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勇者はいってます。  作者: 夢見創
六章目 海原を越えていけ
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親方!

 ピエールさんの作った朝食を食べながら。呂尚とハク達は話をしていた。

 しきりに呂尚が「うめぇうめぇ」と言っている。

 街があの調子だと、まともな飯にありつけていないのかもしれない。


「この船は、龍に潰されたこの国の船を、オレが修復したもんだ」

 竜骨が無事だった軍のガレオン船をベースに、他の船のパーツを移植して建造したらしい。

 二個一どころが五個一くらいのパーツを使ってるから、ツギハギ感がある。

「この船を、一人で修復じゃと?」

 ドランが船を見上げる。

「この船の規模だと、百人くらいの職人が必要じゃぞ?」

 ドランなら一人でも出来そうだけどな。


「あぁ、オレはちょっとした特技があってだな」

 そういうと呂尚は懐から紙の束をとりだし、空中にばらまいた。

 すると、その紙一枚一枚が、1メートルから2メートル前後の大小様々なサイズの魔物に変化する。

 その数はゆうに100匹を超えている。

 武器は持っていないようだが、個々の保有魔力も高く、とにかく数が多い


 ハク達全員が武器を持ち身構える。


「まてまて、襲わないから安心しろ」

 呂尚が皆を止める。


「こいつらはグレムリンか?」

 ハクが呂尚に聞く。


「んーどっちかといえば、そっちでいう使い魔かゴーレムに近いな。オレの生まれ故郷では式神と言っていた」

 呂尚は、近くに寄ってきた式神の額をツンツンとつつく。

 よく見ると、式神の額にはさっき投げた紙がくっついている。

「その辺にいる雑霊を、この符に定着させることで造ることが出来るんだ」

 どちらかというとネクロマンシーに近くないか?

「そして、こいつらはオレの命令で動かせるんだ、複雑は事はできないが、単純作業や力作業は十分に任せられる」

 呂尚が相当な実力者である事はハクも予想はしていた。

 なんせ全世界を一人で渡り歩いているのだ。あらゆる事に対処できる能力がなければそんなことは出来ない。


「なるほど、いまいち雑な仕上がりなのはそのせいかの」

 ドランが苦笑いをする。


「んー?ドワーフのおっちゃん、船に詳しいのか?」

 呂尚は、さっきからうるさいドランを見る。


「俺様は、刀剣から建造物、船に至るまで何でも作れるぞい」

 ドランは腕を組みフンと胸を張る。


「その切り傷だらけの顔・・・もしかして魔改鍛冶ドランかい?」

「そうじゃ、俺様こそ世界一の鍛冶職人ドランじゃ。俺様にまかせれば、龍ごときに潰される心配の無い船に仕上げてやるぞい!」

 ドランが腕まくりをする。

 呂尚が目をキラキラさせている。ドランの実態をまだ知らないようだ。

「すっげえぇええ!ドランさん!いやドランの親方!よろしく頼みますぜ!」

 その言葉を聞いて、ハク達は一斉に目をそらした。



 ドランとハク達は、呂尚のガレオン船の中を見て回っていた。

 急造で造られたため、素人目にもあっちこっちに粗がある。

 ちゃんと浮いてはいるのだが、なんとなく不安がある。


 ドランを見ると、図面を見ながら少々難しい顔をしている。

「改修と改造で合わせて一ヶ月じゃな、このまま海に出たらそのまま沈みかねんぞ?」

 ドランが側壁や床を叩くと床がギシギシと嫌な音を立てる。

「一ヶ月か・・・長いな、呂尚、お前本当に『太公望』を知ってるんだろうな?」

「オレは嘘はつかねえ、龍を釣り上げたらちゃんと教えてやるよ。なんだったら会わせてやってもいい」


 呂尚の手伝いを断り先に進んだとしても『太公望』についての情報が手に入るとは限らない。

 胡散臭い男だが、ハクは呂尚を信じるしかない。


「それで俺達に手伝ってほしいことってなんだ?」

 ハクは手伝いの件を切り出す。

「この船の乗組員だな。式神は単純作業はできるけど、個々に状況を判断できないから、臨機応変に対応できないんだよ」

「俺達は素人だが、それいいのか?」

「最初はこの街の漁師に頼もうかと思ったんだが、龍にビビって乗船してくれねえんだ。その点あんたらなら龍相手でもビビりそうにないしな。どうせ、すぐ近くの沖に龍はいるんだし、すこーし操船のことを学んでくれれば大丈夫だぜ」

 本当に大丈夫なのか?


「うっし・・・大体把握した。作業をはじめるぞい。呂尚!式神を連れて来い」

「あいよ!ドランの親方!」

 図面になにやら怪しげな物を付け加えながら、ドランが船の改修作業を始めた。


 ハク達は・・・きっと碌でもないものになるんだろなぁと、半ば諦めていた。

またドランが・・・

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