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勇者はいってます。  作者: 夢見創
六章目 海原を越えていけ
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釣り師呂尚

「オレの名は呂尚(りょ しょう)、世界を股にかける釣り師だ!」

 東方系の顔立ちをした男が、机の上に立ち上がって口上をあげていた。

 髪の色は黒、目は細く、釣り師という割にはほっそりしてるようにも見える。

 歳は思っていたよりも若い、ハクより年下にみえる。


 ドランはすでに出来上がっており、一緒になって騒いでいる。

「西では人魚、北では伝説の一角を釣り上げたのはオレだ!」


「いいぞーホラ吹き!」

 誰も彼の言うことを信じてじてはいないようだった。

 どちらも伝説の生物だ、信じられないのも当たり前である。


「世界の最西端の岬で、オレはその地で昔から噂になっていた人魚を釣り上げることに成功したんだ。流石人魚物凄い引きだった、ドキドキしたねぇ、危うく海に引きずり込まれるところだったぜ」

 酒場の皆が呂尚の与太話を聞いていた。

「その釣り上げた人魚はなんと絶世の美女で、胸もバインバインだった。ほんとしゃぶりつきたくなるほどバインバインだ。その姿をひと目見たオレの心は逆に人魚に釣り上げられてしまったんだ」

 呂尚は、くねくねしながら大きく手を動かして胸の大きさを表現する。

「オレは、猛アタックしたね、こんな出会いは早々ないからな。そしてオレは彼女を口説き落とす事に成功したんだよ。実は彼女の方も毎日岬に来ていた俺に気があったらしく、毎日俺を見に岬まで来ていたらしいんだこれが!!」

 大分盛ってるような気がするな。

「種族は違えども、オレ達は逢瀬を重ね愛と絆は深くなり、次第に二人の間の子供すら望むようになったんだ」

 おぉおおおと盛り上がる男達。

「・・・だが・・・彼女は卵生だった・・・彼女は卵を取り出し、これに精をかけてと・・・」

 その場の男達が皆、いたたまれない表情になった。


「一角は凄いぞ?まさに一攫千金だ」

 うん日本語なら・・・ネタだけど。


 と、えんえんと喋り続ける呂尚。


 途中から釣りとは関係ない、魔物の話やらも語っていた。

 たしかに世界を渡り歩いているらしく、世界各地の事を事細かく語っている。

 皆がそれを聞き、あーだーこーだ言って笑い合っている。

 街中の陰気な雰囲気がこの店にはない。


 クロノクロスにも行ったことがあるらしく、ハクの見知ったことも語られていた。

 クロクロとかクリスティナの話もでてきていた。

 まぁまさか本人がすぐ近くにいるとは思わないだろうが。






「ふうぅ・・・さすがに疲れた」

 呂尚は小一時間喋りまくった後、空いていた椅子に疲れたように座った。

 喉もからからになったのか、グラスに注がれた酒が一気に飲み干される。


 ハクが酒のビンを持ってもって呂尚の隣にすわり、男の空になったグラスに酒を注ぐ。

「おー酒か?ありがたい!お?うまいなこの酒」

 呂尚は、素直に酒をありがたがっている。

「俺はハークレイっていうんだ、よろしくな。呂尚だっけ?あんた、半年前にグラナダにいなかったか?」

「グラナダ・・グラナダ、あー行った行った。あそこの周り見事に水場がなくて、ちょっと残念だったなぁ」

 やはりこの男がグラナダで噂になっていた者らしい。

「そりゃあ砂漠の街だからな、魚がいるような水場は周りにはないだろ、俺としては何故あそこに釣り場があるとおもったのか不思議だけどな」

 ハクが少し呆れている。

「砂漠で魚釣りってのも、ロマンあっていいじゃないか」

 呂尚はぷはーっと酒臭い息を吐く。


「あの街で、この街なら良い船釣ができる聞いて来たんだがなぁ。着いてみたら釣り船が出せない状況になってるわ、戻ろうとしても街から出れなくなるわ」

「釣り船が出せない?街から出れない?」

 ハクが聞き返す。

「・・・その事は、ここでは話せないかなぁ・・・うん」

 呂尚は、きょろきょろと周りを見て少し困った顔をしている。

 ホテルの主人と同じで、その事は外部の人間には話せないのだろう。


「あぁ、それはいい、そのことは他に聞くから。あんたに聞きたいのは『太公望』って人物を知っているかどうかだ」

「『太公望』?」

「彼なら、俺の連れの呪いが解けると知り合いに聞いたんだよ」

「んー確かに奴なら、大抵の呪いは解けるだろなぁ」

「『太公望』を知ってるのか!?」

 ハクは呂尚の肩を掴み。ぶんぶんと前後に振る。

「あ、ちょっとやめて、なにこの馬鹿力、酔う!酔うから振るのやめてぇ」

 酒も大分回ってるため、ダメージも大きかった。

 ハクは振るのを止める。

「ぉ・・・ぉお・・・知ってるぜ。しかしこの馬鹿力は・・・ハークレイ、ハークレイ・・・もしかして、脳筋賢者ハクか?」

「俺のことも知っているのか?」

「オレは世界を股にかける釣り師だぜ、お前のような有名人の噂ならいくらでも聞いてるぜ」

 酔いが回ったのか頭をおさえながら呂尚がハクの顔を見る。


「・・・脳筋賢者なら丁度いいな、オレの手伝いをしてくれるんなら『太公望』について教えてやるよ」

名前?何のことかな|ω・)

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