オシオキ
魔王は多忙を極めていた。
ハク達の隙を見ながら、帝都を往復している。
「ナンデ我ガコンナ苦労ヲ・・・」
げんなりしながら、目の前にいる、クルガリオとクリミナスに愚痴を言う。
彼ら二人は、どこかへ向かうのか立派な礼服を着ている。
「すまねえな魔王」
クルガオリオがすまなそうに頭を掻いている。
クリミナスの方は表情は変わらないが、うやうやしく礼をする。
「それでは魔王殿、お願い致します」
魔王は転移魔法を展開する。
いつも使う個人用の魔法ではない。
砂漠の神殿で見た複数人数を同時に転送する転移魔法である。
「ソレデハ行クゾ」
三人は光に包まれつぎつぎに消えていく。
目の前には、赤い山があった。
巨大な赤竜、竜王ゴウラである。
彼は、まどろみの中にいるようだった。
魔王はおもむろに魔法陣を展開する。
「起キロ、ゴウラ」
そして魔法発動する、無数の火の雨がゴウラに向かって降ってくる。
「あぅがっぁあああがああああああああああ、あっちぃあちいぃい、敵襲?敵襲かぁああああああああああああ!?」
ゴウラは体中から、もうもうと煙を上げながら飛び起き、キョロキョロと辺りを見回す。
「久シイノ、ゴウラヨ」
魔王がゴウラに声をかける。
「ま・・・魔王た・・・魔王様!?」
お前、魔王たんと言いそうになっただろ。
「いつお戻りに!?」
「オ主ラコソ、何ヲヤッテオルノジャ?」
「我らは、魔王様を魔帝の手から取り戻すために・・・って・・・ん?」
取り戻すべき魔王は目の前にいた。
巨大な赤竜は首を傾げた。
四天王は全員、正座をさせられていた。
人間型のマキラはともかく、人外の他の三人は奇妙な感じになっている。
魔王は頭を抱えている。
「オ主ラハ、我ガ魔帝ニ捕マッタト思ッテイタノカ」
「そ・・・そうですブーン」
「魔王様を連れ去ることが出来るのは魔帝くらいですので・・・」
「一刻も早く・・・助け出そうと、グルルル」
「ソレデ、魔軍ヲ動カシ、魔帝ニ喧嘩ヲ売ッタト」
全員が頷く。
「オシオキ・・・」
電撃が四天王全員の体を容赦なく貫く。
普通の魔物なら消し炭になる威力だ。
「魔王様のおしおきぃいい」
「ぁああああ、これもいい」
「ぶっぶーーーーーーーん」
「くぅううんくぅうううん」
電撃の嵐にのたうちながら・・・喜んでないか?こいつら。
「それで・・・魔王さま・・・ハァハァ、後ろの二人の人間は何者ですか?」
ビクンビクンと体を痙攣させながら、マキラが聞いてくる。
顔を赤らめんな、ダンディ親父。
「クロノクロス皇国ノ使者、クルガリオ将軍とクリミナス宰相ジャ、オ主ラト同盟ヲ組ミニ来タ」
「人と同盟ですと?ハァハァ」
「聞いたこともないブッブーン」
「人と我らは相容れぬくぅうんくぅうん」
変態どものせいで、いろいろ台無しである。
「魔王殿、私が事情を話そう。四天王の皆様方、私はクリミナス・クロノクロス、クロノクロス帝国の第一皇子にして宰相を勤める者」
魔王の前に進み出たクリミナス宰相が、うやうやしく礼をし口を開く。
「単刀直入に申します。魔帝が、全ての国に対し宣戦を布告。そして人も魔族も等しく滅ぼすと宣言しました」
「なんじゃと?」
痺れから復活したゴウラが、険しい顔をする。
「人と魔族のわだかまりを捨てろとは言わない。今回のみで良い、力を貸してくれないか?」
クリミナスは深く頭を下げた。
並行で話が進みます。
しかし魔王様が大変すぎる。




