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勇者はいってます。  作者: 夢見創
六章目 海原を越えていけ
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いつものドラン

「姫さん、これ持ってろ」

 ドランが、細い棒のようなものをクリスティナに投げてよこす。


 クリスティナは軽々とそれをキャッチする。

 受け取ったものは、クリスティナがいつも使っているレイピアのような細身の剣だった。

 急いで造ったのか急造の鞘に入っている。

「ドラン、これ抜いてみてもいい?」


「おう、抜いてみろ、めんたま飛び出るほど驚くぜ?」

 ドランが腕まくりをしている。


 クリスティナは、鞘からすっと刀身を引き抜く。

 それは皇女のクリスティナも見たこともない程、美しい剣だった。

「綺麗な剣ね・・・」

 引きぬかれた刀身は、水晶のように透けた不思議な素材で出来ており、刀身の中を光が乱反射して、キラキラと虹色に輝いている。

 クリスティナは感嘆し、くるくると剣を回転させながら、うっとりと見ていた。

 重さや長さはクリスティナが普段使っている剣とほぼ同じで、違和感なく使えそうだった。


 クリスティナはいつものレイピアのようにすっと美しく構え、流れるように連続で剣撃を放つ。

 ガラスのような刀身は、しなるようにヒュンヒュンと小気味良い音を立て、疾く鋭い斬撃と光が舞う。

 クリスティナは感動を覚えていた、皇族のクリスティナであっても、これほどの剣はついぞ持ったことは無い。

 至宝級の宝剣といっても良い剣だ。


「ドラン、これ凄いわ。こんなものどうしたのよ?」

 楽しそうにクリスティナは剣を振り、次々に違う型を試している。


「そいつは、ハクが神殿ダンジョンでぶっ倒した水竜の角を研いで作った剣じゃい。凄まじく硬くて粘りのある素材なんで、研ぐ途中で砥石が数丁逝ったぜ、ガハハハハハハハ」

 それで鍛冶屋に追いかけられてたんだな・・・きっと工場の砥石を勝手に使ったんだろう。


「姫さんは、魔法は使えたよな?」

「軽くならね、ハクとかクローディアに比べれば児戯のようなものよ?見てみる?」

 剣撃を止め、クリスティナが呪文を唱えると、手のひらに小さな魔法の火が灯る。


 ドランはそれをみて手を叩く。

「上等上等!んじゃあ、魔法を使うみたいに、その剣にぐぅううっという感じで魔力をそそいでみろ、面白い事が起こるぜぇ?」


「面白い事?なによそれ」

 クリスティナがジト目になりながら、ドランにいわれるがままに剣に魔力をそそぎこむ。

 すると、透明な刀身が次第に光り輝き出す。光の反射などではない、刀身自身が魔力を糧として発光しているのだ。


「剣が光ってる??光の剣なの?」

 クリスティナが驚愕する。


 ドランはそれを見てニヤニヤしている。

「剣が光ってる状態でこの岩を試し斬りしてみい。遠慮はいらん思いっきりやっていいぞい」

 ドランはニヤニヤしながらペチペチと岩を叩く、その岩の大きさは直径1mを超えている。


「折れてもしらないわよ?」

 クリスティナは剣をウォーミングアップするようにヒュンヒュンと振り回している。

 心なしか振る度に剣速も上がっている。


「心配すんな大丈夫じゃ!ガハハハハハハハ」


 クリスティナはドランに指定された岩の前に立ち、剣を正中に構える。

 そして意を決したようにすっと剣を振り下ろす。

 基本的に刺突用であるレイピアでは絶対やらない事だ。


 キンという高い音とともに、剣が岩をまるですり抜けるように縦断する。

 そして岩は、ゆっくりと真っ二つになった。

 岩の切断面はなめらかで、まるで鏡のようだ。

 しかも岩どころか、地面すらも深く斬り裂いている。

 明らかに剣の長さよりも斬撃の範囲が広い。


「!?」


 クリスティナは、そのあり得ない斬れ味に言葉を失った。

「完璧に魔剣じゃないのよ・・・これ私が使っていいの?」


「いいぞい、もともと水竜の角で何が造れるか試行錯誤してたら偶然出来ちまった物じゃしなぁ」

 偶然に作るなよ。


「どうしても報酬を払いたいって言うんだったら、姫さんのその胸をパフパフさせろぃ!」

 そう言ってドランがクリスティナの胸に向かって、勢い良くダイブしてきた。






 ドランはクリスティナの容赦無い裏拳の一撃で派手に吹き飛ばされ、数度地面をバウンドした後、ごろごろと転がっていきそのまま動かなくなった。

 5分もあれば復活してくるので、気にしないことにする。


「これ多分、伝説級の剣よ?そんな物を造っちゃうとか・・・いつもながらぶっ飛んでるわねぇ・・・」

 クリスティナは剣を上に掲げながら、ドランをみて独りごちた。






 クロクロはナイフを手に持ち、それをくるくる回しながらジト目で見ていた。

 そのナイフは透明な水晶のような不思議な素材で出来た美しいナイフだった。

 クロクロがナイフにおもむろに魔力を込めると、ナイフは閃光を放ち始めた。

 光り輝くナイフを近くの岩に向かってクロクロが軽く投げると、ナイフは岩に刺さるどころか、爆音ともに岩自体が消し飛んだ。

 周りにもうもうと土煙があがる。

 フウが風をおこし土煙を晴らすと、ナイフは爆心地の中心に無傷で転がっていた。

「あのお馬鹿・・・またとんでもない物を作りましたわね・・・」


 その光景を見ていた魔王は、自分の手元にある同形状のナイフを見て頭を抱えていた。





 今回のドランの暴走品。

 そそぎこんだ魔力を斬れ味に変換する光の剣、ライトレイピア。

 そそぎこんだ魔力を爆裂させる光のナイフ、ライトナイフ。


























 ピエールさんが、透明なペティナイフを持っていた。

 ピエールさんの目の前には、真っ二つに切断された石のまな板があった。

 ピエールさんがおもむろに切断されたまな板を元の形に直すと、そのまま癒着して元通りになった。

 ピエールさんはペティナイフを厳重に布で包み、そっとしまいこんだ。


 追加、ピエールさんの技なら、原子単位で物を切断するライトペティナイフ。

まぁ・・・いつもより大人しいよね(え?)

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