんか、子犬と一緒に毎回のように吸い寄せられている。


「鯛の塩包み焼きデース」

 皿の上には真っ白の塩に包まれた物が出てきた。

 それをパキンと砕くと中から、ふっくらと蒸しあがった魚が出て来る。

 皮は流石にしょっぱいが、肉は厚い塩により旨味が逃げずに封じ込められており、とても味わい深かった。

「貝のピッツァも美味しいデース」

 丸い生地に、ムール貝やアサリなどがてんこ盛りに乗せらており、それにホワイトソースがたっぷりとかけられている。

 出来たばかりなので、熱々のホクホクである。

 皆、むしゃぶりつくように食べていた。

 「うめぇうめぇ」呂尚もピエールさんの料理の虜になっていた。




 ハクは、ずっと操船のことを調べていた。

 文献を読みあさり、実際に触ったりしながら効率的に覚えている。

 もともとハクは、こういう事を覚えるのは得意なのでさほど問題はない。


 ただ理解し、船が完成に近づくにつれ、既存の船との相違が発生しているのに気づく。


「ドラン・・・またやらかしたな・・・」


 まだ完成はしていないが、外装は最初に見た時とは見違えるほど綺麗になっている。

 船首など重要な部分には鉄板を貼って補強しているようだ。

 ギャレーはピエールさんの意向を受けて作られたためか、やたらと高機能のキッチンになっていた。

 やぎや豚、鶏などの柵も作られている。

 原型のガレオン船と同じように、数ヶ月位の航海にも耐える構造になっていた。


 ここまではいい、問題はここからだ。


 マストは大きく形状が変わっており、根本に怪しげなギミックがある。

 船首水線下の前方には竜の爪で作られた凶悪な衝角が設置されている。

 砲台は全て取り外されており、全て鋳潰されていた。

 砲台が無くなり使用目的のない砲門部分は、窓として使う物以外は全て閉じられている。

 船首と船尾には、鋳潰された砲台で作ったとみられる、謎の装備が2門づつ、合計4門付いている。どんなものなのか想像するのも怖い。

 一応取り外せるようになっているようだが、何故か棺桶が船首楼の床に埋まっていた。

 船の左右の側面には怪しげな太い棒が一本づつ出ている。その棒の根本を探ってみると、数々の歯車が連動しており、最終的に棺桶の駆動装置に直結されていた。

 洞窟の奥で水車のような巨大な物が作られていたが、あれをどうするのやら・・・


 というか・・・船の形状ごと違うものになっている。

 元がガレオン船には到底見えない。なんだこれ。


 舵輪の他に、何故か見覚えのあるレバーがある。

 棺桶についている物と同じアダマンタイトのレバーだ。


 ハクは頭痛がしてきた。

予想通り・・・

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