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勇者はいってます。  作者: 夢見創
六章目 海原を越えていけ
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宣戦布告

 魔王は転移魔法で、クロノクロスの帝都へと来ていた。

 時差のためバラスよりも深夜になっている。


 実は、旅の途中で魔王は隙を見て数回ラスクと帝都に転移している。

 そして黄金髑髏として活動をしていた。

 最初は港街ラスクと帝都で黄金髑髏として派手に活動することにより、マオ≠黄金髑髏のアリバイを作るのが目的であった。

 おかげで、ラスクだけでなく帝都でも怪人黄金髑髏の噂が広がっていた。


 魔王は屋根を走り、いろんな場所で耳をたて、貴族や住人の会話を聞いていた。

 今回は、いつもの自主的治安活動が目的ではなかった。


 魔王軍の情報を集めていたのだ。


 なぜ四天王が、魔帝に戦いを仕掛けたのか、魔王には理由がわからなかった。

 魔王の国で情報を集める方が確実だが、魔物の中には魔王の魔力を感じとれる者もいるので、あの場所では隠密状態ではうごけないのだ。

 クロノクロス帝国ならば、人間の国としては力があり、魔王軍の動向も噂として流れている可能性があった。

 実際、魔王軍と魔帝軍が戦闘を行ったことは噂として流れていた。

 ただ、いささか噂がながれ広がるのが早過ぎる気がしている。

 誰かが噂を意図的に流している、そう思えてならない。


 そして屋根づたいに風のように走り、クロノクロスの宮殿の城壁にまで到達する。

 途中で何回か足を踏み外して下に落ちていたが、いつものことなので気にしない。


「サテ・・・宮殿ニ入ッテ情報ヲ手イレルベキカ悩ムナ」

 さすがに魔王といえども、警戒の厳しい宮殿に侵入するのはリスクが大きかった。

 というか魔王の中は天然ドジっッ娘である。絶対になにかをやってしまうのは確実である。


 そう思いながら、宮殿の中を高所から眺めていると、宮殿の中は深夜であるのに、文官、兵士問わず慌ただしく活動をしているのが見て取れた。

 外から武器や物資が次々と運びこまれ、整理されている。

 他国の人間も出入りしているようである。

 戦争か何かを始めようとしてるように見えた。

「ナニガオコッテルノジャ?」


 魔王は宮殿には侵入はできないと諦め、路地裏へと飛び降りた所で、後ろから何者かに突然呼び止められた。

「よう、黄金髑髏」

 後ろを振り返ると、見知った偉丈夫がいた。

 偉丈夫はクルガリオ・クロノクロス。

 この国の将軍であり第ニ皇子である。

 以前ヘーラーのメダルのあった、ラクス近くのダンジョンで、あくまでもマオとしてだが魔王とは顔見知りとなっていた。

 こんな所でこの国の重鎮と遭遇してしまうとは、すでに魔王のドジっ娘モードが発動しているようだ。


「それとも、魔王といった方がいいか?」

 クルガリオは武器を構えるでもなく、獰猛な獣を思わせるいかつい顔なのに、穏やかな表情で魔王を見ていた。

 クリガリオは魔王と敵対する気は無いようである。


 魔王の方は、どんな状況にも対処できるように、杖を構えながらクルガリオを見据えている。

「・・・賢者ニ聞イタノカ?」

 黄金髑髏=魔王であることを知っている人間は賢者であるハクしかいない。


「ハクは黄金髑髏は魔王だが、無害だからほっといてもいいとか、おかしな事を言ってたな」

 クルガリオはおどけたように言う。


「アヤツメ・・・正確ニハ、我ハ元魔王ジャ・・・ソレデ貴様ハ誰ジャ」

 魔王はクルガリオの事を知っていたが、あえて知らないふりをする。

 流石にマオとばれる訳にはいかない。


「そんなに身構えるなよ、俺はこの国の将軍でもある第二王子クルガリオ・クロノクロスだ。ちょっとした頼みがあってお前を探していたんだ」


「人間族ノ皇族ガ、我ニ頼ゴトジャト?」

 魔王は警戒を解かない。


「ああそうだ、クロノクロス帝国を中心とした連合国軍と、魔王軍との同盟を取り持って欲しいんだ」


「ハ?同盟ジャト?」


 魔王は驚きで一瞬固まった。

 どこがちょっとした頼みごとだ。

 魔族と人は悠久の昔から相容れぬ者である。

 魔物は人を見たら殺すし、人は魔物を見たら殺す。そういう間柄である。

 人に率先して危害を加えようとしない魔王が異端なのだ。それは魔王も自覚している。


「昨日、魔帝が全世界に対し宣戦布告をした。そして人、魔族関係なく全てを滅ぼすと宣言しやがった。やつは人と魔族共通の敵となったんだ」

ここから先、話が平行して動きます。

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